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夏の風  作者: 常盤夢人
6/13

過去と健

ガタン、ゴトン、ガタン、


いつ乗っても司は、この電車を好きにはなれなかった。もう古いし、お世辞にも綺麗とは言えない車両だからだ。

唯一の良いと思うのは、ラッシュ時でも東京の電車の様にすし詰めにならない事ぐらいだ。

でも、母親の話だと近々この路線は廃線になって新しい路線が出来るらしい。(あくまで、母親から聞いた噂だが。)でも、工事やその話があまり耳に入らないのからするとしばらく先の話のようだ。

しかし、廃線になると聞くと淋しい気もするから不思議なものである。ずっと子どもだった頃から乗っていたせいだろうか。

高校には、よく詩織とけんと通っていたっけ。

健っていうのは、杉山健。俺が高校2年の時に事故で亡くなってしまった。きっと、健がいなければ今、大学にすら通ってないかもしれない。きっと、詩織も通ってないかもしれない。

健は、運動も勉強もよく出来るやつだった。多分、どの小学校に1、2人はいるだろう。そういうやつと思ってくれれば、すぐに想像がつくだろう。

中学の時には、サッカー部で強豪が多い県央大会で3位に入って県大会までいった。

確かあの中学校のサッカー部が県大会まで勝ち上がるのは、母親が中学校にいた時以来の快挙だったらしい。勉強も学年ではいつも10番以内には入っていた。

「この辺りだよね。健ちゃんが事故にあったの。」

突然、詩織が話し掛けてきた。

司は、忘れるはずないだろと思いながら黙って頷いた。

そういえば、健が事故に遭った日も今日の様な空だった。

あれは、忘れもしない8月17日だった。


「何か考え事か?」

彰が心配そうな顔で尋ねてきた。


「いいや。何でもない。」

そう言って、花火が終わったら8月17日前に健の墓参りに1人で行くことにした。

司は、もう考えるのをやめる事にした。

健が過去は悔やんでも変わらないってよく言ってたから。


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