なんで
'''どうして?
どうしてあの2人が一緒にいたの?
それよりも
どうして2人とも私に嘘をついて私を遠ざけていたの?
いや、正確には嘘はついていないのかな?
でも
ラザァもラザァだ、私がエリーには自分の口から打ち明けると言った直後にエリーと2人きりで会っているなんて……
ラザァは人の嫌がる事はしない人だと信じている、それでも……それでも不安になるんだよ……
違う!ラザァは決してエリーに抜け駆けして私の正体を明かしたりなんかしない!!
そう信じているのにどうしてこんなに苦しいの?どうしてこんなに辛いの?
2人が私に黙って密会していたから?
別に私はラザァの恋人でもなんでもないから束縛する権利なんて持ち合わせていない、単なる仕事における上司と部下、むしろそれ以下程度の関係でしかないのだから。
エリーについても同じだ、単なる友人の私にエリーのプライベートまでいちいち知る権利なんて無い。
1つ1つ見ていけば私が文句を言う筋合いなど無いのはすぐにわかる。それでも……
なんで2人を見た時、出て行かなかった?なんで声をかけなかった?別に偶然会ったようなものなのだから遠慮する必要などないはずだ。それなのに私は咄嗟に2人から距離をとって隠れた、まるで悪い事をしていて気まずいかのように。
私はこれに似た気持ちを今までにも何度か感じたことがある、だが今回は今までとは段違いに深い。この後の選択を間違えればかけがえのない物を何か失いそうな程に……
どうすればいいのよ……'''
「えっ!?」
気がつくと私の頬を冷たい液体が伝っていた。
「どうすればいいんだろう……」
それをぬぐい去り、私は空を見上げた。
空はさっきまで晴れていたというのに今は雲が出始めていた。空を何かが横切ったと思えば真っ黒なカラスだった。
ミラの内面を写したかのようにどんどんと明かりを失っていく空の下、ミラは当てもなく歩き出した。
同じ頃、ラザァ達の襲撃事件も含めパイリアの各地では異変が起こり始めていた。




