2「魔力なし」
少年の名前はユウドラ。
世界中旅をしながら生活している魔術師である。
卓越した魔力操作の持ち主であり、その才能はまさに天才である。
だが、彼を知っているものは少ない。
「とりあえず安全な場所に移動しなきゃな...」
この辺りは危険だ。
さっきのような怪物が大量にうろついている。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
突然、体の奥から熱いものが飛び出してきた。
血だ。
口から血を吐いたのだ。
体から力が抜ける。
ユウドラはその場に倒れてしまった。
目の前で棒のようになってしまった魔術師を見て慌てる少女。
あ、やべ。魔力使いすぎた。
魔力とは、世界に干渉するエネルギー。
すべての生命は生命エネルギーと魔力を生まれつき持っている。
例外を除いて。
魔力を使い果たせば、「魔力枯渇症」、
過剰に摂取すれば、「魔力中毒」の症状が現れる。
現在ユウドラに起こっているのは魔力の代わりに
生命エネルギーを無理やり使用した際に発症する魔力枯渇症である。
「早く、逃げて...」
とにかく少女を逃がさなければいけない。
ユウドラは声を振り絞る。
早く逃げないと。
もう既に近くに1体のいる。
いや、もう目の前だ。
少し目を動かすと既に怪物が見える。
さっきのとは違う。
人型の怪物だ。
骨だけのような体に手には鋭い剣のようなものを持っている。
そう、こいつらは色々いるんだよな。
と、どうでもいいことを考える。
そんなことより、
これは本気でヤバイやつだな。
頭の中から選択肢が消えていく、
次の瞬間、
怪物の頭が飛んでいた。
少し遅れてから銃声のような音が聞こえる。
やっときたか...
「ちょっと!誰かと思ったら吐血魔術師じゃない!」
鋭い声が聞こえる。
少女も声のする方を振り返った。
制服を着た女の子が2人立っている。
「ここは危険地区よ!私たちセフィロトの戦場なんだから帰りなさい!」