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今回のオチ。

「――なんて、物語を妄想で考えてみたんだけど、どうかな? ぜひとも感想をお伺いしたいものです」

「……うん、最低だね。私が死んでいる下りが特に最低です。なんで私だけ死んでることを明確に表現されてるの? 意味分かんない」

「まあまあ、私の妄想だからいいじゃない。それにさ、最初に言ったでしょ? これは私の作品だって。最低のオチを考えたらこんな感じになるって」

「だからって私が殺された部分を明確化する必要はあったのかな……? だいたい、私はそんな言葉足らずな口調、してないよ?」

「キャラ付けってやつですよ、キャラ付け。やっぱりさ、ある程度のインパクトのあるキャラにしないとウケないでしょ? 女の子っぽい口調だと目立たないし、印象も浅いと思うからね。言葉足らずにして不思議ちゃんキャラっぽくしたら、周囲と格差もついて目立つでしょ? そこ以外は現実に則ってるんだから許してよ」

「はぁ……私は別にいいけどね。松浦さんや立夏はどうなの? ちゃんと許可取った?」

「うん! 松浦さんも快くオッケーしてくれて、委員長も今度の本の題材にしたいってノリノリだった」

「ノリノリ、だったのか……」

 私の目の前で泣きそうな音羽のことは、とりあえず置いといて。

 とまあ、こんな展開になったら話としては面白いんじゃないかなぁと私は考えてたり。もちろん、現実では起きていませんよ? 音羽がカメコだということはホントだけど、私はオタクじゃありません。手先は器用だけど、コスプレとか……プッ。そんな普通の女の子だよ?

「サラっと嘘は吐かないほうがいいと思う」

「人が考えてることにツッコミなんてしないでよ」

「口から漏らしてるクセに、よく言うよ」

 あー、それは……失礼いたしました。

 じゃあ訂正しましょう。で、改めて説明を。

 私の名前は葉月響。地元の高校の服飾科に通っている高校三年生で、周囲の人たちと比べれば少しだけ手先の器用な女子高生。身長だって普通で、体重も密やか。趣味は裁縫で、部活には入っていないけど、将来は自分の得意分野で勝負できる仕事に就きたいと考えている。どこにでもいるような女子高生。

 そして、私の目の前にいて、先ほどから私へのツッコミが激しい彼女の名前は如月音羽。小学生からの付き合いで幼なじみ……と言っても良いのかな? ポケットサイズのデジカメは常時持ち歩いているけど、首から下げてるような酔狂な人じゃないです。身体的特徴は作中で語っているのでそちらを参考に。そこはウソを吐いておりませんので。趣味はカメラと旅行、将来の夢はプロのカメラマン。

 ここにはいないけど、もちろん今給黎さんも松浦さん、竹島さんも実在の人物を参考にしておりますし、亡くなってもおりません。あと、この人たちも現実とは多少なりとも異なってるのでご注意を。

 あとは……あぁ、そうそう、私の妹の話をしなくちゃね。

 葉月鳴、私の二つ下の妹で、かけがえのない妹。作中では唯一死んだような明記をしなかった人物でもあるね。さすがにこの子をするのは忍びないです。私のお尻を追いかけて、服飾科に入学してきた寂しん坊さんでもある。可愛いね。

「…………なに、音羽?」

「いや、気持ち悪いと思ってね。すっごくニヤニヤ、してるからさ。なんなの? 急に黙ったと思ったら、クネクネニヤニヤして……」

 口には出さずとも態度には出るのか、私は。不便な人間性だなぁ。

 さてさて、主要な人物の紹介はこんなものかな? では、続いて話を戻して本題へと参りましょうか。

「妄想オチって最低だろ」と思った、考えた、呟いたあなた。その時点できっと、この創作話(フィクション)は私の勝利なんです。そもそも勝負をしていたのかは疑問に思うところはあるけれども、私的には勝負のつもりでこの作り話を妄想しました。それに、最初に言ったでしょう? 出回っている物語の展開なんて現在ではほとんど枯渇してしまっているから、普通に終わってしまってもつまらないのだよ。そんなんじゃユーザは満足しない! そこはコスプレと通じてる部分があるかも。徹底的に一つのキャラクターを貫いているならいざ知らず、流行っているからあのゲームの、このアニメのコスプレをする。じゃあダメなんです。新鮮味がないから。実際にコスプレイヤーさんたちがそんなことを考えてるのか知りませんけど。

