第1話 怠けた人生
初めて書かせて頂きます。文章能力は底辺ですがよろしくお願いいたします
金がない。
とにかくお金がない。
ファミリーレストランでひたすらに頭を抱える。結果的に言えば普通に働いて稼げよと言われるかもしれないが、就活に失敗した俺はただのその日暮らしの派遣だ。しかし、派遣の仕事も毎日あるわけではなく、この1ヶ月まともに働く事が出来ずにいた。
「はぁぁ・・・。人生どこで間違えたんだろ・・・。」
年齢は30歳になり彼女もいないし生活も安定していない。
5年間も派遣でその日暮らしをしていればまともに就職をしようとは最近では考えなくなってきている。周りから見れば只の怠け者だと言われるだろうが自分でもそう思う。完全に人生の負け組だ。自分でした溜め息も凄く安っぽく聞こえる。
「とりあえず帰るか・・・。」
テーブルに置かれた伝票を持つと1人呟いて席をたち会計に進む。時刻は深夜の3時だ。夜の10時にお店に来てから約5時間ほどがたっており、ドリンクバーだけでかなりの長居をしている。
「くっ・・・。やっぱりこの時期の夜は寒いな・・。」
会計を済ませて外に出ると吐く息は白く身体に冷たい風か突き刺さる。季節は冬で今は1月で明日は雪の天気予報が出ていた。
5年前に買った相棒のママチャリにカギを差し、手袋をしてから自転車に跨がる。サドルも軽く霜が降りており座るとお尻が冷たい。
「車があったらなぁ。まぁ、そんな金があったら先に家賃を払わないとな」
願望、夢、やる気、根性、我慢、喜び、悲しみ、怒り、優しさ、そういった人間が感じる感情やら想いをいつどこで忘れてきたのだろうと考えながら自転車を漕ぎ始める。真っ暗な夜道、周りは閑静な住宅街になっており、この時間帯には車も自転車も歩いてる人もいない。
走り出してから10分、もうすぐアパートに着くという所で交差点の信号待ちをしていると、対面に光る2つの光が目に入った。
暗くて良く見えないがチカチカと今にも消えそうな外灯に反射されながらもその光はちょこちょこと動いていた。
「何だろ?」
信号待ちの暇さ加減からじっくりとそれを見ていると久々に通りかかった車のライトでその正体が写し出された。
「何だ、猫か・・。」
その猫はまだ小さく一匹で道路の近くをちょこちょこと動きまわっていた。
そして、車が近づこうとした瞬間にそれは起こった。
動きまわっていた猫が道路にとびたしてきたのである。
「っ!危ないっ!」
間に合うとは思わなかった。助けたいとも思っていなかった。何でそんな事をしたのかさえもわからないが体が勝手に動いて黒猫を助けようと自分自身も道路に飛び出していた。
ヘッドライトが段々と近くなり、自分に重なろうとする。しかし、助けようとした黒猫はちゃっかりと歩道に戻っていた。
「おい、そりゃーねーよ。」
これが俺の最後の言葉だった。
一瞬、車のブレーキ音とぶつかった音を聞いてから目の前が真っ暗になった。
もう一度、人生をやり直したい。
そう後悔しながら・・・。
第1話を最後までありがとうございました。引き続き次話も見て頂けたら幸いです。