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芽吹きの巫女  作者: メイズ
宮殿への誘(いざな)いと、謎の美少女
10/59

清廉の雫

「さて、その試験ですが。今回、シャイラは一人であの祠まで行く必要があります」


 エエッ ((((;゜Д゜))) 私、宮殿の密林を縄張りにしてる蛇のボスみたいなのに恨まれてるはずなんだけど・・・


「そして、アルシアは祠に入る必要があります。扉を開くには、アルシアの失われた短剣が必要です。あれが扉を開く鍵なのです。んー、どうやら大蛇から取り返す必要がありますわね」


 ゲゲッ (;・∀・) ウソだ? ど、どうやって取り戻せばいいって言うのさッ!!


 私は、いともサラッと難題をお子様の私に言いつけるゼニスおばあさまに凍りつく。


 不思議の世界って子どもにもやたら厳しいよ・・・


 今、鏡を見たら、私の顔は私のおじいちゃんみたいに、眉間に深いシワが寄ってるに違いないよ。



「祠の中から地下に続く道を探しなさい。地下室には、かつてアルシアの眷属であった古代の巫女らが残した清廉の(しずく)が結晶化された呪物が納められています」


「えッ、待ってください! じゅ、じゅ、呪物・・・」


 呪い? 怖いよ・・・ (。ŏ﹏ŏ)


 ただアルシアのお友だちでいたいだけなのに、それってこんなにも難しいことなのッッッ!? 


「それは、生きとし生けるものが生まれながらに持つ自然の法則におもねる部分、この星の生き物として生まれた人間の、まだ穢れ無き時期の純粋な精神の欠片(かけら)が集まり結晶化したものです。それは決して恐ろしきものではありません。むしろ邪悪に触れれば呪物の魔力は弱まってしまう。ですからこそ、それに触れる資格がある者を我々は厳選しているのです」


 へぇ~、どんな形なんだろう?


「アルシアは清廉の雫に到達までの部分を、シャイラのためにショートカットしようとしました。シャイラ本人に目的も告げずに、そこまでの道のりで与えられるはずの一連の課題をほぼ無きものにし、アルシア自身がシャイラの代わりに祠の扉を開いてしまおうとしました。なれば罰が下りアルシアはあのような恐ろしい目に・・・」


 えッ、あれってアルシアが私にズルさせようとしてバチが当たったってこと?


「そのせいで子どもには相応しくない大蛇克服という難題がシャイラに付与されてしまったのです。さらにシャイラは大蛇から短剣を取り返さなければならず、次の試験の難易度は上がってしまいました」


 えーーーッッ!! (TдT) 


 そりゃ短剣を失ったのは私のせいでもあるけどさ・・・



「『清廉の雫』を目の前にしたのならば、祈りを捧げ、問いかけるのです。自分がアルシアの眷属にふさわしき者であるかどうかを。それが古代巫女残滓による承認試験なのです」



 ゼニスおばあさまの追加の説明。


 ────シャイラ、よく聞いて忘れないでいてください。『清廉の雫』は4種類ありますの。



 全ての生きとし生けるものの生命とその誕生を寿ぐ『芽吹き』、


 この星に生を受けし命の、眠りと死を見守る『輪廻』、


 自然界における様々な(しゅ)の精の融合、純粋なる精の結晶化『妖精』、


 そして最後の一つは・・・『滅び』


『滅び』については、アルシアが管理するものであり封印されております。


 わたくしは、この最後の魔力がシャイラの世界に、再び使われることは無いことを祈っているのです。わたくし以前、シャイラには失われた大陸、2つのドラマをお話しましたね?


 あれはずーっと昔、シャイラが想像も出来ないくらい昔に、本当にあった出来事なのです。大陸が失われてしまったのは、大陸の人間たちがアルシアを完全に失望させたからです。


 アルシアが自身の消滅ギリギリまで耐えた末、自分を守ったゆえのことなのです。


 穢れが充満した大陸は、丸ごと消し去るしか無いのです。そこに僅かに残された、稀少となりし清廉が犠牲になるとしても。


 世界の精、全てを支配する、この星のあらゆる精を循環させ、また精から生まれるエネルギーを制御する『統括』は、アルシアという清廉な聖なる少女の役割なのですよ。


 シャイラが巫女の候補に適ったと『清廉の雫』にみなされたならば、『滅び』を除いた3つの『清廉の雫』の内のどれかしらが、シャイラが捧げた祈りに呼応するでしょう。



『芽吹き』『輪廻』『妖精』には、それぞれにアルシアの眷属となる巫女がいるのが望ましいのですが、今はアルシアが統括と共に、これら全てを一人で行なっています。適任となり得る者が現れぬがゆえに。



 *



 私がアルシアの眷属候補! 私は『清廉の雫』の巫女候補なんだ───



 クラクラしちゃうよ。私が神様みたいなお役目を果たせるとも思わないけど、今さら引くに引けないよ・・・


 なるようになるよね。私、この試験で死なないよね?


「この試験において、シャイラの命が失われる事態になりましたら、そこで試験は終了です。宮殿に関する全ての記憶は消えて、家族の元に無事帰れることをこのゼニスが保証します。この試験を受けることでシャイラとしての命が消えることは絶対にありませんし、体に受けた傷は戻った時には完全に癒されていますから安心してください。けれども、試験中に受ける痛みは本物ですよ。もちろん、途中でリタイアしても構いませんし、その場合も措置は同様です」


 ───だって!!



 おうちでは、私の影が私の代わりをしててくれるらしいから、攻略に何日かかっても気にしなくていいらしい。


 ワワワ、さっそく明るいところでも私に陰が出来なくなってる!! 後で返してくれるよね?


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お読み頂きありがとうございます
眠りにつく前に
魔女狩りに遭う運命を察知した少女の運命は・・・
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