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Schneiden Welt  作者: たる
第一幕
12/109

追跡

ラザァは廃棄された軍の施設に心当たりのあるミラの後ろについて路地裏を走っていた。


ミラは相変わらず速くついていくのだけで精一杯だ。


「もしエリーが誘拐した奴らと一緒にいたらどうするつもりだ?」


「もちろんみんな戦闘不能にするまでよ。」


わかりきっていたような返事だ。


「ごめん、答えたくなければ答えなくていいんだけど一つ質問してもいいかな?これから一緒に行動する上で知っておきたいんだ。」


触れようか迷っていたがこれから少なくとも事件解決までは組むことになるのにどうしても聞かずにはいられなかった。できるだけ遠回しに聞く。


「何?」


「ミラってあんなに強いけど何か格闘技とかやってたの?」


正直なところ強過ぎるから本当に人間かどうか聞きたいのだがさすがに遠回し過ぎたか。言ってからやや後悔した。


「別にそんなんじゃないわよ、あれはなんていうか、、、昨日見た獣人いたでしょ?私ってああいう奴の血が流れているらしいのよ。遠い親戚かなんからしいけど。それが原因だと思うわ。」


ミラは振り返らずに言った、確かにそれなら納得だ。髪色が特徴ある綺麗な銀なのもそれのせいなのだろうか。


「見た目は普通なのにね、そうなんだ。」


「普通、、、か。」


ラザァの言葉を受けてミラはボソッと呟く。




「その廃棄された軍の施設ってどんな建物?」


「普通の軍用車の倉庫のはずよ、近くに人が住んでるような建物もなくて倉庫とかばっかりだから誘拐して監禁しとくには申し分ないわね。」


車庫ならば恐らく入り口は一つか二つくらいしかないだろう、相手も監視を立てているだろうし2人での潜入は無理がある。


いくらミラが強くても少ない出入り口を固められられて守られると容易には突破出来まい。


誰か助けてくれそうな人は?ミラ曰く異民のラザァでは警察や軍は動いてくれない。それになによりパイリアに来て2日目のラザァに助けてくれる知り合いなどほとんどいない。

そう考えて昨日の門での出来事を思い出した。何でも助けが欲しければ連絡しろと言ってきたあの金髪の衛兵だ。確かにレスフォードとか呼ばれていたか。


誘拐犯の話だと彼も襲われているはずだ、無事だという保証はない。それに彼はミラを何やら警戒していた。ミラの手伝いを頼んで引き受けてくれるか微妙なラインだ。


それでも他に頼れそうな人はいない、古道具屋の爺さんも話したことはあるが頼りにならなそうだ。


ラザァはポケットに入れたままになっていた昨日貰った名刺を取り出す。


「ミラ!さっき携帯電話を誘拐犯から取ったよね?少し貸してくれる?」


「いいけど誰に欠けるのよ?あんた知り合いいるの?」


ミラが携帯電話を投げながら胡散臭そうな目で見てくる。


「昨日の門での衛兵覚えている?年をとってて金髪でおでこが少し広い方。」


ラザァはその時に困ってた時のために名刺を貰った事を話した。もちろん彼がミラを警戒していたことは伏せてだ。


「衛兵なら信用できるだろうけど、、、信じてくれるかしら?」


「さっきの誘拐犯の話だとこのレスフォードさんも襲われているはずなんだ、無事だとしたらそのことが何よりも信じる証拠になる!」


そう言いつつラザァは番号を打ち込み電話をかける。


数回のコールの後に息を切らした中年の声がした。


「誰だ!今取り込み中なんだ、悪いが後に、、、」


「昨日の門でお会いした異民です、名前はラザァ フラナガン!」


「、、、何?何があった?」


名前を出すと電話の向こうの雰囲気が変わるのが伝わってくるようだった。


「レスフォードさん、単刀直入に聞きます。あなたは何者かに襲撃されました?」


「、、、お前、何を知っている?」


レスフォードは問い詰めるようなキツい口調に変わった。


「僕らも同じ連中に襲われました。そして昨日の女の子の1人が連中に誘拐されました。今から助けに行くところです。力を貸してもらえませんか?」


「なるほどな、俺も実はついさっき変な奴らに襲われて撃退したばかりのところだ。第二陣が来ないように逃げていた。どうすればいい?」


レスフォードも似た状況にいるらしくすぐに乗ってくれた。


「奴らのアジトに心当たりがあります。誘拐された女の子を助けるのに人手がいるんです、手伝ってください。」


そこまで言ってラザァは目的地の名前がわからない事に気がついてミラに聞く。


ミラから聞いた場所を伝えるとレスフォードは驚かず、むしろ納得したように言った。


「なるほどな、そういうことか。」


「驚かないんですね、同僚が関わっているかもしれないのに。」


軍隊でも部署とかあるだろうが同僚と言っても構わないだろう。


「むしろ確信が持てたよ、俺の部下、お前らが昨日会ってるリード二等が裏切り者だ。」


そう言ってレスフォードは歯ぎしりをした。


「同僚で本当に信頼できるやつだけを少し連れて行く。くれぐれも先に突入とかするなよ、それの例の銀髪の女にも気をつけろよ。」


レスフォードは返事も聞かないでそのまま電話を切った。


これで人手はなんとかなるだろう。


それにまたミラについて言っていたがそれはさっき本人から聞いた獣人の血の事を言っているのだろうか?だとしたら大丈夫だと伝えとくべきだったか。


「もうすぐ着くわ、で、彼は何て?」


ミラがラザァから携帯電話を受け取りながら聞く。


「やっぱり襲われてたけど撃退して無事らしい。信頼できる仲間を連れて向かってるって。」


「それとくれぐれも無茶な突入はしないでって。」


これはミラになんとしても伝えておくべきだと思うので付け足した。


「私もそこまで変なことはしないわよ、さあ見えてきたわ。」


前を見ると金属製の柵に囲まれたレンガ造りの大きな建物が見えてきた。確かに古い看板に「パイリア軍 陸軍車両基地」と書いてある。


2人は難なく柵の壊れている場所を見つけると敷地内に進入した。


調子良いのでほとんど連続投稿です。

よろしくお願いします。

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