表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第1章一気読み】魔力なしの魔術師  作者: YD
第1章【黄金編】
6/29

5「戦闘開始」

「大天使だって?」

聞き間違いだと思ったのか、ペテが聞き返してきた。

「ああ、あの2人はセフィロト最大火力、

 火属性のミカと風属性ラフィ

 ご本人様だよ。」

ユウドラは説明する。



大天使。

セフィロトのなかでも上位7名に与えられる称号。

武術、判断力、魔力量、魔力操作など、

あらゆる面で常軌を逸した強さを誇る。

それぞれの属性の頂点と称され、



現段階でもっとも"神"に近づいた存在と言われている。



その瞬間、

眩しい光と共に激しい音と衝撃が響いた。

戦闘が始まったのだ。


先制はラフィ。

彼女が手にしているのは真っ黒い金属の塊。

持ち手があり、先端からは小さな煙があがっている。

再び構えたラフィは、持ち手についたトリガーを引く。

たちまち金属の中で爆発音がし、

火花ともに押し出された弾が

(正確には魔力弾だが)

目には見えない速さでドラゴンに降り注ぐ。


銃火器がモデルなのか...

と、ユウドラの脳内に今は無き古代の武器がよぎる。


ラフィ、風魔術の使い手。

手に握られた銃火器を模した武器は彼女の魔術によって作られている。

魔力を圧縮、風魔術を付与し加速させることでその殺傷能力を高めている。

効率の良い戦闘方法である。


ラフィの撃った銃弾は辺りに爆撃の如く降り注ぐ。

土煙が舞い上がる。

確かに彼女の攻撃は強力だがドラゴンには決定打にはなっていない。

ドラゴンは警戒体制をとる。


忘れないで欲しいのはこのドラゴンは

国家脅威レベル水銀級であるということ。

その鋭い爪を振るえば家ひとつは軽く吹き飛ぶだろう。

大天使とはいえこのドラゴンに傷をつけることは容易いことではない。

しかし、彼女の役割はダメージを与えることではない。


この硬い鱗を貫けるのは炎を纏う大剣。

土煙から出てくる1人の少女。

ラフィに気を取られているうちに距離を積めたミカは

その手に握られた巨大な剣を振り上げる。


剣だったはずだ。


その斬撃から繰り出されたのは天に昇る火柱だ。

いや、爆発の方が正しいかもしれない。

耳をつんざくような爆音が空間を歪める。


「なんて威力だ!」

ペテが目を見張っていた。


ミカ、炎魔術の使い手。

自分の体ほどある大剣から繰り出される斬撃は炎のように燃え広がり、

爆発する。

単発の威力は大天使の中でも頭ひとつ抜けている。


「おー流石噂の天才なだけあるなー」

戦闘の一部始終を見ながらユウドラが言った。

「あの2人はセフィロトに入隊して3年で大天使になったらしいぜ。」

「3年!?」

ユウドラの発言にペテが驚く。


無理もない。

ペテは元セフィロトの大天使だ。

その称号がいかに貴重なものか彼がよく知っている。


「俺は10年かかったのに...」

ボソッと呟いたペテを横目に見ながらユウドラは続ける。

「努力とかで行ける領域じゃない。

 もちろん、才能の塊だが、

 それ以上に強靭な精神も必要だ。

 なに考えて生きてたらあーなるんだよ...」


今のところあの2人はちゃんとした魔術を使っていない。

純粋な魔力をただぶつけているだけだ。

それであそこまで火力が出ているとは、

大天使とは恐ろしいものだ。


「バグってんな。マジで。」

ユウドラの底からでた本音だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