「響だって、時々コスプレってやつをしてる、よね?」

「私の場合はコスプレイヤーとしてじゃなくて、服飾科の人間として? ほらほら、作ってみても実際に着てみないと着心地とか分かんないから。出回ってる製品みたいに決まった布で作る訳じゃないし。それに私の場合、結局は衣装を作る過程が面白いだけであって、作ったのを着て人前に出るのはね……恥ずかしすぎて顔から火が出ちゃうよ」

「もうちょっとマシな言い訳はできないのかな、このおバカさん。言い訳としても最低だよ……でも、なるほどね。私が死んでから、私の遺留品をすぐに警察から受け取れたり、会場の構造が多少おかしかったり、炎の描写が若干適当なのはそういうこと、なんだよね? それにさ、更衣室の扉の描写に矛盾が発生してるよね。あと、最初の更衣室の描写もか。エントランス前で解散していたはずなのに、なんで地下道の入り口で待ってるのよ。誤字も割とあるし」

 はっはっはー、バレてしまいましたか。ほら、実際にそんな体験をしたわけじゃないでしょう? だからさ、爆弾の威力とか、その爆弾が引き起こした炎がどれほど凄いものになるのか、あるいは意外としょぼいものになるか、分からないからそれっぽいことを記述してみたんだけどやっぱりダメか〜。あと、音羽の立ち位置と扉の開き方が矛盾しているのは単純なミスです。そこは大目に見てくださいな。

 この物語は私の作り話であり、実在の人物、建物、イベント名とはまったく関係ありませんのであしからず。

 最初に提示した通り、私が私なりの頭で「最低だな」と言われそうな物語を考えた結果がこんな感じになりました、ということで。この結末にイラッとされた人もいるでしょう。ある意味で投げっぱなしにしたんだからね、色々と。

 ここで一つ追記を……私が物語の中で一番許せないのは「この物語はファンタジーです」と謳っているわけではないのに、急展開でファンタジー要素が盛り込まれてくる物語。読者を放置プレイで、囲いきれなかった世界観を無理矢理修正するためにご都合設定を盛り込んでくる物語。限度が過ぎれば、キャラが可愛くても許せない部分が出てきてしまうわけで……。

 例えばミステリーというジャンルの一つの物語があって、読者は主人公、またはその周囲の人たちと謎を解決するためにするでしょう? そしたら実は、事件があった場面と解決する場面は、同じ時間軸上に設定された別世界で起きていた、とか、今までそんな匂いもさせていなかった主人公が、いきなり覚醒して超能力やら魔法を駆使して犯行の証拠をその場に出現させる、とか。絶体絶命の状況なのに、いきなり壁を壊して脱出できたり(これも超能力や魔法で)、とか。わけが分からないでしょ? なら最初からファンタジーというジャンルで書いておけ、というお話。

ま あ、面白いファンタジーってのもしっかりと理屈が通っていなかったり、特殊な物質や現象はこの世界独特のものなので可能です。なんて投げっぱなしに説明されても納得できないわけですけど。最近の作品はそんなのが多い気がするんですよ! 刊行当初の作品はファンタジー要素皆無なのに、世界観をまとめきれないから超常現象で全部無かったことにする。とか、逆に大団円にするとか!

 興奮しすぎるので、閑話休題。

 話を戻しまして、私は別にファンタジーが許せないんじゃなくて、急にジャンルの路線を変えることが許せんのです。急に変えるから「ふざけるなぁ……」と泣きながら本を投げ飛ばしてしまうのです。私が思う物語の最低さとは、読者の読みを悪い意味で裏切ることだと思っていますからね。

 なら逆に、悪い意味で読者の期待をキチンと裏切るような「最低のオチ」をつけた作品は面白いんじゃないかな?

