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芽吹きの巫女  作者: メイズ
宮殿への誘(いざな)いと、謎の美少女
11/59

【幕間】 思い出

 

 ────私ね、ずーっと前からシャイラのことを知ってたわ。


 私のお気に入りのシャイラ。優しく聡明、そして勇敢な小さな女の子。


 *


 シャイラ、ごめんね。


 私の贔屓(ひいき)が過ぎたせい。あなたに良かれと思ってしたことで、返ってあなたに難題を与えることになってしまった。


 あなたは大蛇から私の短剣を取り返さなければならなくなった。私はスペアの短剣を持っているけれど、今回は、さすがにあなたに貸すことは出来ないわ。


 けれどシャイラ、あなたならきっと難題をクリア出来るって信じてる。


 *


 果樹園の木陰に置かれた籠の中で、柔らかい布に包まれて泣いていた赤ん坊のあなた。


 母親は作業に追われていて、あなたがお腹が空かせて泣いたって、すぐには来てはくれないの。


 辺りに響く、その力いっぱいの泣き声。なんて元気な赤ん坊でしょう!



 うぎゃー、うぎゃー、うぎゃぁーーーーーん!! 



 密林の小鳥たちがびっくりして、さざめきながら群れをなしてバサササ飛び立った。


 これはちょっと危険だわ。四つ足の動物たちも聞き耳を立てているもの。



 見かねた妖精が一人やって来て、美しい声で子守唄を歌いながら、青緑に輝く美しい羽根の鱗粉(りんぷん)を赤子に振りかけた。


 それは夢見の魔法───


 あなたは妖精の祝福を浴びて、泣き止んだ。うつらうつらと眠気に誘われて。



 (あお)くきらめくモルフォの粉を浴びたなら、浅い眠りの世界へ。


 楽しい夢をみられるの。心の望むままに───


 だからほら、ウトウト眠り始めたあなたの口元から、不意に漏れる小さな寝言の笑い声。



 ああ、良かった。やっとママが来たようね・・・


 抱き上げられたあなたは、空腹を思い出して大きな声で泣き出した。


 *


 あなた自身さえ知らないでしょう?


 実はあなたは妖精の祝福を受けているの。


 それはゼニスおばあさまでさえ知らないのだわ。



 ねえ、シャイラ? 赤子の時に受けた妖精の祝福は長続きするものよ?


 だからシャイラの歌う子守唄は、聴くもの全てに良き夢をみさせるはずなの。


 ウフフ、シャイラはいつ気がつくかしら・・・?



 *



 哀しいわ。仲良しになったとしても、あの子もどの子もみな私のことは忘れてしまうのよ。


 だからシャイラ? お願いよ。必ず戻って来てね。



 ────私が待つこの宮殿に・・・



少し休みます。次から第2の冒険です。

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眠りにつく前に
魔女狩りに遭う運命を察知した少女の運命は・・・
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