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海賊のアジト(村上水軍)

久之助達200名は、一度小早川隆景の領地安芸の国へ行き、小早川家の誇る水軍の船を借りて、伊予の国に近い能島へ向かったのであった。


村上武吉の居城能島(のしま)城は、芸予諸島(げいよしょとう)(しまなみ海道)の能島と鯛崎島(たいさきじま)に築かれた海城(うみじろ)であった。


村上氏はもともと一つで有ったが、時代の経過と共に3つに別れていた。


拠点とする3つの島、因島、来島、能島の名を付け、因島(いんのしま)村上氏、来島(くるしま)村上氏、そして久之助達が向かう能島村上氏とに別れていたのである。3つの村上氏は、同族意識は強いが、時には協力し、時には違う陣営に与し戦う事もあった。


特に、能島村上氏当主の村上武吉は、他の2氏とは連携を取らず、独自路線での選択をする事で有名で、又自由を愛する為、毛利家としては扱いずらい人物であった。


ついこの間である1572年迄は、他の村上氏が毛利家与する中、能島村上氏だけが、敵対する浦上宗景と手を組み毛利家と戦っていたのである。小早川隆景の口から行き先が発表され、それが能島城と発表された時、ドヨメキが起こったのはその為である。


背景の深底(しんてい)には、瀬戸内海の潮流が複雑で荒れやすい水域である事である。


誰でも簡単に、船で移動ができる海ではない瀬戸内海では、水域を知り尽くしている事が大きな武器になったのである。


海運や貿易の協力者として、又戦時には、強力な与力となる彼らとの関係を、中国、九州地方の戦国大名は重視していた。それだけ、彼らの力は強かった。


村上水軍の力の源は、海域を通る船から取る通行料、大事な荷物を運んでいる船は、護衛料を払い護衛をしてもらう、又潮流の変化が激しい為、時には船の水先案内をする事で莫大な富を稼いでいたのであった。


払わない船等には、荷物を奪う、暴力などの報復をするので、人々は彼らを海賊と呼び畏怖したのである。


能島城へ向かっていた船が能島城から大分離れた場所で止まった。


乗っている久之助達、清水兵は、船が止まった理由が分からなかった。


船が止まり、暫く待っていると、能島城から、上という文字を〇で囲んだ、村上氏の帆を立てた船が4艘出て来たのであった。


船は、小早川水軍の近く迄来て、止まる。船と船の間を板で繋ぎ、その上を通って村上水軍の船に乗る様に指示をされた。


隆景の家臣団は、慣れた様子で落ち着いた様子で船に乗り移っていく、船になれない、清水家の兵は、腰が引きつつも慎重に足を動かし、ユックリであるが、飛び移る。その船で能島城へ向かう。


島に近づいて、久之助は初めて船を変えた理由を理解した。島の周囲の潮流は非常に早く、又複雑で、船を動かしている村上水軍の水夫達の顔は真剣そのものであった。熟練の者でも、気が抜けない程、潮流は早くそして変化していたのであった。


短いが、緊張が走る時間を越え、一行は能島へ上陸した。


船を止めたところは、船溜まりと呼ばれる、能島の周りの中で唯一潮が安定している場所である浜辺であった。


能島城は、潮流という天然の要害に囲まれた、まさしく難攻不落の城で別名海賊のアジトと呼ばれていた。


浜辺に着くと、壮年の武将と数十名の兵士が小早川隆景を出迎えた。


『これは、隆景殿、辺境の地まで御足労をかけましたな。』と男は隆景に気さくに挨拶をする。


その言い方は、よく言えば、肩肘をはらない親しみのある挨拶、悪く言えば、相手を敬うという気持ちの無い、緊張感の無い挨拶であった。


男の挨拶を聞いても、隆景はまるで気にしていない様に、『武吉殿とお会いするためには、労を惜しまぬよ。』と親しみを込めた物言いで相手に返答した。


その男こそ、能島村上家当主、村上武吉であったあ。この年40歳、長身だが、横幅も有り均整がとれている体格だった。


鼻下と顎に髭を生やし、少し日に焼けた顔は精悍な顔つきであった。ただ、穏やかな口調と低い声で有る為、海の男というよりは、有能な文官の様な印象を、久之助は受けた。


『しかし、大人数で来られましたな。三日前に、隆景殿からの書状を読んで、又4年前の様に一戦仕掛けてくるのかとビックリしましたぞ。』と言って笑うのである。


本人は軽い冗談のつもりで言ったのだろうが、4年前の記憶が有る者達にとっては、笑えない冗談であった。


『明の国の珍しいお茶が手に入りましたので、先ずはこちらで一服して下され。』と城の入り口を指指し城の中へ誘導したのであった。


『ハハッ。』と苦笑いをするだけで、武吉の後ろについて城へ入っていったのであった。


残された久之助達は、村上の者の案内で宿泊所に連れて行かれた。その場で、隆景の指示を待つことになったのである。

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