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【第1章一気読み】魔力なしの魔術師  作者: YD
第1章【黄金編】
8/29

7「黄金」

ミカの魔術発動数秒前。

ユウドラとペテは目の前の戦闘を見ながら話していた。


「もし勝てなかったら?」

ペテが暗い顔で言った。

ユウドラは少し考えたあと、

「相手は水銀級、こっちには大天使が2人だ。9割は勝てるね。」

と、自信気に言う。

何でお前がドヤるんだよ。

と言いたかったがペテは言葉を飲み込んだ。




突然、空気の温度が上がった。

ミカの魔術が発動されたのだ。

「もう魔術使うのか。大天使様も必死だってことだ。」

戦場を見下ろしながらユウドラは言った。

大概の敵は灰も残らないのだが...


ユウドラの脳内にひとつの不安が残っていた。

9割のうちの残り1割。

万が一起こり得る最悪。

考えすぎか。




次の瞬間。



火柱が消える。



いや、かき消された。




とてつもない速さで陣が展開される。

天を覆うような巨大な陣は、この場にいる大天使から展開されたものではない。

ドラゴンだ。

あのグノースが魔術を発動させたのだ。



「何だ、あれは。」

ペテが目を見開いて呟いた。

「クッソ!!!万が一が出やがった!!!」

ユウドラが叫んだ。

「ペテ!すぐに参戦するぞ!」

ペテは何がなんだか分からない顔をしている。


最悪だ。

よりによって最悪の万が一を引いた。

グノースは本来魔術を使わない。

知性がないからだ。

それを覆すとしたら結論はただ1つ。


「あれは水銀級なんかじゃない!【黄金級】だ!!!!!」

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