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夏の風  作者: 常盤夢人
12/13

夏の月

司は、みんなが昼を食べるベンチに行った。

前と同じ様に3人が座っていた。前は、自分もあの中で楽しく話していたはずだった。周りからは、司が緊張しているのが手にとるように分かるだろう。


「よっ、司!久しぶり。」


彰が気付いて声をかけてくれた。

「久しぶり。」


歩、詩織とも挨拶を交わした。詩織を見るのは久しぶりだった。



そして、何事もなかった様に1日が過ぎようとしていた。

講義が終わった帰り道、歩が


「久しぶりにみんなでドコかに食べに行こうよ。」


歩がみんなを誘うのは、珍しかった。


「悪い、今日、ちょっと用があるんだ。」


彰が少し気まずく断った。


「バイトか何か?」

「いや、まあ、いろいろとね。」


彰は、言葉を濁した。


「いいよ、行ってきな。咲ちゃんでしょう?」


「悪い、また明日ね!」

そう言い残して3人とは、逆方向に向かった。


「彰の好きな子、咲っていうんだ。」

司が呟いた。

「正確には、美咲だけどね。やさしくてさ。彰には、もったいないんだよ。」

歩が冗談まじりに説明してくれた。


「お二人さん。あたし、邪魔なら帰ろうか?」


歩がちゃかしてくる。


「いいよ。3人で食べに行くんだろ。」


歩に話した時の俺の頬は、紅潮していたかもしれない。


「じゃあ、お言葉に甘えます。」


詩織がいきなり言ったので驚いた。


「じゃあね、お二人さん。」


そう言って、歩は悪戯っぽくウィンクして駅の方に行ってしまった。


「ゴメンね、歩とじゃなくて。それより、何か、司あたしの事避けてない?」


ドキっとした。避けてはいない。でも、ぎくしゃくしていると俺も思う。


「詩織は、謝らなくていいんだよ。ほら、俺が詩織に返事しないから悪いんだよね。」

思っている事を言ったらなんかすきっきりした。


「いいの。ゴメンね、いきなり告って。歩が好きなのにね、、、あたしは、謝れてすっきりした。歩に電話して、3人で食べに行こっか。」

そう詩織が言った時に、司の口が勝手に話し出していた。


歩は、他の奴好きみたいだし。気にしないで。あと、返事だけど、、俺も詩織が好きだよ。」


「、、いいよ、いまさら気をつかわないでさ。」


「俺は、本気だよ。詩織。」


何でこんな事を言ったか分からないが気付いたら発っしていた。


「付き合って、もし、別れたら気まずくなって友達に戻れないってずっと考えてた。でも、俺は分かったんだ。別れなければ、いい。それに、好きな気持ちに嘘はつけないんだ。」


「ありがとっ。」


また、詩織は泣いていた。夏と1番違うのは、嬉しくて泣いている事だ。

月に微かに照らされた公園を2人きりで歩いた。

その時、公園の時間は2人を中心に廻ってるようだった。


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