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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある青少年の青春の一幕

さらば俺を焦がす日々よ

作者: Hino

「…でさー、その芋みたいな名前の映画さ、すっげぇ面白かった訳よ!! 途中で寝ちまったけどな。でな、お前暇潰しは映画なんだろ?知らねーか?」


あぁ、もちろん知ってる。

この前の土曜の深夜だろ?

アイダホがやってたな。

……なんて教えねーけど。


「んな時間、寝てるわっ!!」


いつもと同じ、軽いツッコミで奴の肩に触れる。

あ…少し筋肉落ちたか?

そもそもんな映画見てんなよ。

それ男同士の恋愛モノだぞ?

……なんて言わねーけど。


=====


受験が近付いてきた中学のその時期。

奴への感情を自覚したのは、クラスの喋ったこともねー女子からの告白だった。


「好きです!」


……いきなり言われても。


それが率直な感想だった。

で、次に浮かんだのは奴の顔。

……意味も分からずただ赤面してその女子を少し勘違いさせたが、即座に「ちっ、違う!!好きな奴がいるんだっ」と断った。


それから暫くは自分の感情に付いていけなかった。

奴の一挙手一投足……

それに一喜一憂……

自分自身がバカらしかった。


でも……

思春期ってのは存外欲望に素直らしい。

夢に見ちゃ認めざる得なかった。

好き、ってな。


=====


で認めたは良い。

奴に惚れさせてやるっ!!

……なんて夢物語を言えるほど俺の頭は終わってなかった。

何せ、奴には彼女がいる、とびきり可愛い、な。

…そう、俺の初恋は始まる前から終わってたんだ。


でも、良かった。

もうすぐ卒業だから…

奴と同じ高校を受験する前だったから…

行くのは奴と違う高校にする…


奴を見て、嫉妬、自己嫌悪、歓喜……そんなものに身を焦がす日々はもうすぐ終わりだ。


=====


「おーい、なにしてんだよ、遅刻するぞ?」


新学期、つまり高校に上がって初めての日…なぜお前がその制服(ふく)を着ている?

都内屈指の全寮制の男子校、つまり俺が通う高校。


「ったく、水くさいよなっ。親友の俺に内緒で進学先変えるなんてさ。おばさんに聞いてなきゃ、俺、高校でぼっちになるとこだったろ?」


……彼女と同じとこにすりゃあ良いじゃねぇか、思わず呟けば、「親友が大事だっ、て言ったらフられちった。」とあっけらかんと笑った。



………あぁ、つまり俺を焦がす日々はまだまだ続く、と。

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― 新着の感想 ―
[一言] 新着から読みに来てみました。 主人公男くんの苦難の日々はまだ続きそうですね… このままシリーズ化してもいけそうなお話ですね! 一件、脱字の報告です! 認めざる得なかった→認めざるを得なかっ…
2015/02/10 10:50 退会済み
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