 私がこの作品を考えたのはこれがキッカケ。最低と言われるのを前提に物語を考えてみれば、意外に面白いかもしれないじゃない? ただ、考えるのはいいとしても差し当っての問題がいくつか浮上。

 一つ目は、オチを決めても私自身に文章力がないため、面白さのカケラもない作品になってしまう可能性が非常に高かったこと。現時点で音羽にツッコミをされているのだから、実際に書き始めでもしたら稚拙過ぎて、小学生が書いた読書感想文とでも言われることウケ合い。

 それともう一つ。個人的にはこれがかなり問題。

 それは、「私の考える最低のオチは果たして万人にとっての最低のオチなのか?」というもの。作品を読んだみんなが……ハードルがちょっと高いので六割ぐらいが最低だと思えるオチ。この作品の冒頭で、夢オチを例に出したのはそういう意図があったりする。

 読者に腑を落とさせない最低の物語の一つが夢オチなら、それに双璧をなすのはきっと妄想オチではなかろうか! これなら読者の六割ぐらい、せめて五割ぐらいの人たちは最低だと思ってくれるに違いない! きっとだよ。そうであって下さい、お願いします。

 オホン……取り乱しました。

創作話(フィクション)なんて、オチにインパクトさえあればいいんだと思う。いわゆる真面目な小説なんかは特に。話の面白さ云々ではなくて「してやられた!」という感じが強ければ、私が作った妄想話だって一定の評価を受けられるはず。評価するのはこの話を聞いた誰か、なのだけど。

 大体の物語の主人公は不幸な生い立ちだったり、実はチートに近い能力を持っていたり(これは最後の最後で明かされるのもポイント)、不運な経験に左右されて右往左往してしまいながらも、最後はハッピーエンドを掴んでおけばいいよ、なんてものが多かったりするのが私の感想。

 ただ、私に限ってはこの物語の主人公でもそんなものは一切ない。

 えぇ、誓って本当に。

 この妄想作品を通して気づいたことは、面白くもない話を考えるのは実に簡単なこと。なんだなってこと。主人公の性格だけでも、話を魅力的にするサブキャラ一つ取っても、面白さのバランスを崩壊させるのは簡単。

 だからこそ、面白い話を作るのは難しい。

 だからこそ、面白い話を作るのは面白い。

 だからこそ、私はその過程こそが楽しい。

 きっと、世の中に出回ってる作品はそういうことなんじゃないかな。私は文を書く人になるつもりはないから、適当なことを言っておりますけど。私の妄想が作品になったら、それはそれで恐ろしいことかも、ね。

「で、その作品を作る過程で生まれたのが、今回の妄想ってわけ?」

「ザッツ、ライト!」

「そう……服飾と妄想物書き、どこからどう繋がったまでは聞かない。けど、そんなこと考えるより、服のデザイン先行しなよ」

「そうだね〜」

「ハァ、その本筋以外は熱しやすく冷めやすいところ、あんたらしいっちゃ、らしいよ」

「でしょ、でしょ?」

「褒めてないから、目を輝かせるな。気持ち悪い。いや、きしょい」

「だから意味は一緒だって!」

「しっかし、妄想たくましいお姉ちゃんだこと」

「ありがとう、褒め言葉」

「褒めてねーよ」

 人に言わせれば私の手の器用さは気持ち悪いほど高いらしい(音羽談)。小学生の頃にやったクリスマスパーティで、本格的な手編みのマフラーとセーターをプレゼントしてあげただけでこの言われよう。

 もちろん、私自身、周囲の人たちよりは少しだけ手先が器用な方だと自覚はある。最近はようやく自信がついてきたせいか、自分自身を褒められるようになった。それでも周りの人に比べれば、程度のもの。世の中には私よりも手先の器用な人なんて五万といるわけで、自惚れの度が過ぎていれば笑い者になるよ。少しは自惚れているぐらいが、技術職にはちょうど良いとも思っているけどね。

 だからこそ私はここにいる。

 過信を自信に変えるために、私はここにいる。

 そんな私を見て、鳴が私の手先を目標としてくれるのなら姉としてこれより嬉しいことはないからね。人に目標とされているなら、私だって成長していかないと追い越された時が恥ずかしいよ。うん。

