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お茶会?が終わってから、3人はちょこちょこ私の家に遊びに来た。

アディにカルル、アリアにカルル...

あれ、毎日カルルが居るような?

今日もカルルとアリアと読書をしながら、お茶を飲んでいた。


「王族なのにひまなんですか?毎日来て大丈夫ですか?」

「ひどいなー、ジュリと一緒に居る為に午前中に激務をなんとか終わらせて時間を作っているのに」

「私は家庭教師が無い日にきてるわ」


私も、皆が午後に遊びに来るから午前中に勉強などを済ませて毎日午後は遊んでいるので、まあ大体同じ状況なのだろう。

この本面白かったよ、借りていくね、などと話をたまに交えながら、3人で黙々と本を読んだ。


「今日は夕方に叔母が来るから、帰るわね」


アリアを馬車までお見送りして、カルルと私だけになり、私の部屋に戻ってきて、続きの読書に手を伸ばす。


「知ってる?平民で光属性持ちが発見されたって」


この世界の魔力は、貴族にしかないのだ。

ゲーム設定とかでのヒロインは平民で魔力があって貴族に養子に入り、入学してくるみたいなやつ?


「アリアと婚約する話がでたんだ。でも、平民で光属性持ちが出たから延期になった、光属性の子の魔力量が高いらしくて300年ぶりの聖女なんじゃないかって」



ジュリは婚約の話とか出てない?アーティ伯爵家はジュリしか子供がいないじゃん?」

「私は適当に家督を継がない次男をお婿に貰うつもり」


父と話したわけでもない適当な事を口にする。


「・・・そっか、でも学校で出会いがあるかもしれないよ」

「あ、たしかに」


あと1週間で魔法学校が始まる。

私達王都組は寮には入らず、自宅から通う。

私は、やっと魔法が習えると学校を楽しみにしていた。


学校が始まっても、相変わらず私の家は溜まり場化していた。

皆で読書をしたり、山に木の実を取りに行ったり、川に魚を釣りに行ったり、アリアとはドレスや小物を買いに行ったり。


入学式当日、正門のところでみんなで待ち合わせをして、入学式会場へと向かった。

王家が支援金を積んだこともあり、クラス分けは何とか4人全員同じクラスになった。

そして噂の平民上がりの光属性持ちの女の子ネネちゃんも、ついでにサリーちゃんも同じクラスになってしまった。

光属性の子は、淡い桃色の髪にグレーの瞳のとっても可愛い子だった。

仲良くなるのが上手なのだろう、初日で性別関係なくお友達が出来ている様子だった。


そんないつもと変わらないメンバーだったが、学校生活はとっても楽しかった。

ネネちゃんはとってもいい子だった。

男の子にも人気があるみたいで、サリーの標的になっているのは言うまでもない。


トイレにアリアと連れションした時のこと。


「あなた生意気なのよ!珍しい光属性だからってチヤホヤされて調子に乗って。結局は平民なのよ?わかってんの?」


サリーの声が響く女子トイレ、私達は顔を見合わせ突入する

確かこんな乙女ゲームあったな、悪役令嬢にいびられるんだよね・・・イベントだ。


「あなた達、なにをやっているの?」


実は、アリアが怒るのが一番怖いのだ。

基本ニコニコしているアリアが声を低くし、サリーを睨む。


「な、なんでもないわよ。いくわよ」


サリーは取り巻きの令嬢達を連れてトイレを後にした、完全にアリアの気迫にビビったなこれは。


「助けて頂き、ありがとうございます」


少し震えながら立ち上がるネネちゃんに手を貸す。


「暴力までされたの?」

「いえ!少し押されたんですが、よろけて転んでしまった程度です!」


トイレの床に座り込んでいたので殴られたかと思ったが、怪我はしてないみたいで安心した。

ポケットに入っていたハンカチを取り出しネネに渡す。


「ありがとうございます!あっ、なんか落ちましたよ」

「ん?ああ、ありがとう」

「この文字・・・」

「ん?こ、これね、気にしないでおほほほ」


つい、前世の文字でメモを取ってしまったメモ用紙を落としてしまった。


「今度お礼をさせてください、本当にありがとうございました」

「同じクラスなんだし何かあったら、遠慮せずに言ってね」

「はい!!!!!」


そして教室に戻り、理論の授業を受け、昼休み。

いつも私達は学食メンバーだ。

ここの学食は、学食って感じのメニューと貴族向けの高級ホテルのコース料理の様なものがある。

時間もかかるし、普段食べられない学食メニューがお気に入りだ。


食堂に入ると、サリーがカツカレーを運んでいた。

いつもコースを食べているのに、珍しいなと見ていた次の瞬間、ネネとすれ違うと足を掛けた。

あっ・・・


「きゃ!」


ネネは当たり前に転んでしまい、その身体の上にサリーの持っていたカツカレーのお皿が逆さまに乗っている状態。


「あらネネさん、ごめんなさいね大丈夫かしら」


