表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Schneiden Welt  作者: たる
第三幕
93/109

ガールズトーク パターン2

「黙っていても何もわからないですよ、ミラさん。」


とりあえず普段と違う様子のミラさんを椅子に座らせ自分はその向かいに座ります。お茶を出してはいますが飲んでくださる様子は無いです。


どうしましょうか?


ミラさんは確かに悩みを自分の中にしまいがちな性格ですし、自分の問題に人を極力巻き込まないようにします。だからこんなあからさまに様子が変になる事はたまにあったのですが……


なんで私を訪ねてきたんですかね?自分の部屋に直行しそうなものですが……


ミラさんがこんな風に大きく動揺している……


ラザァさんかエリーさんと何かあったんですね。


ミラさんが本当に大切に思ってる2人と何か喧嘩でもしたのでしょう。そうでもなければ失礼な言い方ですがあのミラさんがこんなに落ち込むはずはありません。わかりやすいです。


「ラザァさんですか?」


「えっ!?」


「それともエリーさんですか?」


「それは……」


やっぱりあの2人と何かあったようです。ですが私の予想は微妙に外れていたようです……


「どっちもよ。」


「え?」







「それは……うーん……」


ミラさんの話を聞いてみたところなんてこと無い事、こういうと本人から怒られそうですね。単なるヤキモチのようです。


ただ少し引っかかるのはラザァさんとエリーさんが2人きりで会っていたというところです。ミラさんはラザァさんにところ構わずべったりなところがありますし(たまにちゃんと仕事して下さいと思う事もあります!!)ラザァさんも何かとミラさんを気にかけているのは伝わってきます。


ですがエリーさんはミラさんのようにラザァさんに恋愛感情的なものは持っていないように思っていたのですが……もちろんお二人は仲が良いですが普通の友人というか……


何か引っかかります、多分ミラさんが想像しているような内容ではなくもっと事務的な会話のために2人きりで会っていたのではないでしょうか。


「多分ミラさんが想像しているような関係では無いと思いますよ、多分ですけどミラさんに関係無いもっと事務的な事にミラさんを巻き込まないように配慮してたとかそんな感じだと……」


上手く言えない自分の口下手さが憎いです。


「そう……なのかな?」


「きっとそうですよ!!」


ミラさんはまだ納得のいかないご様子でしたがそれを聞いてのそのそと部屋を出て行きました。独身寮の自分の部屋に帰ったのでしょうか。心配ですが私も勤務中ですのでついて行くわけにもいかないのがもどかしいです。


「ラザァさんは何をやっているんですか?早く帰ってきて下さいね。」


柄にもなく独り言です。







ヘレナと話してからはよく覚えていないけれど、気がついたら私は独身寮の自分の部屋に帰ってきていた。最近なんかは自分の部屋よりもラザァの部屋にいることの方が多かったので逆に新鮮に感じる。


ラザァとエリーが私に黙って、というか嘘までついて2人きりで会っていたのも2人の性格を考えればむしろ私のためを思っての事だといヘレナの意見ももっともだという気がしてきた。


'''それでも不安になるんだよ。'''


ため息が出た。


「私がこうなったなんて、3ヶ月前の私が知ったらどう思うかな?」


きっと信じないだろうな。


私が他人との関係、それもまだ確定もしていないような事でこんなにも悩んでらしくない行動をしているなんて昔の私なら間違いなくありえない事だもの。


それもこれも3ヶ月前の事件でラザァと出会い、アルバード ヒルブスから解放され、異民保護対策局とかいう職場まで得た事が原因なのだろう。現にそれ以来エリーから「変わった。」と言われる事が多くなった。


3ヶ月前から良くも悪くも安定していた私の心がこんなにもかき回されている。どう対処していいかなんてわかるはずもなかった。それまではこんな悩み抱く事すらなかったのだから。


1人でもんもんと悩んでいると壁に掛けた服が目に入った。


うっすらと銀色の魔法具。ワンピースやら普通のシャツやら何着かバージョン違いがあるミラだけの服。何を隠そう龍化した自分の体毛から作られている私専用の魔法具だ。私が人間ではない証拠。


3ヶ月前の事件からはほとんど着なくなっていて壁に掛けっぱなしになっていた。出来れば変身なんてしたくもないから。


無意識に立ち上がってハンガーごとその服を手に取る。


'''これ着たら3ヶ月前の気持ちに立ち返ってこのモヤモヤも消えたりしないかな。'''


我ながら馬鹿げているとは思った。だけど私はそう思うが早いか、着ている服のボタンに手を伸ばしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