魔法少女の時と、普段が違う?アイドルも似たようなもんだろ。いや、そんなレベルじゃねぇよ
なんとなくで、昔書いた話をなんとなく上げてみました。続きを書くかはわからないけど、とりあえず最後まで読んでもらえたら嬉しいです。
5年前奴らはいきなりやってきた。突如空に開いた黒々とした裂け目から魔者達はあらわれた。大きさや容姿には色々な者がいたが、わかりやすい共通点といえば全てから異様な禍々しさがあったことだろう。その魔者達はただひたすら人々を捕食し始めた。政府は今ある武器を総動員して魔者達を迎撃したが全くと言っていいほどに効果はなかった。人類がもうダメだと諦めかけた時たった一つだが希望の光が差し込んだ。あの裂け目から現れたのは魔者達だけではなかった。〈装具獣〉と今では呼ばれている者達の存在だ。彼らと契約することによって手に入る力。それだけが奴らと渡り合える力だった。契約は誰でもできる訳ではなかったが、直ぐに1人目の契約者が現れたことで大きな被害にはならずにすんだのだ。魔者達も予期せぬ事態だったようで数匹が倒された頃には裂け目へと逃げていた。以後、魔者達はたびたび現れるようになったが複数に増えた契約者達の活躍により被害は少なくなってきている。
高層ビルの屋上で銀色の長髪を風に揺らしながら、1人の少女が〈侵入者〉と相対する。少女は銀の長髪を風に揺らしキリッとした目も合間って可愛いというより綺麗という印象を受ける美少女だった。それに対し人型を模した侵入者の腕はグニョグニョと折れ曲がり先の方はナイフのように鋭くなった体は酷く醜くみえた。振り下ろされる腕を、少女は後退しながら受け流す。華麗に受け流してはいたが、だんだんと端へ追いやられていた。そして、とうとう足の踏み場が後ろになくなったとき少女はそのままビルから飛び降りた。落下した少女を確認するため侵入者が下を覗き見ると、その瞬間二人の位置が入れ替わった。いきなりのことに何も出来ないでいる侵入者を見下ろしながら今度は侵入者に向かって少女は飛び降りた。ビルの壁を声を上げながら走る。
『うぉおぉぉぉおぉー!』
勢いのままに侵入者の腹に剣を突き刺す。侵入者も雄叫びをあげる。
『ぐゔぉぉおおぉお!!!』
物凄い音ともに地に落ち、巨大な砂ぼこりが舞い上がる。その中から黒い靄が溢れ、最後に姿を現した少女の手に白い兎がピョンと乗ると少女は抱きかかえフフッと笑ってみせた。
『やっぱ、輝夜サマかっけーー!』
『いやいや、今回のでやばかったのは最後のわたあめを抱きかかえたとこだろ。』
『えー、そーか?輝夜サマっていったら……』
学校の教室で数人の男子生徒がスマホを見ながら談笑していた。
『また、男子達魔法少女の話してんね。』
少し離れた席で女の子が話を始めた。
『ねぇ。でも輝夜サマかっこいいってのはよくわかるよね。戦ってるシーンがやばいよ。』
『まぁね、同じ女として少し憧れちゃうよ。』
男子グループで席に座りスマホを持っているのは黒い短い髪にこんがりと焼けた肌の色はよくスポーツをしていることがうかがえる。名前は有尾蓮真その右側で一緒に画面を覗き見るのは茶髪にメガネをかけ、いかにも優等生という雰囲気をかもしだした少年の名は菊井雅也また、蓮真の後ろに立っているのは小柄な体系に長めの黒髪を伸ばした少年鈴木雄大がいた。
『まぁ、輝夜様もかっこいいがあっちは見たか?蓮真よ?』
『ん?風華ちゃんのほうか?風華ちゃん可愛いけどロリだからなぁ。花を使って闘うってところが可愛いすぎるけど、どっちかってっと、やっぱクールビューティーな輝夜様かな。』