言葉とは裏腹に、ニヤケる顔が隠しきれないと言った表情を浮かべるサリー。

完全にわざと足を掛けたサリーに怒りが沸いた私は、ガバッと新しいナフキンを調達後2人に近付く。


「ネネさんこれ使って」


ナフキンを渡し、ひっくり返ったカレーのお皿に素手で集める。


「わ、ジュリさん!汚れてしまいます、やめてください!」

「大丈夫、それよりサリー、私見てたんだけど。貴方がネネちゃんに足をかける所を」

「言いがかりは辞めてもらえる?」


キッっと私を睨みつけるサリー

カルル達もこっちに急いできて、アリアがネネに手を貸す。


「僕も見ちゃった~」


アディが本当に見ていたかはわからないが、私の援護に出る。 


「言いがかりよ、私もご飯を零してしまったんだし」


分が悪いと思ったのか、足早にサリーは取り巻き達を連れて離れていった。


「制服は、売店に売ってるから着替えましょう」

「あっ・・・私お金が足りないのでこのままで大丈夫です」

「このままで居ることは出来ないと思う.....」

「・・・サリーに買わせるか」


アリアが怖い顔しながら、サリーを追いかけようとするのを止める

確かにサリーに弁償させたいが、今のアリアを行かせてはいけないと本能が騒ぐ、ブラックアリア、野放し、絶対にダメ。


「じゃあ、丁度ここに居る、この国の王子に払ってもらいましょう」

「アリアも公爵令嬢だよね?」

「私出すよ」

「ジュリは出さなくていい、僕が出すから」


アリアとカルルの押し付け合いになりそうだったので、私が払おうと財布を出すと、カルルに財布からお金を出す手を止められ、結局全額カルル持ちとなった。


「本当にみなさんありがとうございました!お金は返します!」

「いいの、いいの!ネネちゃんは全然気にしないで!」

「・・・・僕が払ったよね?」

「何かお礼がしたいです....!」

「じゃあ、いつも友達に振舞っている手作りクッキーが食べてみたいな」


ネネは仲が良い子に美味しそうなクッキーを作ってきて休み時間教室で配ったりしていた。

そのクッキーがとってもいい香りを教室で放っていて、大層な腕前に見えた私はいつか食べてみたいと思っていたので、この機にお願いしてみる。


「そんなのでよければ!明日作ってきます!」


そして午後の授業は何事もなく今日1日を終えた。


学校で一番好きな授業は剣術と護身術だった。

前世で後ろから刃物で刺されたこともあり、しっかりと護身術は身に着けたい、自分の身くらいは自分で守れるようになりたいと興味を持ったのがきっかけだった。


「まずは10周走って来てください」


体力作りから始まり、木刀での素振りからの打ち合い。

マーク先生が担当の剣術の授業。

このマーク先生は、元最強騎士団長だったんだとか。

毎日走ってるだけあって、日に日に早く10周を終えれるようになってきた。

いつも順番でカルル達とペアを組んでいる。

カルルは幼い時から王家のチェスター騎士団に鍛えられてるだけあって、私は軽々と遊ばれる。

それでも負けず嫌いな私は、一矢報いたくて、やられては立ち上がり木刀を握りしめ、立ち向かう。


「やー!!!!!」


何回も立ち向かうが、やっぱりカルルは剣で受け流すか、ヒョイッとかわしてしまう。

1度もカルルは私に打ち込んではこなくて、毎回私が向かい、避けられの繰り返し。


「くっ・・・正々堂々と闘え、卑怯者め」

「卑怯者とはなんだ、僕が攻撃したら勝負にならないでしょう」

「悔しいって感情を学びました」

「アドバイスするなら、先を読んで、相手がどちらに避けるかも考えてみて。足先や視線など全ての情報から、予測し、攻撃を組み立てる」


予測する...そんな無茶な。


「ま、しょうがないんじゃないか、剣を握り始めた歴が違う、どれだけ頑張ってもジュリの剣は僕には届かないよ」


私の闘志に火がついた瞬間だった。

私はムクっと立ち上がり、木刀がしまってある箱に向かい、重さが軽めの細い木刀を2本選ぶと、片手ずつ持つ。

そして、カルルの前まで、戻ると構える。


「ふーん?...上等じゃん、一発くらい食らわせてやる!打ち身が出来ても許してよ?」

「え、両手剣?」


私はダッと走り込み、右の木刀でカルルに仕掛けたが、受け流される。

そこで左の木刀で突く。


「うっ...これは!!」


私は左の手を寸前で止めた。


「両手に剣・・・これは卑怯だったかな」

「しかも突きだからね?殺意を感じた。でもジュリにはこっちが合ってるかもね」


それからは、『僕も二刀流やってみよ』と言って、カルルも木刀を両手に持って打ち合ってみたが『僕は片手がしっくりくるな』なんて言って片手剣に戻していたけども。


好きな科目は、一番伸びるというが、そのうち周りに騎士志望の令嬢と思われるくらいに、男子と対等に切りあえる令嬢になったのは言うまでもない。






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