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Schneiden Welt  作者: たる
第一幕
4/109

とりあえず一安心?

「なるほどねー、どうりであんまり見かけない服装でしかもこんなところをウロウロしてるわけだ。」


エリーに一部始終を話し終えたラザァはその身なりとミラが見つけたこの世界だと見慣れない鞄(正確には鞄に書いてある文字がこの世界のものではないらしい)のおかげであっさりと納得された。


「そういうこと、、、ってあれ?」


「どうかした?」


「いや、違う世界から来たとかそんなにすんなり信じてもらえると思ってなくて。」


エリーはさっきからラザァの話を聞きながら頷いたりしていて全く口を挟まなかったのだ、ちなみにミラは先ほどエリーにラザァと知り合い扱いされたせいで不機嫌なオーラを出しながら少し離れたところで話を聞いていた。


「ああ、そういうことね、そんなによくある事じゃないんだけどたまにいるのよね。あなたみたいな人。話が通じなくてそのまま他人と揉め事になったり、いきなり魔獣に食べられちゃう人も少なくないしあなたは運がいい方だと思うわ。」


エリーが何でもないことのように魔獣に食べられるとか言ってるのは置いておくとして同じ境遇の人がいるのは心強い。


「いつまでもあなただと会話しにくいわね、あなた名前は?」


「ああごめん、ラザァ、ラザァ フラナガンだ。」


銀髪のミラはともかくエリーと呼ばれているこの女の子は信じられそうなのでラザァは特にためらう事なく名乗った。


「フラナガンって変わった名前ね、私はエリシャ ウィズ、エリーでいいわ。それでこっちがミラ。」


「ちょっと!エリー!」


突然名前を出されたミラがエリーに突っかかる。


「別にいいじゃないの、困ってる人を助けるのミラも手伝いなさいよ。」


「助けてくれるのか?」


「ええ、といっても大した事は出来ないけどね、詳しくは歩きながら話すわ。」


エリーは立ち上がるとお尻の草をポンポンと払いながら言った。


「さあミラ、パイリアに帰りましょ!その時にラザァを街中まで送るわ。」


そう言ってエリーはミラとラザァににっこりと笑いかけた、不機嫌そうなミラもそれには勝てないらしく小さくはいはいと言っていた。ラザァに対して警戒心を剥き出しなのは相変わらずだが。


「パイリアって町の名前?」


「ええ、この辺りだとかなり大きな都市よ。パイリア城の城下町だし治安もいいわ、異世界民でも何もしなければ普通に暮らせるくらいにはね。」


「僕は別に暮らす訳じゃ、、、元いた世界に帰りた、、、」


そこまで言ってふと元の世界での暮らしを思い出す。シーナは大丈夫だろうか、あの家に1人にしてしまったのでひどい事をされないだろうか。


「別にずっとって訳じゃないわ、帰る手はずが整うまでの寝泊まりの場所が必要でしょ?さあ行きましょう、歩きながら話すって言ったでしょ。」


そう言ってエリーは歩き出した、ミラはラザァに目もくれずに着いて行く。ラザァも置き去りにされるわけにはいかないのでそれに従った。


詳しい事はまだ聞いていないが助かる見込みはあるらしかった、今はそれで充分だ。




エリーに案内される形でラザァはすんなりと森を抜け開けた草原へ出た。ラザァとエリーが横に並んで歩き、ミラがその後を数歩遅れてついてくる。ミラは以前不機嫌そうなオーラを出している。


「なんかごめんね、ミラって初対面の人に対しては大体あんな感じなの、だから特にラザァだけ嫌いって訳ではないから。」


エリーが後ろをチラ見しながら謝ってきた、嫌われている事自体は否定しないらしい。


「それはまあ仕方ないかな、、、」


不可抗力とはいえラザァはミラの秘密基地的な物の屋根に大穴開けたのだ。


そういえば森を出るまでの間に1度も他の生き物に出会わなかった事に気付いた。


「森の中でさっきみたいに怪物に会わなかったけどその笛って吹かなくても効果あったりするの?持ってると魔除けみたいな?」


エリーの首にかかっているオカリナを見ながら言った、ラザァの命の恩人もとい命の恩笛だ。


「別にそんな効果無いと思うわ、ただミラと一緒にいると不思議と魔獣に出会わないのよね、ほら今なんか怒ってるし魔獣も怖がってるんじゃない?」


そう言ってエリーはミラを指差した、ミラのキレっぷりを見た後だとあながち冗談に思えないから恐ろしい。


「ちょっと!エリー!」


ミラは顔を赤らめて抗議した、色白で髪も銀色なため顔色の変化がわかりやすい。なんとなくこの2人の関係は見ていて安心させられた。ミラもエリーには心を開いているのがよくわかる。


「冗談よ、冗談。でも助かったわ、最近物騒だもの。」


不満顔のミラをなだめながらエリーが呟いた。


「そうよ、エリーはもう少し危機意識を持つべき、今日だってわたしなんか探すために1人でここまで来なくても、、、立場ってものを、、、」


「ミラ!その話は心配し過ぎだって言ったでしょ、大丈夫よ。」


なんか急に2人の空気が一変した気がしたがやけに熱くなってたミラをエリーがなだめるような形でまたすぐに元に戻った。


なんとなくプライベートな話題には踏み込みにくいのでラザァは聞き流す方針に決めた。


「とっ、ところでラザァ、あなたの今の状況について詳しく話すのがまだだったわね!」


ラザァを置いて2人だけにしか通じない会話をしていたことに気がついたらしいエリーがわざとらしく話をふってきた。


「いい?落ち着いて聞いてね。まずこの世界とラザァのいた世界との関係性についてなんだけど世の中には他にもたくさんの世界がそれぞれバラバラの時間軸に存在すると言われていてね、それで、、、」


手っ取り早く帰り方だけ教えてもらえるとは思っていなかったが想像以上に壮大な話が始まった。この時ばかりはエリーの親しみやすく口数が多い性格を鬱陶しく思った。


4話目です。

引き続き3人でお話ししてるパートが続きます。

この辺までだと完全にエリーがヒロインでミラがおまけですね(笑)

伏線とかも張り巡らしたいのですが難しいです、もっと文章の書き方を練らないとダメですね。

次回から今作のメイン舞台の都市パイリアに突入すると思います。

それでは今回もよろしくお願いします。

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