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【第1章一気読み】魔力なしの魔術師  作者: YD
第1章【黄金編】
2/29

1「少年」

商店街の一角。

人々が集まり、その声が絶えることはない。

誰もがそう思ってた。

今は静まり返り、店は2度と開店することはない。

猫の声1つ聞こえず、生き物の気配すら存在しない。


否、そこに1人の少女が立っている。

本来ならば小学校に通っていてもおかしくない年齢である。

服は破れあちこちに転んだと思われる傷。


少女は絶望していた。

何故なら彼女は今、自らに死の選択を迫られている。

足が思うように動かない。

「あっ...」

恐怖で声が漏れる。

今動けば目の前の怪物に殺されるかもしれない。

ただ今は相手を刺激するべきではない。


目の前にいるのは黒い怪物。

この世界とは違う異様な存在。

犬のような見た目だが、その生命体を名称で表すことはできない。

手には体の半分ほどある強靭な爪。

ノコギリのような歯。

すべて機械的で加工した黒曜石のような体をしている。


「グルル...」

奇妙な声が少女の恐怖をあおる。

瞬間、怪物の輪郭がぼやける。

体格に似合わない筋肉質な足で飛びかかっていた。

その爪は少女の肉体を切り裂こうとする。

それは死という運命。

どうすることもできない事象。

それを変えられるとするならば...


バギッッッッッ!!!!!


怪物の爪が少女に触れようとする瞬間、

怪物がつぶれた。

いや、空から人が着地したのだ。

怪物を下敷きにして。

手には刀のような武器。

それは深く怪物に刺さっている。

「大丈夫?」

何も無かったかのように聞いてきた。

空から降ってきたのは少年だった。



あっぶねーギリギリじゃーん...

ビルから飛び降りて刀で刺す。

最速で倒すにはこれしかなかった。

「ごめんね。驚いたよね。」

とりあえず謝っとく。

女の子だ。

何もない廃墟とかしたこの都市で女の子が1人。

親とはぐれたのだろうか?

じゃないとしたらもしかして...

「!!!」

女の子の顔色が変わる。

彼女は少年を見て驚いたのではなく、

後ろから近づく2体の怪物に驚いたのだ。

そんなことは分かってる。

何なら飛びかかって来ていることも分かってる。


これは範囲攻撃だな。


後ろに手を伸ばす。

体からエネルギーの流れを感じ、それを形にする。

その瞬間、少年の目の前に陣が現れ、目の前の敵を粉砕した。


大気の増幅に範囲補正。

軌道補正をかけたあとにエネルギーを流し込む。

複雑な行程がすべて少年の脳内で完結する。


粉砕した敵だったものは壁にめり込んでしまった。

「とりあえずこんなもんかな。」

少年は満足げに笑った。


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