と、論評する蓮真に雅也が噛み付く。
『お前はわかってないな。あのロリにあの巨乳だから風華ちゃんはやばいんだろうが!!』
『お前魔法少女って一応世界を救ってくれる人達って気持ちでみてるか?』
蓮真が蔑んだ目をしながら質問する。それに対し雅也は真剣に返答した。
『見てるさ。世界を救う系アイドルだろ?』
『まぁ、そうだよな。凄いジャンルだけどメディアでもそういわれてるもんな。』
『そうそうしかたないんだよ。』
雄大も気にせず相槌をうっていた。
男子達が馬鹿な話しをしていると、離れた席で聞いていた、茶髪を肩まで伸ばした安西友里が黒髪ショートに整った顔がかっこよくすらっとした体系の小林彩里にはなしかける。
『よかったね、ロリ巨乳よりかっこいい系のほうが好きだってさ。』
『な、何が言いたいのよ!?』
友里の問いに赤面しながら答えるいろり。近くで見ていた黒髪ロングの垂れ目が特徴的な女の子森本舞奈が話しの輪にはいる。
『いろりちゃんはいつもはクールなのにこう言う話の時だけはかわいいよねぇ。耳まで真っ赤だよ。』
『だからイジメたくなる。』
友里が危ないわらいをあげながらいろりに近づく。しかし、ここで終了のチャイムが鳴り響いてしまった。いや、正確には始まりのチャイムだが。
昼食中も男子3人で、席を囲って魔法少女の話しをしていた。
『全国に魔法少女っているけど、この地域を主に守ってくれてる魔法少女ってその中でもレベルたかいよな?』
『輝夜様と風華ちゃんか?』
『そうそう。風華ちゃんはともかく輝夜様は弱点がないからすごいよな。』
『そ、そうだよね。でも、一応明るい時間は能力が弱体化するんだっけね?』
『それでもすごいって輝夜様は。それでまた美人とか狂ってんだろ。』
『でも、特殊能力は風華ちゃんのが優れてない?輝夜様は闇夜で能力が増加と目に見える生物と位置を入れ替れるだろ?それに比べて風華ちゃんは花ならなんでもいくらでもだせるからな。』
『でも、火属性と当たったら一発で終わりだろ。』
『まぁ、そこは仕方ねえよ。あとは名前も輝夜様のが好きだな。〝月下の魔法少女輝夜〟〝花華の魔法少女風華〟どっちも悪くないと思うし実際これってメディアが紹介しやすいようにつけてるだけの名前なんだろ。』
『まぁ、そうらしいね。』
『それにしてもすごいよな、メディアは!』
関心したように雅也がいう。それに対し蓮真と雄大がわかりやすく疑問の顔を浮かべるので、雅也は言葉を続けた。
『いや、だって侵入者っていう怪物が現れるようになったってのに、それを動画で流して人気を作りグッズ展開までするようになった。メディアの言うとおりの世界を救う系アイドルに完全に仕立て上げたんだから。』
雅也の熱弁に二人は共感した。
『ま、まぁ、そのおかげで僕らも彼女達を拝めるんだし、彼女達も命懸けで戦う対価として、グッズなどの売り上げが入るんだから良い方法だとは思うよね。』
雄大が続けた。
『まぁ、そーだよな。なんでかわかんないけど侵入者は魔法少女の方が美味しいって言って魔法少女しか狙わない奴も多い。まぁ、そのおかげであんな動画を撮ったりも出来るんだしな。』
と、蓮真の言葉に
『あぁ、俺も魔法少女食べたい。』
雅也が悪い顔になる。
『おい、意味合いが変わってんじゃねぇか。きもちわるい。』
それに蓮真が突っ込みをいれた。
魔法少女の話題はこのあとも尽きることはなかった。
