魔法組織「サリエル」
時刻は既に午前。
丁度身体の異変を感じて下の階におりてきた妹の未来と母の恵、父の永遠に大丈夫だという旨を伝えた後のことだった。
突然の来訪者。
自分はサリエル所属の魔法師の人形であると言うその者の外見は普通の人間の男であった。
気になることといえば、スーツを着ているということだけだろう。
「夜分遅くに失礼します。魔法組織「サリエル」の者です。お体の発光と先程の流星群についてお話します。」
永遠が家のドアをあけるや否やそう言う男であった。
「わかりました。あなたが何者なのか確証はないので家には上がらずにここでお話できますか。」
教えてもらう立場といえど、相手が本当にこの異変のことをしっているかがわからないし、もしかしたら混乱に乗じて良からぬ事をする不審人物だという可能性があるため一応家には上がらせない永遠だったが、
「こちらとしてははなからそのつもりです。端的に只今の状況についてご説明させていただきます。まず先ほどの流星群ですが、あれは実体がありません。あの流星群は時空の歪みによって生じた特異点であり、いわば偶像です。しかし、その最大の特徴は、魔法非保持者に特別な魔法因子を散布し、後天性の魔法保持者にしてしまうことです。何を言っているのかわからないと思うので、これを見てください」
そういい終わると、男は手をかざし魔法を詠唱した。
「魔法陣、流水」
すると男の手のまわりにかなり小さめな幾何学紋様が出現し、水が発生した。
それを庭の池に水鉄砲の要領で飛ばした後、幾何学紋様は消失した。
「これは、、」
「なんなのそれ!?」
「すごい!」
永遠、恵、未来の順でそう言うと、俺は魔法陣が異常に小さかったことと、能力のショボさにげんなりしながら、思考をめぐらした。
(魔法組織「サリエル」か、、、。どうやらこの世界にも俺が知らないだけで元々魔法は存在していたらしい。しかしどうしようか。この中で異常がないのは俺だけだし不自然だよな。封印のせいで魔法使えないし。というか聞き流していたけどあの流星群、間違いなく時空の歪みなんかじゃなくて人間の仕業だ。たしか天体魔法の一種にあんなちいさな流星群をつくりだすものがあったが、それになにかを仕込んでやがる。恐らく中々の魔法師だろう。)
とりあえず
「すごいな、、」
と自分でもわざとらしい感想を口にした。
「ご理解いただけましたか。これが魔法というものです。先程ご説明した通り、あなた方は魔法保持者になりました。というかこの世界の人間ほとんどが魔法保持者になりました。そこの異常がないあなたのように魔法保持者になってない人間もいるため、一概にはいえませんが、もうじきこの世界は魔法が横行する世界になるでしょう。」
その説明を聞き、他にも魔法をつかえない人間がいることに安堵を覚えたおれだった。
「そのお体の発光は、我々の組織では魔法能力発言光と呼んでおり、もうじき収まります。次に現状についてです。お話した通り、この世界の人間ほとんどに魔法が使えるようになりましたが当然この説明がなければただの気味の悪い現象だと思うでしょう。そこで、我々「サリエル」の魔法師総動員で十五年間の間つくられてきた人形30億体をつかいそれぞれに魔法をほどこし、それぞれの家庭に説明に行っているわけです。私ももうすこしで魔法の効力が切れ、消失してしまいますが、何かご質問があれば時間の許す限り、どうぞ。」
「じゃあ質問します。「サリエル」とは何ですか。また、魔法保持者になっていない人間は全体の何割ですか」
そう質問した俺のねらいは二つ、一つは「サリエル」について深く知り、見極めること。二つ目は魔法非保持者の概要を知ることで今後の俺の過ごし方をきめることだ。
「わかりました。まず「サリエル」についてですが、我々は約50年前魔法師によってつくられた組織です。普段の活動は魔法系の異変の対処、今回のような大事ははじめてですが意外と小さい異変は良くおこるものなのでそれを対処にています。これ以上の情報はプログラミングされていないのでわかりません。次に、魔法非保持者の割合ですが、只今全てのパペットに確認をとったところ、全体の5%未満でしたお気の毒ですが、魔法が使えないのはこちらとしてもどうしょうもないので、これから苦難の連続だと思いますが、どうかがんばってください。では、そろそr.:」@e:a,\a\pk+A_,w.,,,,,,,,,,」
説明が終わった瞬間不具合をおこしたように意味不明な言葉を羅列していた人形の男はそのまま消失した。
俺は最後の説明を聞き、俺は心のそこから呆然としていた。
異世界から戻ってきた理由は平穏、平和のなかで生きたかったからであるからだ。
魔法が横行したらおそらく魔法による戦争が異世界と同じようにおこってしまう。
俺の日常をわずか一夜にしてうばった流星群の使い手を少し恨みつつこれからのことを考えようと思考を切り替え、「はぁ」と嘆息するのだった。
どうもまんとるです。次話投稿日はまだ未定ですがそのうち投稿します。