表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

stege 005 「もう無理です」宣言

  「退職希望します」


 ある朝鳴白翔太は、その言葉を勇気を注ぎ口にした。

 声は震えていないけど、確かに声に出た・・・。


上司の反応は・・・・・。

 「いまじゃないな」否定された。

 「人手が不足しているのは分かるだろう?」

 「数字が落ち着いたら。今はそのタイミングじゃない」

聞きなれたフレーズ。


 "今じゃない、じゃいつなのよ、間接的じゃわかんないよ"という問いは静かに葬られる。



数日後、また一人先輩は退職した。

 何も言わずに、ただ机の上がきれいになっていた。

 

 それを目にした翔太は、同期の早川にぽつりとこぼした。

 「自分の事誰にも話せず他人の退職だけが毎回"己の事"のようで、苦しいんだよ」

早川は黙って頷いた。



その沈黙に言葉以上の理解が存在した。

鳴白翔太は心のどこかで気づいていた。自分はもう壊れかけていることに・・・。


 眠れない夜・朝の吐き気、"営業スマイル"の奥で何かが抹消されている感覚。



 『もう無理です』

 その言葉を声に出せるようになったのは確かな進歩だった。



その一言に許可証が必要な社会がここに存在しているのだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