 将来の夢? もちろん、自分のデザインした服を自分で作ること。そして行く行くは自分のお店を持つこと、だよ。裁縫は終わりがなくて、無限大で、なによりも楽しいから。

「さて、今年はなにを作ろうかな」

「あぁ、もう来月なんだね」

「チケットの予約は取ってあるから、今年のクリスマスパーティーには渡せると思うよ」

「ありがと。それで? 鳴ちゃんは今年来るの?」

「うん、ついてくるみたい」

「へぇ〜……」

 自分から聞いてきたわりに、あんまり興味なさそうじゃない。

 音羽との会話が自然に途切れたところで私は視線を外へと移す。

 話に夢中になりすぎていたせいか、窓の外は暗闇に包まれ始めていて、学校のグラウンドから見える生徒の数もごくわずかしかいなくなっていた。

 音羽と目配せをして、そろそろ帰ろうとバッグを持ち上げようとした時、胸元に私たちよりも低学年を示す黄色いバッヂを付けた女生徒が、私たちの教室を恐る恐る覗き込もうとしている姿が見て取れた。

 私たちのよく見知った顔。

 先ほどまでの話題の中心人物。

「きー姉はいる……あ、いえ、葉月響さんはいらっしゃいますか……って、二人しか残っていないんですね」

「ほらほら、ウワサをすればなんとやらだよ?」

「だねぇ」

「……? 私の話?」

「鳴ちゃんは気にしなくていいよ、いつも通り、悪いクセだから」

「あぁ、またウチの姉がご迷惑を」

「実妹にこんなことを言われても、否定できないが悔しいですね」

「ホントのことじゃない。こんな姉を持って、ここまで出来る妹もそうそういないと思うよ? 感謝しないと」

「だってさ、鳴」

「あんただよ、あんた」

「もぉ、二人とも本当に仲が良いんだから。妬けちゃうな、まったく」

 そりゃあ、十年という友人関係を築いて来ましたから。お互いのことはなんとなくでも分かっているつもりですがね、私は。

 この先、私たちはきっと別々の道を歩んで行く。こうやって制服を着て、教室の片隅で談笑し合うことなんて来ないかもしれない。ならさ、今を全力で楽しみたいじゃん?  心はいつでも『女の子』だったとしても、これからずっと子どものままってわけでもないんだし。子どものうちに、やってみたいことはトコトンやる! それが私のモットーですから! あぁ、そう考えるとあの話もモットーの延長線、ってことになるのかな。うんうん、きっとそうだね。今までやったことのない経験をとりあえずしてみる。それだけで、文章を作るのはやっぱり苦手だって気づけるじゃん? 分からないまま、してもいないのに苦手かもしれないと切り捨てるのはやっぱりもったいないよ。

「響? どうしたの、帰るよ?」

「はーい」

 机の横にかけていたバッグを持って、私たち三人は一緒に教室を出ていく。なにも起こらない、当たり前の教室を。

 教室から下足箱に向かう途中でも、私たちの間で飛び交うのはいたって普通の会話。なにがあった、どこに行きたい、これをやりたい、新しくできたお店、服が、お菓子が、自分たちの興味があるままに行動する、当たり前な女子高生同士の会話。その会話の中で一度も男の話が出ないのは若干悲しい現実なのよ。そりゃあ私だって年頃の女の子ですから? バレンタインに好意を寄せていた男の子にチョコレートの一つや二つ、あげたことはないと言えばウソになるけど。会話に出てこないということは、そういうことなんです。察して!

 他愛もない話をしながら私たちは四階の教室から玄関へと向かう。玄関から出る前にバッグからマフラーと手袋(これも手作り)を取り出して身に着ける。玄関先から流れこんでくる冷たい風に首をすぼめながら、寒い寒いとぼやきつつ外へ出る。

「なるほど、寒いと思ったらこれか〜」

「今年はだいぶ早いね」

「二人ともおまま……うわぁ」

 靴の履き替えにもたついて、私のことなんか気にもしない二人に遅れて玄関を出た私の目に飛び込んできたのは、私たちの地元では相当珍しい十一月にチラつく雪だった。たぶん、教室から玄関に移動している間に降り始めたんだね。……ん? 当たり前か。教室にいる時点で降っていたら気づくもんね。

 それにしても、どうりで寒いはずだよねぇ。

「昼休みまでは晴天だったのにね。天気ってよく分からないよ」

「えっ? 今日は朝から雲ってたけど?」

「あー、こいつバカだから。妄想の中では晴れてたもんね?」

 妄想の日と今日は日付すら違いますけどね! いいの、私の中では今日は朝から気持ちのいい晴天なんです!