校内には夕陽が差し込み始め、ちらほらと校門を通る生徒が増えてきた。
『あ、蓮真今日部活ないんだっけ?一緒に帰ってい?』
『いろりも今日ないんだっけ?まぁ、いいけど。どーせ今日も飯食いにくんだろ。』
『おう、いつも悪いな。』
『まぁ、そのほうが蘭華も喜ぶしな。』
『やったー、じゃあ、いこーぜ。』
男女2人が並んで廊下を歩いていく。
その姿を見た雄大と雅也は
『あれでカップルじゃないとか新手の詐欺だろ。くっそ、おれも幼なじみ欲しい。』
『知ってる?幼なじみってもう作れないこと。』
『知ってるわ!』
嫉妬のあまり漫才を始めた。
『んー、うっまー!やっぱ蘭ちゃんのご飯は世界一だね。』
『ほんとにー!ありがとー』
いろりに褒められ蓮真の妹の蘭華が嬉しそうに微笑んだ。
『お前も少しはあの女子力もらったら?』
『な!?わ、私はまだ子供だから刃物は…』
『蘭華のが2こしたなんだがな。』
『そーだよ、いろりお姉ちゃん。やってみると簡単だよ。聞いてくれれば手伝うからさ。』
『えー、でもー』
いつもの自信にあふれた顔がどこへ消えたのか。恥ずかしそうにもじもじとするいろり。そんな姿を見た蘭華はそっといろりの耳元に近づくと
『お兄ちゃんの好物ならなんでも教えてあげるってことだよ。お姉ちゃん。』
いたずらにニヤッと笑いながら囁いた。
『な!?べ、別に私はまだそんな』
いろりは顔を真っ赤に染め上げると、目のあった蓮真をぶっとばした。深呼吸をして、息を整えるいろりを横目に蓮真は何を吹き込んだのか蘭華に問い詰めていた。まぁ、蘭華は笑ってるだけで答えることはなかったが。
食事も一段落つき、蘭華は食後のデザートにお菓子などの準備を始めたときいろりがいきなり立ち上がった。驚いた表情をしながら蓮真がどーしたのか聞くと
『ごめん、ちょっと用事あったんだ。』
カバンを持ち蘭華に会釈すると足早に家をでていった。黙って見送る蘭華は窓からいろりの姿を見送ると蓮真のほうを向いた。
『最近たまにこう言うことあるよね。』
『たしかにな。まぁ、用事って言ってたし仕方ないだろ。』
蘭華はムッとした表情をしたあと不安そうな顔をした。
『でも、外もう暗いよ。ついてってあげたら?』
『誰といるかわかんないのについてくわけにはいかないだろ。』
『じゃあ、つけろよ。』
『ストーカーになれと言うのか?妹よ。』
真剣に言う蘭華のせいか蓮真も真面目に答えてしまう。
『なんかあったら、あいつも言ってくんだろ。』
そーいいながらソファに座りテレビをつける。
『緊急のニュースが入ってきました。神奈川県茅ヶ崎市付近の上空に侵入者が現れたとのことです。付近の住民は速やかに住宅内に避難してください。』
『これってうちの近くじゃん。』
蘭華がテレビを見てそう叫んだ。
『本当だ。でも、魔法少女がいるから平気だろ。』
蓮真がいうと、蘭華が
『どーしよう、お兄ちゃん!いろりお姉ちゃん。ケータイ忘れてってるよ!!』
侵入者の出現情報は侵入者を刺激しないために、ネットやテレビのニュースでしか流れない。地域放送などは、ないのだ。蓮真はすぐに玄関へ向かった。
『蘭華、おまえは家出るなよ。ちゃんと帰ってくるから。』
『うん。いってらっしゃい。』
蘭華の言葉を聞いてすぐに蓮真は家を出た。暗くなった夜道を一人はしりだす。周りはもう避難が終わったのか、静かになっていた。
『くそ、まだそんなに時間経ってないのに。気付いて、知らない人の家にでも避難させてもらったのか?それならいいんだが。』
