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我が家にはタケルと言う仕事がとても出来る執事が居る。

記憶を取り戻す前の私も仲良くしていた執事だ。

タケルは優しくて気さくで、みんなに慕われていた。


「ジュリお嬢様、大丈夫ですか?」

「治してもらったわ!もう大丈夫!」

「本日もゆっくりお休みください」


身体は治ったが、前世の記憶が戻ったばかりの私は、頭が疲れていて、すぐにまた眠りについた。


-------------


「本当にもう大丈夫なのか?」

「今日、別に行かなくてもいいのよ?

私の方から皇后様には伝えるし」


父と母に食事をしながら心配されたが、体は治癒魔法のお陰ですっかり治っていた。


「大丈夫よ、治してもらったんだし。私も行くわ!

皇后様は私の事も招待してくださったんだものね?」


佳奈としての記憶が戻り、別人格が存在する違和感を感じながらジュリ・アーティとしていつも通りの言葉で返した、つもりだった・・・


「なんか大人っぽくなったな・・・」


父がボソッと言った一言に胸がドキリとする、いつも通りではなかったらしい・・・

すっかり傷も治ってしまったし、家にいて、暇するくらいならお母様について行くことを決めた私は、お母様と馬車に乗り込み、王城へ向かった。


「本日はお招き頂き、ありがとうございます

娘のジュリですわ」

「初めまして、ジュリと申します」


ドレスの裾をつまみ、膝を折り曲げ頭を下げる。


「昨日事故に遭ったんですって?大丈夫なの?」


お母様が昨日、皇后様に王都到着の手紙を出して、そこに書いたのだろう。


「治癒魔法師を呼んだので、お陰様で~」

「本当に良かったわ、馬車があんなにボロボロになるくらいの事故だもの、心配していたのよ」

「ご心配をお掛けしました・・・」

「なんかこの子、事故の後から、なんとなく大人っぽくなったのよね~・・・」

「ジュリも楽しんで行ってね、中庭に、私の息子も居るからよろしくね」

「はい!お母様も皇后様も失礼致します」


母と皇后様に手を振りながら別れた私は、王城の侍女の案内で中庭へと向かった。

そこには、私と同い年くらいの子が4人居た。

男の子が2人、女の子が2人。


「初めまして。アーティ伯爵家のジュリと申します」


軽くお辞儀をし、空いている席に着席する。


「アーティ?アーティ伯爵の令嬢は、我が儘でどうしようも無い子だって噂よね?」


シーンと静まり返るお茶会。

本人を目の前にして言ってしまうのはどうなんだろう。


「あと、女の癖に婦人に商売をさせてる伯爵も常識が無いって!

ふーん、貴方がアーティ伯爵令嬢なのね、親が有名らしいけどぉ、貴方自身は大した事無いのね」


私はその言葉を聞いた瞬間、金色の装飾が施されたグラスを持ち逆さまにし、グラスの中身を空っぽにする。


「貴方は見た目ばかりで中身が空っぽね、このグラスの様に」


そして私は席を立ち、薔薇園の一角にあるベンチの方へと歩き出した。

ベンチに座り、冷静になると、とんでもない事をしてしまったことに気付く。

一夜にして、内面24歳になった私が、子供に少し嫌味をいわれたからと言って、あんな態度をとっていいはずがない。

だが、スッキリした気持ちも否めない、いつものジュリ・アーティなら胸ぐらを掴んでいてもおかしくなはない。

口だけで留めたとはいえ、空気を壊したのは間違いないし、戻るのも勇気いるな~と庭にある噴水の淵に腰を掛けて考えているとさっきいた男の子が一人近寄ってきた。


「先程は、サリーが失礼をしてごめんね。僕はカルル・チェスター、よろしくね」


キラキラと太陽を吸収し透き通る漆黒の黒い髪に、宝石のルビーのような、ぱっちりとした赤い瞳で、スッと通った鼻筋の彼から、差し出された手に自分の手を重ねて握手をする。


「改めまして、ジュリ・アーティです、こちらこそ空気を壊してしまいすみませんでした」

「全然気にしないで、それよりアディが、サリーを馬車へ乗せてる頃だから、戻ろう」

「あの子帰ったのですか?」

「君が来る前から、僕らもあの子の言動は、ふさわしくないと思っていたんだ。自慢話や、他の令嬢の悪口なんかばかり聞いてもいないのに話していたよ」


さっきの子は、サリー・ルマンドと言ってルマンド侯爵家の令嬢らしい。

私のアーティ伯爵家より高貴な身分である侯爵家の令嬢だった。


話しているうちにみんながいる、お茶会のテーブルの場所まで戻ってきた。


「ジュリちゃんおかえり!私はエリエール公爵家のアリアです、よろしくね!

あ、丁度アディが帰ってきたわ」


アディと呼ばれる彼は席に着く。


「ルベルト侯爵家のアディスです、よろしく~!」


これがカルル、アリア、アディとの出会いだった。


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