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日常の喪失

西暦2025年5月2日午前0時。

窓の外はほとんど真っ暗で、光といえば街灯の小さな明かりのみである。

しかし、そんな真っ暗闇の一時的な終焉はすぐにやって来た。

いきなり明るくなったため、その時小説を読んでいた俺は怪訝に感じながらも窓の外へと目を向けた。

明るさの原因は流星群。しかもかなり距離が近いらしく空の一面を覆うかのようなまばゆい光があたりを照らしている。

大気との摩擦によって発光しているそれは、空気を焦がしながら動いていく。

そのとき俺の目は流星群の欠片が数個どこかに散らばっていくのが見えた。

流石におかしいと思った俺は携帯を取り出し、ニュースアプリを開いた。

そこには、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ー

題名「突然の流星群来訪。気象庁並びにJAXA、NASAも未探知だった。」


本日5月2日0時、巨大な天体のかけらが地球の成層圏を通った。

気象庁、JAXA、NASAも事前には探知できなかった正体不明のものだという。

原因やどの天体のかけらか、などは現在も調査中。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(成層圏!?それって地上50kmぐらいじゃないか。衝撃波とか大丈夫なのか?)

家の窓は割れてないが、なにか異変が起きているかもしれないので俺は自室をでて階段を駆け下り、家族の安否を確認しにいった。


結論から言うと建物には何も異常はなかった。

しかし、妹や母親、父親には異変があった。

身体が発行しているのである。

この光景には見覚えがあった。

これは異世界にいって最初のころ、俺が師匠に拾ってもらう前のことだ。


異世界に着たことがわかったとはいえ、それ以上の進展がない俺は町の中を彷徨っていた。

ちょうど暗めの路地を歩いていたとこのことだった。

「おいあんちゃん。みなれねぇ格好してんな。貴族か?」

突然男に声をかけられて戸惑ったが、それを悟られないように

「貴族?俺はそんなんじゃないですよ」

と短く答えると、

「そうか、じゃあその服全部脱いでいけ」

静かに言った男の言葉に耳を疑いながらもこのままだと危ない、と本能的に思った俺は全力で逃げ出した。しかし、恐らく男の仲間であろう男たち数名が俺の行く手を阻んだ。

「おいおい逃げるこたぁねぇだろう。黙って脱げば逃がしてやるぞ?」

悪党のテンプレのような台詞を吐く男の凄みに気押しされながらももう逃げられなくなったので仕方なく、

「わかりました。でも、脱ぐのは上だけでいいですか?」

と俺が最後の希望を聞くと

「はぁ?いいわけねぇだろ。全部脱いでけって言ってんだよ。」

一向に緩和する様子を見せない男だったが、流石に俺も全裸で町を徘徊するわけにはいかなかったので仕方なく、応戦をすることにした。

「じゃあわかりました。力ずくでも通させてもらいます。」

そう言い、手をこまねいて「来いよ」と言わず手で示した。

「おお!いいな!ちょうど最近すんなりと物を渡すやつらばっかで退屈してたんだ。じゃあお前ら、こいつを捕らえろ」

「「「わかりましたゲイの兄貴」」」

悪党の男の数人の部下がそう威勢よく答える。

ゲイという名前に少し笑いそうになったがそれは表情の奥底にしまって、倒すための算段を立てにはいる。

(敵は4人。ボスっぽい男は中々強そうだからここは他の三人を倒して隙を見て逃げ出そう)

幼いころ現世にて剣道八段、空手八段、柔道八段という人間最高レベルの格闘技術をもつ父親に普段の優しさからは考えられないしごかれ方をされたおかげで武技には多少の自信があった俺はその策を実行することにした。

