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説明会のあとに、出会いました。
大学4年生。
「多村佳菜子と申します。本日はよろしくお願いいたします」
半年以上、無理矢理口角あげ続けてれば、愛想笑いもだいぶ上手くなったと思う。
だけど、
「…君ねえ、うちじゃなくてもいいんじゃない?」
これが現実なのか、8月になっても就活は終わらないし、甘えられる恋人もいない。
というより、正直付き合った経験がない。
恋人も内定もある友達には、慰められてもなんか虚しいし。
今年の夏だってどうせ恋の季節にはならなくて、ただただ内定欲しさに笑顔張り付けて動き回るんだろう。
毎年行ってたフェスだって今年は我慢したし、特にない志望理由だって毎回絞り出して書いてきた。
「なのに、なんでこんな受からないの…?」
数日後にわざわざ郵送されてきた封筒の中身は、これからも就活頑張れよ、と軽く肩を叩かれたような紙切れ1枚。
なんだってんだよ、ちくしょー。