携帯を取り出してみると、携帯のニュースを見て愕然とする。
「炎の侵入者相手に風華苦戦。輝夜様も別で戦闘中、援護はまだ先か。」
『な、風華ちゃんのほうもまずいんじゃ?』
立ち止まると同時に上空から悲鳴がきこえる。
『きゃああぁあぁ』
『風華ちゃん!このままじゃ風華ちゃんが、いろりも見つからないし。くそ、元凶の侵入者を倒せれば』
悔しさに口を噛む。そこに突如ビルのゴミ捨て場から声がした。
『契約してあげよっか?』
『だ、だれだ!?』
蓮真が振り向くとそこにはカラスがいた。だがそれは普通のカラスと違い足が3つ生えていた。
『カ、カラス?』
『私の名前はピリオド。私と契約すれば彼女を助けられるわ。どーする?』
蓮真はその言葉に驚く。〈装具獣〉の存在は知ってたから蓮真が驚いたのは動物が話しているというところではなく
『俺は有尾蓮真。契約できるってどういうことだ?俺は男なのに。魔法少女?』
蓮真のその言葉にピリオドは回答した。
『ん?まー、あれだよ。漫画とかあるでしょ?あれで唯一の男の子とかいるじゃない?それと同じよ。』
ピリオドの言い方に少し違和感はあったが蓮真は今、自分が特別な人間だと言われたことに驚きを隠せずにいた。
『え、ええなんでおれが?そんな』
ドガアァアアァアァァア
蓮真の声を遮るように大きな物音が響き渡る。
『ほんとにもう時間ないわよ。どーするの?』
急かす、ピリオドにとりあえず今は考えることを辞めて、蓮真は従うことにした。
『わ、わかった。どーすればいいんだ?』
狼狽えながら言う蓮真に対しピリオドは得意げに返した。
『簡単よ。装形といってくれればできるわ。』
『わ、わかった。』
蓮真はいろいろと思うところがあったが今は思考を停止し、覚悟をきめた。
『ピリオド!装形!!』
カラスが黒光りを始めると同時に蓮真の服装まで変わってくる。蓮真が眩い光に包まれ次に姿を現した時その姿は黒髪ショートの可愛らしい少女の姿に変わっていた。黒いフードの服の中では膨れた胸が揺れている。手にはギラッとひかる鎌が輝いていた。
『この鎌がおれの武…』
ギラッと光る鎌の刃に蓮真は自分の姿を見る。
『な、なんだこれ!?は、か、顔が。』
蓮真が驚くのも当たり前、今の蓮真の姿は、蓮真が女性らしくなったとかでもなく、完全なる別人なのだ。しかし、そんな事いまは関係ない。ピリオドは、急かすように言う。
『説明は全部終わったらするから今は早く助けにいかないと。』
ピリオドの声が鎌から聞こえてくる。蓮真は言いたいことをぐっとこらえて
『わ、わかった。今は侵入者をどうにかしよう。で、どうしたらいい?』
と、聞き返すことにした。
『魔法少女のことくらい知ってるでしょ。身体能力は人の数十倍にあがるの。こんなビルひとっ飛びよ。』
『そーだったな。じゃあ、いってみるか。』
『ええ!』
蓮真は走り出すと一気に2階まで飛び乗り次のジャンプで屋上まで上がった。そこに見えたのは横たわった風華の姿と炎の侵入者だった。
『まずいわ、侵入者が捕食モーションに入ってる。』
『ほんとか?くそ、間に合えぇええぇぇえぇ!』
大きな叫び声に気付き侵入者が振り向く。切り裂いた刃の先に侵入者はもういなかった。
『蓮真!うしろよ。』
蓮真は振り向くと炎の球が目の前に来ていた。
『うおっとおぉおぉお!!?』
ギリギリだが鎌で切り裂いた。炎の球は2つに分かれ、蓮真の左右に飛び去る。
『おい、ピリオド。おれの特殊能力はなんだ?魔法少女はみんななにかあったろ?』
