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夏の風  作者: 常盤夢人
11/13

残暑−2−

「元気そうじゃない。」


歩がジュースをすすりながら言った。

「風邪が嘘って知ってたんでしょ?」

俺は、歩に問い掛けた。

「まあね。だって、詩織が司の所に様子でも見に行くこうって言わないから、おかしいって思ったのよ。」


「それの何がおかしいの?」

司は、純粋に理由を尋ねた。


「だって、彼氏が風邪引いてたら、気になるでしょ!?それで、上手くいってないのかなと思ったの。」


少し、オレンジジュースをむせてしまった。

「俺は、詩織と付き合ってないよ。」


「えっ、そうなの!?」

これには、歩が驚いたらしい。


「そうだったの。司、ゴメンね。勘違いしてたみたい。今の忘れてね。」


わりかし歩の推測は、当たってないわけではないが司は、何も言わなかった。


「あのさ、」

しばらくの沈黙の後、歩が口を開いた。


「あの、詩織ね。司の事が好きなんだよ。さっき、あたしが言っちゃったけれどさ。」


その時は、何も答えなかった。

でも、沸騰したみたいに顔が熱くなるのが分かった。

夏の暑さのせいでは、ない熱さだ。


「だから、司。今、フリーでしょ。好きな子がいないなら、詩織と付き合っ」

「歩は、彼氏とか好きな人いるの?」


会話を遮る様にして、俺は歩に聞いていた。自分でもよく分からないが、熱い物に触ると手を引っ込めるみたいな反射の様に、無意識に歩に聞いていた。


「秘密だよん。」


笑いながら、歩は答えた。夕日のせいなのか、歩の顔も赤く見えた。


「じゃ、また明日ね。大学来なさいよ。詩織も心配してるはずだからさ。」

そう言って歩は、帰っていった。

歩は、彼氏がいるのだろうか?

好きな人がいるのだろうか?

でも、詩織と俺を付き合わせたいなら、俺を少なくとも好きではないらしい。


それが、昨日の話。

もう、午後になろうとしていた。

相変わらず、太陽は容赦なく俺達と照らしていた。そして、俺達の未来も明るく照らし続けてくれる事だろう。

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