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訓練開始(自己申告の鐘)200/200

能島城の部屋に通された隆景は、武吉と座って話始めた。


『武吉殿、石山本願寺と織田信長が戦っている事は知っておろう?。』と隆景は切り出す。


『・・・・。』無言で頷く武吉。


『我が主君輝元殿は、近々織田信長との同盟を破棄する。直ぐに織田との全面戦争になるだろう。』


『織田との同盟が破棄されたら、ワシらは直ぐに、石山本願寺への助力を考えておる。』


『実は、本願寺方より兵糧と武器の援助を望む書状が参ったのじゃ、その物資が整い次第、武吉殿の水軍でその物資を運んでもらいたいのじゃ!。』


『ウム、平時の場合は輸送など、赤子の手を捻るぐらい簡単な事だが、織田も黙ってみてはいないだろうから、事実上、最初の遭遇戦になるとうことか・・・。』


『ワシら村上水軍に名誉ある一番槍を下さると言うのでござるな。』と竹吉は顎に手をやり、言葉と裏腹に険しい顔をして返答した。


『今後の戦の行方を占う、大きな役目であるが・・・、我らが得る利、隆景殿は我ら能島村上氏に何を下さる、その大役に足る恩賞は?』と相手の気持ちを伺う様に、武吉は隆景に聞いたのである。


『大きい事は言えん、これからの事態が其れを決めるのでな。この戦いは長くなるとワシは予想しておる。』


『ただ一つ言える事は、ワシからの信頼じゃ、ワシは受けた恩は必ず返す!』と言い、隆景はその場で武吉に頭を下げたのである。


隆景の様子を見ながら、隆景は言う。


『美味い話を切り出して来たら、断ろう思っていたのだが、恩賞の約束無く、信頼のみとは、逆に断れんわ』と言いながら笑ったのであった。


『ワシは、4年前にお主に負けを認めてから、いつか隆景殿という御仁に一度は恩を売っておきたいと思っておったのじゃ、いい機会じゃ、その仕事、この村上武吉、心で御受け致します。』と今度は隆景に武吉が頭を下げたのであった。


その後、隆景が頭を上げ、『有難い、武吉殿、お頼み致します!』と伝えたのであった。


『面を上げて下され!』と隆景が言うと、武吉は頭を上げ、ニコリと笑顔を隆景に送ったのであった。


重要な件の話が終わり、二人の茶飲みが始まった。


茶飲み話となったのが、清水兵200名への対応であった。


『隆景殿の書状を読んで、ワシの頭に浮かんだのが、我ら水軍の部隊長を選別する試験じゃ、その試みで宜しいか?』と、武吉は隆景に聞いた。


『良い、武吉殿にお任せする。』と隆景。


『ワシらはお主らの様な武士ではない、武士の前に海の民じゃ、海の民は荒っぽいのだぞ、礼儀もヘッタクレモ無い。それでも宜しいか?』と武吉は、再度隆景に念を押した。


『武士に二言は無い。』と隆景は、短く言い、200名への対応が決まったのであった。


『あ奴らから、何名が残るかが、この戦の戦況を占う、厳しく選定してくれ』と隆景が言う。


『承知つかまつりました!。』と言って武吉は自分の茶を飲み干したのであった。


『選定するのは、ワシらではない、あ奴ら自分自身じゃよ・・。』と武吉は意味深げな言葉を残し、話題を変えたのであった。


久之助を含む清水兵達はその日は呼ばれず、食事をとり宿泊所で眠った。


翌朝、一人宿泊所へ来て久助達に船を留めた浜辺に集まる様に指示をした。


浜辺には、昨日まで無かった簡易的に作られた雨よけと、其れに吊るされた梵鐘(ぼんしょう)(仏教用語 鐘)と撞木(しゅもく)(鐘を突く木)が目についた。


久之助達は、浜辺の中心に置かれた其の鐘を中心にして並んだのであった。200名が駆け足で、浜辺に向かい横並び10列、一列20人になって整列する。


200名が整列し、呼吸を整えていると、其処に村上水軍の武士たちと思われる者が十数名、城の方向から歩いてやって来たのであった。


其の者達は、一人の首領らしき男を中心に立並ぶと、中心の男が、久之助達に話始めたのである。


男は、村上武吉だった。


『清水家の方々、備中の国より遠路はるばるよう来られた。ワシはこの島を仕切る村上武吉と申す。』


『お主らの勇名はこの島にも聞こえてきておるぞ、此度、小早川の殿より、お主らに訓練をして欲しいと頭を下げられた、なので、本日よりお主らに我らの訓練を受けてもらう!!』と大きな声で、挨拶をし、今回の遠征の目的を明かしたのであった。


『じゃが、我ら海の民の訓練は厳しいものじゃ、慣れている我ら水軍の者でも、音を上げる者は少なくない。』


『じゃから、もし訓練を受け苦しくなったら、遠慮なく、辞めてもらってもかまわんから安心して欲しい。我々が強制する権利はない。』


『そこで、辞める時の方法を説明する。辞めたくなったら、其処にある鐘を一回、撞木で撞いて知らせてくれ。』


『鳴らした者は、その日の早いうちであれば、その日のうちに、遅ければ翌日に、ワシらが用意した船で安芸の国迄送り届けよう。』


『もう無理だと思った者は、遠慮なくその鐘を一回撞くのじゃぞ。』と武吉は2度繰り返し、念を押したのであった。


『それでは、訓練開始じゃ!』と武吉が言うと、鐘が撞かれ、『ご~お~ん。』と能島全体に鐘の音が鳴り響いたのであった。


久之助達が受ける厳しい訓練が始まったのである。


『面白かった!』


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