『私達のはナイトメアよ。敵の視力を奪うか。自分を他の生き物から気づかれにくくする力よ。』
『それ使えそうだな。じゃあ、ナイトメア!』
侵入者は突如視界が真っ暗になり狼狽える。そこを蓮真の持つ鎌が侵入者を切り裂く。
『ゔおぉおぉお』
侵入者が怯む。しかし、視界が暗くなったことで、侵入者は無闇に炎を飛ばし始めた。その一つが、風華を襲う。
『危ない!』
蓮真が間一髪炎の球を切りさる。しかし、その声で侵入者が蓮真の居場所を察知した。侵入者は声のした方へ最大火力で炎を放つ。蓮真は風華を守るために、炎に直撃した。
侵入者の視界の靄が消え、炎がなくなるとそこに蓮真の姿はなく風華だけになっていた。侵入者は辺りを見渡したあと、風華に向かって歩き始める。その途中
『バァカ』
という声と共に煤けた蓮真が現れ侵入者を頭から切り裂いた。すると侵入者は黒い靄を出し消えていった。
『かっ、勝った。』
『始めてにしては、上出来だったわ。』
放心状態の蓮真に鎌からカラスの形に戻りながらピリオドがいった。
『じゃあ、そろそろこの娘を運ぶわよ。』
ピリオドの言葉に蓮真は重たい体を動かして、ピリオドに答える。
『そーだな、病院に運んじゃわないと。』
その言葉にピリオドは一瞬考えたあと
『一旦、蓮真の家に連れて行きましょう。そこで軽く手当てを出来ないかしら?魔法少女が普通の病院に行くわけにはいかないわ。』
と続けた。それに対し蓮真は納得し、わかったというと風華を持ち上げ家に向かった。
『ただいまー』
蓮真は少女の姿で当たり前のように家に入り、ソファに風華を寝かせた。しかしその姿は
『あ、れ?いろりになってる!?』
ソファにはいろりといろりと同じくらいの長さのヘビが横たわっていた。
『え、もしかしてこれが風華ちゃんの正体?』
『まぁ、そういうことよね。』
『まじかよ!』
いろりを見つめる蓮真の後ろで蘭華が電話と目の前の少女といろりをずっと順番に見ていた。
『あ、あのあなたは?』
蘭華のその言葉で、やっと蓮真は蘭華に気づいた。蓮真が振り返ると警戒心を剥き出しにし、ケータイを持った蘭華をみる。
『え?どーした?蘭華??』
ますます蘭華が警戒する。
『えっと、いろりお姉ちゃんを連れていなかったら警察を呼んでたけど、この話すカラスもいるし、魔法少女??』
蘭華のその言葉で、蓮真はやっと自分の姿のことを思い出した。
『あ、そーか。ピリオドどーしよう。』
蓮真は正体をバラしていいものなのか、わからないためピリオドに質問をした。
『親族にはバレても仕方ないわ。装脱で戻れるから教えてあげなさい。』
その言葉に蓮真はわかったと答え、装脱といった。すると、黒髪少女の姿は髪の短いスポーツ少年の姿へと変わった。
『お、おにいちゃん!?』
蘭華は驚いて声が裏返り目をパチクリした。そこへインターホンが鳴る。
『なんか、魔法少女になっちまった。そーいうわけだから。』
『どーいうわけよ!?』
そんなやりとりをしながら蓮真がインターホンで外を確認すると、そこには金髪の長髪をした綺麗な女性がたっていた。
『暮葉さん!??』
と驚く蓮真に
『ドア開いてるわね。入らして貰うわ。』
と言うと、勝手に家に入っていった。暮葉と一緒に入ってきた人に暮葉が風華ちゃんたちをお願いと言い、風華達は連れて行かれ暮葉だけが家に残った。
『こんばんは、いきなりごめんなさいね。』
もーしわけなさそうに言う暮葉に蓮真がいえいえと答える。そこに蘭華が誰?と蓮真に聞いていた。
