3話 巫女
近頃亥ノ国で神隠しが続出していた。今では都中その話で持ち切りで、徐々に民の不安が募り始め家から出ようとしない者が少なからず出始め、皇が巫女に勅命を出した。内容は「早急に事件を解決し、民に安らぎを与えよ」と。
巫女が住まう山、霊峰焔山2000年前この山に火の神が住んでいたと伝えられているが、今は居ない。
当時この島国全土で神と妖怪の大戦争が起こった。その戦争に巫女の始祖達も神に従い妖怪と死闘を繰り広げなんとか戦いは神側が勝利したが、神の大半が死に始祖も生き残ったのが極僅かしか生き残れなかった。
生き残った始祖は巫女という組織を立ち上げ全国から高い霊力を持った女を集め育成し妖怪と戦えるようにしたのだ。なぜ女なのか、男でも高い霊力を持つ者はいるが女の方が持っている生まれる数が多いからだ。
そして、ここ霊峰焔山でも日々巫女が修行を行っているのだ。まだ神の霊力が山に残っていて、この山で修行した巫女は武器を介して火の神の力を顕現する事が出来るのだ。
焔神社の社の中に御神体の前で祈りを捧げる巫女の姿があった。
彼女が祈りを捧げていると後ろから雨と扉が開く音の後に少女の声が聞こえた。
「奏姉様、お母様が屋敷で呼んでいます」
「わかった。呼びに来てくれてありがと、静」
奏と呼ばれた巫女は横に置いといた自分の刀を手に取り背後を振り返った。
そこに奏と同じ巫女が立っているが、少し幼い印象の巫女だ。
「では行きましょうか」
奏の後ろに静が付いて歩き屋敷へ向かった。
巫女は皆血が繋がっている訳ではない。歳が上の者を姉と言い下の者を妹と言うのが慣わし、家族のように接し助け合いより優秀な巫女になる為である。後ここの巫女の姓は皆、崇焔と名乗っている。
社の裏に巫女が住まう大きな屋敷が建っていた。その屋敷の一室の前に奏と静が立っている。
「お母様、奏と静が今来ました」
「二人とも入って来なさい」
部屋へ入ると中で待っていたのは焔神社の長、崇焔宮だった。
二人が座るのを待ってから用件を話し始めた。
「二人も知っていると思いますが、最近この国で神隠しが起こり、神隠しが起こった場所を調査した結果妖怪の仕業だと分かりました。そこで貴女達二人にも妖怪捜索及び除霊の手伝いをお願いしようと思って呼びました。頼めますか?」
「はい、お任せ下さいお母様!」
「うん」
宮の頼みを聞いた二人は迷わず頷いた。
「ふふふ、ありがと。では、貴女達にやってもらいたい事はここから西にある村の調査しに行ってもらうことです。今その村では流行病が蔓延している噂があり、村の近くの山の中から獣の叫び声が聞こえてくるそうです。その原因を突き止めてきてください」
そこで話は終わり二人は部屋を後にした。