嫉妬
ショッピングモールは、できたばかりのせいだろうか、それとも夏休みで日曜日だからだろうか人であふれていた。
「詩織、ちょっとこの服とこれどっちが良いと思う?」
彰は、こちらにウィンクしながら詩織に尋ねている。
彰は、司が歩のことを好きなのは知っている。彰なりに気を使ってくれているのだろう。彰のはからいで詩織と彰と別れて歩と2人になった。せっかく歩と2人になれたのに話す事はくだらない事ばかりだ。
歩は俺といて楽しいのかなと司は不安に思った。
「ねぇ、司聞いているの?」
歩の声で我にかえった。
「ああ、聞いているよ。」
すかさず、返事をした。
「じゃあ、どっちなの?」
「えっ、何が?」
「やっぱり、聞いてないじゃない。」
「ゴメン、ぼーっとしてた。」
司は、仕方なく認めた。
「いいよ。彰にどっちのワンピが似合うか聞いてくるから。」
そう言って歩は彰と詩織を捜しに行ってしまった。いつも、歩と話す時だけ上手くいかない気がした。言葉で説明するのは難しいが、何か上手くいかないのだ。
1人でいてもしょうがないと司は思った。1人だけ人ごみに放り投げられた気分だ。みんなが誰かと話している気がした。人がみんな自分だけ仲間外れにしているのかもと思えてくる。だから、みんなを捜しに歩の行ってしまった方に歩いた。
人で溢れかえっている店内を捜すのは容易ではないと思ったが、意外とすぐに3人を見つけられた。みんなで楽しそうに話しているのを見ると、彰を羨ましく思わざるおえなかった。
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