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芽吹きの巫女  作者: メイズ
転生・転生・転生
56/59

【幕間】不思議な女の子 2

 夜はキャンプファイヤー。


 初めて見たキャンプファイヤーは、幻想的ですっごく綺麗。


 天に舞い上がる火の粉。


 オレンジに照らされたみんなの顔は、すごく楽しそう。


 お友だちと輪になって、お歌を歌って、おいしいごはんもたくさん食べれたし、本当に幸せ・・・


 ああー、毎日がキャンプファイヤーだったらいいのに。



 *



 それは深夜だった。


 まさかロッジが火に包まれることになるだなんて!!



 気づけば、私たちがキャンプファイヤーになりかかってたの!


「起きてッ! シャイラ、大変だよッ! 火事だよッ!!」


 隣でぐっすり寝ているシャイラをバンバン叩いて起こした。


「う・・・痛ったぁ・・」


「火事だよッ! 逃げなくちゃいけないけど、出るとこが無いよ! 逃げ道がみんな塞がれてるッ!!」



 煙の臭いで気づいたら、出入り口も窓も既に外に火が回っていたんだ!


 みんな朝からはしゃいで疲れてたから、ぐっすり眠っていて気づくのが遅れたの。



 寝ぼけ(まなこ)のシャイラが、やっと半分起き上がってくれた。


 ゆっくり首を回して周りを見渡すシャイラ。


「・・・本当だ。あの人たち、憎さ余ってまさかこう来るとはね・・・」


 急に起こしたからシャイラはまだ寝ぼけてる。 どんな夢見てたのか知らないけど、これは夢の続きじゃないんだよ!


「わーん、シャイラ! しっかりしてよぉ〜! ねぇ・・どうしようッ!!」


 シャイラの肩を掴んでグイグイ揺すった。



 みんなパニックになって叫んでる。子どもたちは咳込みながら、大人にしがみついて恐怖で泣いてる。


 ボランティア隊長のおじさんが、必死で壁に斧を振り下ろしてるけど、とんでもなく太い丸太で出来た壁を割る事なんか出来てない。



 どうして外側の窓の前と、出入り口だけ燃えてるの? 私たち運が悪すぎるッ!!


 窓際は熱くて近寄れないよ!



 パリンッとガラスが割れて、余計熱くなった。



「・・・私はロッシェルと孤児院を守らなければならない。彼らにもう同情の余地はない」


 シャイラが寝袋の上で、お祈りポーズしながら独り言を呟いた。



 こんな時にお祈りしてる場合じゃないってばッ!! 出入り口からの煙で、周りには白い煙が立ち込めて来たよッ!


 もーッッッ!! ゴホッ・・・ゲホゲホッ・・・


 だめだ・・・シャイラは恐怖で現実逃避してるんだ。


 もう、みんな自分たちのことだけで精一杯。阿鼻叫喚の地獄のロッジ。2歳お姉さんの私がシャイラをなんとかしなくちゃ!



「シャイラってば! お願い、立ってよぉッ!」


 私は半分泣きながら、シャイラを引っ張る。



「ちょっと待って、ロッシェル。あと少しで全部奪えるから・・・」


 奪うって? シャイラはいったい何をお祈りしてるの?



 喧騒の中で、1人祈っていたシャイラがスッと立ち上がった。



「・・・私は言われたことを遂行するだけ。後のことは知〜らない」


 私を見てニコリと微笑んだその顔は、お人形のように愛らしいのに、なぜか背筋がゾクリとした。



 シャイラは天井を見上げ、両腕を天に伸ばし突然叫んだ。


「お前たちの残りのその命、命育む水になあれ!」



 数秒後────


 急に轟く雷鳴が聞こえた。


 火事なのに、ピカっと外が光ったのが分かるくらい強い光が窓から入って来た。


 次いでドドドドと地面を揺るがす、すごい地響き。


 ザザザザザーーー・・・・


 急に振り出した大雨!



「これは・・・急な雷雨だ! 皆、落ち着け! これで俺たちは脱出出来るぞ!」


 ボーイスカウトの隊長がみんなに叫んだ。



 今まで熱くて近寄れなかった窓に近づくことが出来るようになって、ボランティアのお兄さんが外を見てる。


「隊長! 火が・・・火が急激に静まっています! 扉付近は焦げと熱がひどく通れませんが、今なら窓から外に出られます!」


「よし! 急いで散らばったガラスを避けよう! 窓からお前が先に出て外で子どもたちを受け取れ! 俺が皆を出す!」



 *



 擦りむいたり、切り傷の子はいたけれど、みんな無事だった。


 楽しみにしていた翌日の釣りは無くなり、私たちは別のロッジで明るくなるのを待ち、そのまま帰途についた。


 それにしても────



 *



「大きな木への落雷が、ロッジの横に刈って山になってた枯れ草に引火したことのより、運悪くロッジの周りが焼けたけれど、私たちは引率してくれてたボーイスカウト隊員らの適切な対応により、無事に済んだ」ってことになった。


 でも、変だよね? 落雷の前から火事になってたよ? 外ではすごく油の臭いもしてた。燃えてたのはロッジの周りだけって? それなのに・・・・



「ねえ、大人たちが言ってることっておかしくない? 臭い油の臭いしてたよね?」


 他の子たちに聞いても、揃ってそんなこと知らないって言うし、余り思い出したくないみたい。


 気にしてるの私だけ?


「ねえ、シャイラ。大人たちはおかしいよね? ロッジの火事の時、シャイラは雨乞いみたいなお祈りしてたよね?」


「・・・大人たちはまあね。下手なこと言うと命が・・・ううん、何でもない。あのね、私のお祈りは、ロッシェルを、孤児院のみんなを助けてって神様にお願いしてただけだよ?」



 シャイラったらなんて健気なの?


 恥ずかしそうに首を傾げながらニコリと笑ったシャイラの顔は、最高に可愛い。この子が私の本当の姉妹だったらよかったのに。


 ・・・待って?! 私、可愛らしさで誤魔化されてない?


 けれど、私の話を聞いてくれる子はいない。ただ、シスターたちだけは信じてくれた。


「ロッジの火事は災難でしたが、神様がこの孤児院の子どもたちを護ってくださったのでしょう。・・・シャイラはとても不思議な子ね。あの子には天使様のご加護がついているようです。もちろんあなたにも、この孤児院にも」って。遠い目をしてそう言った。


 大人って、いつも何かを隠してる。何かは分からないけど。


 私はね、天使様のご加護というより、シャイラ自身が天使様の生まれ変わりかもって思う。誰にも言わないけど。


 *


 あれから2週間後、シャイラの実のお母様とお祖父様が相次いで亡くなったというお知らせがエラさんという婦人から孤児院に届いたらしい。


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眠りにつく前に
魔女狩りに遭う運命を察知した少女の運命は・・・
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