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鶴姫の性格(姉弟のような関係)

農作業の時期が終わると、宗治達も久之助も高松城での仕事が(おも)になっていった。


そんな周囲の者達の状況の変化も有り、鶴姫は暇を持て余し、高松城で働く者(住む者)の生活を観察する事が日課になっていた。


人々の生活を覗き見しながら、時には自分が生きていた常山城での生活を思い出し、感慨に浸る事もあった。


鶴姫は、生来正義感が強く、面倒見が良く親分肌の女性であった。又、竹を割った様なサッパリとした性格であった為、常山城の侍女達は城主の正妻というよりは、頼りになる姐御として接している様子で、皆がそんな彼女を慕っていたのであった。


その気質が抜けない鶴姫は、高松城で事件が起こると、それがどんなに小さな事件でも、事件に首を突っ込みたがるのであった。


その時は、嫌がる久之助を無理矢理協力させるのであった。


例えばこんな事件があった。


宗治の正妻トキの大事にしていた(かんざし)がなくなった事があった。状況が発覚した後、先ず疑われたのがお菊という侍女であった。お菊は、トキの部屋の掃除担当者であった為、一番に疑われてしまったのである。


状況を知った鶴姫は、お菊という侍女の家柄が悪くない事、又18歳と若い事、盗まれた簪が若い娘がするようなモノでは無いと疑問点を挙げ、犯人は別にいると推理したのであった。そして、鶴姫は真犯人は又犯行を繰り返すと予測し、トキの部屋を一人監視し続けたのであった。結果、1週間もしないうちに、外から来た植木切(うえききり)の男が再びトキの部屋へ盗みに入った時、直ぐに久之助に其れを伝え、犯人を捕まえた。その後、犯人は最初に盗んだ簪の件も自供し、お菊という侍女の無実が証明されたのであった。


その事件後、城内の者は、久之助を千里眼の竹井様と呼ぶ状況になり、目立ちたくない久之助としてはえらく迷惑な状況になってしまった。


『鶴姫様、あまり現世の事には首を突っ込まないで下さい!とばっちりを被る私の事を考えて行動してください‼』と久之助が鶴姫を注意すると、『案外器量の狭い男だなお主は、無実の女性を救えた事を喜びと思え、このウツケ者が・・』と鶴姫が、『ウツケ者とは、聞き捨てなりませぬ・・・』とケンカをする始末。


又、助けられた侍女が久之助にお礼を述べている姿をみて、彼女が居なくなると、『あの娘、お前が好きだぞ、女の私には分かる!。』と久之助に要らない事まで伝えるので、『止めて下さい!。』と久之助が怒る、もし二人のやり取りを見る事が出来る人がいたら、二人を仲の良い姉弟(きょうだい)と間違う者も多くいただろう。いつしか二人はそのような関係になっていたのであった。


そして最近の鶴姫の一番のお気に入りは宗治の子、原三郎(げんざぶろう)であった。原三郎は、この年未だ4歳の幼子で、幼子の純粋無垢な表情、行動総てが可愛くて、暇が有れば鶴姫は彼を見に行くのであった。


久之助も、自分が失くした息子と原三郎の歳が近かった事もあり、自分の子の様に可愛がっていた為、長屋で食事をする時の二人の会話荷はよく原三郎の名が出てきた。


そんなある日の事、原三郎の母が子から目を離した隙に、原三郎が庭へ独り歩いていき、危うく池に落ちそうになった。


其れをみていた鶴姫が咄嗟に助けようと原三郎に駆け寄り、二人の体が重なった瞬間、鶴姫の意思が原三郎の身体に乗り移ったのである。


池に落ちる事を回避した彼女は、池から離れワザと泣いた。泣いたと思ったら、身体が宙に浮き、気がつくと泣いている原三郎を上から自分がみていたのである。


憑依した時間は、ほんの何十秒という短い時間であった。


暫く何が何だかわからなかったが、その後、同じ事が出来ないか,原三郎に同じ様に重なって試してみたが、何度やっても何時もと同じように身体が透き通ってしまい、再現する事は出来なかったのである。鶴姫は仕方なく諦めたのであった。


様々な事件があり、其れと共に時間が経過していった。いつしか、鶴姫の心の中から高松城の人々への負の感情は薄れていき、本人も知らず知らずのうちに彼らを見守る様に観察する様になっていた。


そんな頃である、宗治の主君小早川隆景より、1通の書状が届いた。


書状の内容は、織田信長に追放された将軍足利義昭(あしかがよしあき)様が備後の国へ亡命して来る事、備後の国へ入る前に中継地点として、高松城で一泊するのでお世話をするようにとの仰せであった。気がつくと、年は1576年に変わり、2月になっていた。

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