満月
今日、司はいつもより早く家を出た。
今日という日を楽しみにして、早く起きてしまう事は誰にでもある事だ。良い例は、小学生の時の遠足。いつから、そんな事がなくなったのか。
その答えたは、司しか知らないのだが、自分でもよく分からなかった。
つまり、司の場合は、今日がその何年ぶりかの日だったのだ。
いつも、時間ギリギリに着いく司は、とても新鮮な感じがした。
大学の授業が終わるのが待ち遠しかった。司は、時間が自分を焦らしている様にしか思えなかった。
時計の針が17時半を指そうとしていた頃に司は、公園にいた。
「待ったよね?」
その声を聞いたのは、司が公園に来てから30分後の事だった。
「いや、全然。どこに行きたい?」
長く待ちくたびれていた司だったが、逆に、詩織に質問してみた。
しばらく悩んだ後に詩織は、ここでいいやって言ってくれた。
あんまり、司が今月お金がないのを知っていたからかもしれない。司は、ありがたくこの公園を散歩する事にした。
この公園は、大学に割と近くてカップルとかがよく待ち合わせに利用している。
「司は、どこか行きたいの?」
って、詩織の質問に正直に詩織に合わせるつもりだったから考えてなかった、て答えた。
詩織は、あたしも同じだよって笑ってくれた。
司は、二人で話しながら公園を歩くのが、こんなにも楽しいなんて思わなかった。
くだらない話ししか、していなかった。詩織とは、いつも普通に話してたのに、こうやって待ち合わせまでしてまで話すのは何か上手く言えないけれど、特別な感じだ。
月に照らされて、初めて詩織とキスをした。
満月が二人を優しく見守っていた。