「きー姉……」

「憐れむような眼をしないで、鳴」

「大丈夫、憐れんでるから」

 大丈夫じゃないよ?

 全然大丈夫じゃないよ?

「もう、帰ろうか」

「そうね」

 三人一緒に空を見上げつつ、同じタイミングで歩き始める。

 私、葉月響という人間は、普通とはズレた感性を持っていても、最後に歓声を受けるような完成形をした人間じゃない。普通に普通な物語を歩む普通の人間。

 言葉にすれば簡単な言葉だけど、普通という状況を維持するのは意外と大変だったりするんだよね。意識しちゃってる時点で、すでに普通の状況ではないというか、意識しちゃってるからこそ、現状が普通では無いことを認めているというか。もうなにが言いたいのかよく分かんなくなっちゃった……。

えっと、結局なにが言いたいのかというと。

 普通に生活をするのは難しい。けれど、私が私なりに生きていれば、それはきっと普通以外のなにものでもない。それは、全ての人たちに言えること。

 作り話の主人公であっても、作られた世界の中で生きていればそのキャラクターたちも普通の生活を営んでる。人から見れば異常な生活だろうと、その世界にとっては普通のこと。

 普通素晴らしい。

 普通最高。

「で、ちゃんと締まってるのかな?」

 細かいことを気にしたら負けだね!


 偶然と偶然が重なれば、それは必然である。

 なんて言葉をどこかで聞いたことがあるけれど、私は必然なんて言葉は好きじゃないかな。だって、それだとなんだか決まっているみたいじゃん。

 全ては偶然の産物。

 私がここにいるのは、偶然が重なり合って生まれた結果に過ぎない。私と鳴が姉妹で、私と音羽が出会って、一人は服を、もう一人はカメラの道を進む。マンガやアニメ、ゲームが好きになって、それを軸にして行動を起こすようになる。一緒に成長して、一緒に笑いあう。私たちの間に一日でも欠けている日があれば、今日の私はここにはきっといないから。

 奇跡にも等しい日常が、偶然によって生まれてる。

 そう考えたら、なんだかドキドキしてこない?

 今日は十一月二十日。私の妄想した事件が起きる今年最後のイベント最終日まで残り一ヶ月。

 未来のことなんてきっと誰にも分からない。

 だからこそ、私は私のやりたいことに、自分の趣味に全力を尽くすし、尽くしたいと思ってる。後悔なんてしたくないから。自分のやってきたことに誇りを持ちたいから。他人が笑っても、私は私のやってきたことが間違いなんて思いたくない。その結果が最低だったとしても、現段階で最低だって分からないんだから意味ないもん。自分の人生がどう転がって行くか分からないからこそ、人は歩みを止めないんでしょう?

 ただまあ、人によっては自分の人生、これから何があるのか、どんなことが起きるのかを知っておいたほうが良いって人もいるんだろうけどさ。その人はその人ということで。

 便利な言葉で表すなら「人それぞれ」ということ。ホントに便利な言葉だよ、これって。汎用性の高さといったら他の追随を許さないよねぇ。

 戯れ言は棚に上げといて。

 必然の物語じゃないからこそ、私の人生は偶然の積み重ねだからこそ、これからもっと面白くなるし、面白くしたくなる。

「きー姉?」

「響?」

 だって、

「うん! 帰ろうか」

 手先が少しだけ器用で、ちょっとだけオタクで、ちょっと変わった性格をしている、いたって普通の女子高生、積極的にコスプレをしていることもない葉月響にやってくる喜劇的な物語。救いはきっとあって、自分の身の回りでは起きるはずないと思っていたイベントが起きて、それに居合わせただけで巻き込まれた私の物語。後世に長く語り継ぐ必要のない、たくさんの命と出会う物語。

 今がそんな最高の物語だから、ね。




 あ、最後にもう一言だけ。

 この物語は最低の妄想(オチ)で描かれていました。以上。




今度こそ本当に終わり

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