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首切峠

作者: ツヨシ

車を走らせていると、ほどなくして見えてきた。

首切峠という道路標識。

通称ではない。

国土地理院発行の地図にも載っている正式な名称だ。

香川ではちょっとした心霊スポットになっている。

「ほらあそこよ」

助手席で女が言った。

「道路に何人もいるわ。成仏できない亡者たちが」

女は霊感があると普段から言っている。

しかしそんなものは道路の上にはいない。

なぜなら本当に霊感があるのはこの俺なのだから。

俺が感じているのは俺から見て右側の山だ。

あそこには本当にやばいものがいる。

その姿はみえないが、全身の皮膚がひりつくほどに感じる。

「また轢いたわ」

先ほどから女が続けている。

もう何人も亡者を車で轢いたとつぶやいているのだ。

そんなものはいないというのに。

「また轢いたわ」

声が上ずっている。

自分の嘘に自分自身が舞い上がっているようだ。

できればこの女とはこれっきりにしたい。

俺はそう思った。

その日のうちに別れ話を切り出すと、女はせせら笑いながら言った。

「いかつい見た目なのに、気が小さいんだから」

なにか勘違いをしているようだ。

まあ、別れられるのならそれでいい。


しばらくして女と共通の友人から聞いた。

なんでも別れた女が悩んでいるのだそうだ。

「あいつが言うんだよ。このところ毎日のように首を冷たい何かが横切るって。まるで刃物で首を切られているみたいな感じだとか」

霊感があるふりなんかしていると、むこうが気付くということか。


       終

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゆ、幽霊の気配を首筋に感じられるということは。やはりそれなりに霊感があるのではないでしょうか||||; この彼女もいい加減面白いけど、主人公が、また謎で薄情です。誠実味がないところは似た…
2021/03/28 00:27 乾レナ 漢
[良い点] ∀・)えぐり取るような感触を残すホラーでしょうか。シンプルだけど、どんよりした怖さがありました。 [気になる点] ∀・)「自分の?に自分自身が舞い上がっているようだ」の?は誤字ですかね?個…
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