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夏の風  作者: 常盤夢人
7/13

長い夏の夜

「ついたぞ。歩。」

司は、となりの席で司に寄り掛かかる様にして寝ていた歩を起こした。

司もいつの間にか寝ていた。起きると、この電車も花火大会まで行く人でかなり混雑してきていた。それよりも、歩が横で寄り掛かって寝ていたことの方がビックリしたのだが。

駅からでて花火大会の会場へと向かって歩いた。毎年来ているのに、とても懐かしい気がした。


「あっ、かき氷だ。」

いかにもわざとらしい。でも、調子の良い詩織に引っ張られて屋台まで連れていかれる司がいた。

「おじさん、イチゴ2つ。」

詩織が元気よく注文した。

「俺はいらないよ。」

「何言ってんのこういうのは男が払うって相場でしょ。」

帰ろうとするのをとめられた。

仕方なく2人分払った。彰も歩の分を払ってるらしい。

「どうせなら、歩に買うんだった。」

独り言の様に言ったつもりなのに、スズムシの奏でる音にも掻き消されず詩織には聞こえていた。

「やっぱり、司は、歩のこと好きなんでしょう?」

「別に。」


ごまかそうとしたが、顔には嘘だってかいてあるのは自分でも分かる。

「で、いつ告るの?司くん。」

意地悪そうな笑みを浮かべて詩織が聞いてくる。

「いつかな。」

言葉を濁した。言葉が最後まで司の口からでてくる前に詩織は話し始めている。

「じゃ、あたしが一役買ってあげようか?うん。それがいいかな。」詩織は、勝手に納得している。

「何が良いの?」

後から追い付いた歩が会話に入ってきた。

「だから、司が、」

「あれだよ、ほら、経済史のレポートについて話してたんだ。」

慌てて詩織が言おうとしてたのを司が遮った。

歩の背後では、彰が詩織と俺のやりとりから察したのだろうか笑っていた。

そんなに焦る事はないだろう。だって、夏の夜は暑くて長いのだから。

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