部下の男三人が歩み寄ってくる。

俺は反射的に空手の構えの姿勢をとり、応戦しようとした。

しかし、そこで敵の動きがぴたりと止まったかと思えば突然意味のわからない文言をつぶやき始めた。

「「拘束魔方陣、鎖砂さしゃ!」」

確かにそう言った男三人の突き出した手の先から見たことのある幾何学紋様が出現する。

俺がこの世界に飛ばされた時の紋様と似ているが色と形と大きさが異なっていた。

その瞬間その幾何学紋様から鎖がでてくる。

咄嗟にひとつかわした俺だったが、二つ目、三つ目に絡まれてしまう。

尋常じゃない力に驚きつつ、突然の非科学的現象に驚愕していた。

「さぁ。お前も魔法を使ってみろよ。」

そう言う悪党のボスの男に俺は答えた。

「魔法、、?なんですか、それ、」

縛られながらも必死に言葉を発したが、男は心底飽きれ、がっかりした表情になった。

「何だお前。もしかして魔法を知らねぇのか。今までどうやって生きてきたんだ。この貧困街といえども魔法を知らないやつは生まれてくる赤子以外にはそうそういない。それにその服、お前、何者だ?」

やはり違った現世と異世界の摂理に驚く暇もなく、何か悪い予感がした俺ははぐらかして答えた。

「それは言えませんね。何されるかわかったもんじゃない。」

その言葉を聞き何かを閃いたような顔をした男は部下に言った。

「こいつはおそらく遠国の者だ。創造の産物とされてきた国だが、本当に実在したんだな。魔法のない国、どんな生き方をしているのか興味が沸くぞ。これは、セルジュ様が喜ぶな。

久々の収穫だ。」

話のほとんどを理解しかねた俺だが、本能的に危険を察知し必死に鎖を振りほどこうとした。

しかしびくともしない鎖にとうとう本気で焦りを感じながらも、何も抵抗できないことに強い無力感も味わっていた。

そして部下三人に鎖を巻かれたまま連れて行かれようとしたとき、俺の身体が突然発光しだした。

その瞬間、鎖は一瞬で解け、俺は自由を手に入れた。

「これは、、、、!まさか魔法能力開花の光なのか!?しかし、それにしては力が強すぎる!まさかこいつ、後天性の極魔法保持者なのか!?10万人に一人といわれてるんだぞ!?」

「これは、この力はなんだ、、。体中から溢れてくる。」

その時、俺の身体が勝手に動き、こう言葉を発した。

「極魔法陣、魔炎」

そして俺のかざした手にかなり大きめの幾何学紋様がうかびあがり、そこから禍々しい炎が射出される。

攻撃をまともにくらった部下の三人は、言葉を発する暇もなく灰となり散った。

それを見たボスの男が逃げ出そうとするのでもう一度、今度は自分の意思でこう唱えた。

「魔法陣、鎖砂!」

男を無事拘束した俺はこの世界のことをこの男に教えてもらう事にした。

しかし、これは俺が命を摘み取った最初の瞬間でもあった。


あの時と同じように光を発している俺は瞬時に悟った。

(魔法開花現象、、。しかしこの光の弱さは後天性魔法保持者かそれ以下の弱魔法保持者か、、?)

「優、、わたしたち死んじゃうのかしら、、?」

そう言う母親の恵。かすかに震えているように聞こえた。

「母さん、大丈夫だよ。もうすこしでおさまるはず。父さんも未来も一緒。」

「わかった。優の言葉を信じる。」

「なんで優はそんなことがわかるんだ?」

安堵した恵の声の後に父親の永遠とわの低い声が響く。

「父さん。今はそれは言えない。けれど、俺を信じてほしい」

根拠のないような俺の言葉を聞いた永遠だったが

「じゃあ父さんもわかった。優を信じる。」

「私もおにいを信じる。」

大丈夫って言っただけなのにここまで安堵するということはよほどいままで不安だったのだろう。

もしかしたらほかの家もこうなっているかもしれないと思った俺は玄関をでて外で状況を確かめようと思った。

しかしその時、呼び鈴が鳴る。

ボタンを押すと、訪問者はこう言った。

「私は「サリエル」所属の魔法師の人形パペットです。いまお体が発光しているなどの症状はございませんか?ご説明いたします」




まんとるです。今回はやっと物語が動き始めました。ちょっと異世界体験談的なところがながくなってしまいましたが、今後もこうやってちょくちょく盛り込んでいくつもりです。見てくださる方、いるかわかりませんが何卒よろしく。

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