『ま、魔法少女を雇っている唯一の事務所〝ファンタジーディレア〟の社長の志野暮葉さんだよ。』
と、少し興奮気味に蓮真が言うと、
『知ってくれているのね。ありがとう。』
と、暮葉が笑い、そのまま言葉を続けた。
『今日は、ファンタジーディレアにあなたをスカウトにきたわ!まぁ、これは魔法少女になった以上半ば強制なんだけどね。』
暮葉が微笑みかけると、蓮真はそれに疑問をだした。
『え!?でも、俺は実際男で…』
蓮真の言葉を遮るように、暮葉が言葉を紡ぐ。
『わからない?あなたも風華も姿が変わったでしょ?うちには割と居るのよ。お・と・こ・の・こ』
その言葉に蓮真が一瞬止まる。
『え?…』
そして、ピリオドに目線を変えた。
『ピリオドさっきおれは唯一の、みたいなこと言ってなかったっけ?』
蓮真がぎこちなく言う言葉にピリオドは
『あの時はそう言うのが最善だったでしょ。あんたに受け入れさせるのに。』
さぞ当たり前のようにいった。
『えー!まじかよ!!めっちゃだまされたぁ。』
項垂れる蓮真はさらなる疑問が浮かんだ。
『え?じゃあ、他の男の人って誰ですか??』
溢れる疑問を無意識に溢してしまう蓮真。
『そう言う個人情報は魔法少女同士でも言えない決まりになってるの。今日みたいに共闘して知ってしまったときとかを除いてね。うちの事務所に入ってもらうことになるし、そうなると今後注意して欲しいこととか色々あるから、その辺も踏まえて今日きたのよ。あなたが契約したのを知って。』
一気に色々起こりすぎて蓮真はまだ頭が混乱していた。暮葉の言葉に、首を傾げる事しか出来ない。
『まぁ、今日は初めての戦闘とか、色々知って混乱してるだろうから、また、暇なときにでもうちの事務所に来てもらうとして今日はこれだけは絶対に守って欲しいことを伝えておくね。』
『ま、守って欲しいこと?』
蓮真が聞き返す。
『一つ目はまぁ、正体を誰にも言わないこと。二つ目は魔法少女の秘密も言わないで。さっきの男の子も混ざってるとか。』
蓮真は頭の中で知らぬが仏ってこのことだなと思った。
『三つ目はうちの事務所に来てもらうときのことなんだけど、適当な所で装形してから来て。家では絶対にしないでね。怪しまれたとき真っ先に疑われるのは妹さんにもなるんだから、絶対にね。』
念を押して暮葉がいう。
『あ、それはそーですね。わかりました。』
蓮真も納得し、承諾した。
『で、事務所に来てもらったとき、他の魔法少女とかにも会うだろうから名乗れる名を用意しておかないと。』
『確かに、いろりも風華って名乗ってますもんね。』
『そうそう、でメディアにも宣伝して貰うために伝えなきゃいけないから、名前用意してきたんだけどこれでいいかしら?』
暮葉がノートをみせる。
『闇の魔法少女ダークネスシャドウ?』
蓮真が読み上げると暮葉がハッとして赤くなる。
『あ、いやいやこれはちょっと違くてスランプのときのやつでこっちこっち。』
いままでの凛とした姿が嘘のような慌てぶりに蓮真は少し笑ってしまった。
『あ、ひどーい。大人を笑っちゃダメよ。まったく。』
すいませんと適当に言って、蓮真はノートを見直す。
『あ、いいんじゃないですか、これで。』
蓮真が頷く。
『じゃあ、決まりね。これでいくわ。』
次の朝
『次のニュースです。昨晩、新たに世界を守ってくれる魔法少女が現れました。』
画面には黒髪に鎌を持った可愛い少女の姿と名前が浮き上がっている。
〝暗雲の魔法少女冥奈〟
と。
ここまで読んでくださった方がいたら、ありがとうです