2話 妖
声のする方向から禍々しい邪気漂って来たが男僧は興味が無いのか見向きもしなかった。
だが、羅刹は違った。気になって社から出て外の様子を見に行くと邪気が漂って来る方向から2人の賊が必死の形相で神社向かって来ていた。
「お?白さっきの賊が追われて走って来てるよ」
「どうせこの辺りに住んでる妖怪だろ、そっちはお前に任せた。こっちは後少しで終わる」
「いや、アレはちょっと難しいかな・・・」
羅刹が困ったように呟いたが男僧は作業に集中して聞こえてなかった。
二人が会話をしている間に雨の中賊が助けを求めて叫んでいた。
その後ろから黒い霧が行きよいよく迫っていた。
「た、助けてくれ!頼む!!」
「死にたくねッ!」
彼等が泣きながら助けを請う姿を見て少し可哀相だと思い助けようとした羅刹だが、周りの様子を見た瞬間手遅れだと分かって彼等を見ていることしか出来なかった。
気が付くと黒い霧は、神社を囲って範囲を狭めていた。霧に触れた土、草、木が枯れて行き、木の枝で休んでいた鳥たちも命を落としてしまった。そして、霧が賊を捕らえ体から水分が無くなっていくかのように萎んでいき死んでしまった。
霧の勢いは止まらず社も飲み込まれてしまった。
「霊力の少ない人間には瘴気は猛毒だね」
羅刹が一人呟き、死んだ賊の骸に黙祷を捧げていると、社の中から男僧の悲鳴が聞こえた。
「あーッ!食料が全て腐っちまった!!なんだよこの瘴気は!!!」
「白、多分あいつが原因」
羅刹の声を聞きつけ男僧も外を見てみると、境内にボロボロの衣を纏い右手に太刀を引きずり額に一本の角が生えた鬼がいた。
「悪鬼か?」
「みたいだね。久しぶりに騒がしくなりそ」
悪鬼は元々人間だったのだが、人間に害する妖怪によって殺された者が成仏できず、鬼に生ってこの世を彷徨い続けるのだ。
それを防ぐのが巫女の仕事。巫女は普通の人よりも高い霊力を持った女の事だ。彼女等は神に身を捧げ神の変わりに昔から力の無い人々を守り続けているのだ。
「・・・ろす」
「何か言った?」
羅刹の隣で男僧が何か呟いたが、聞き取れず聞き返したら。
「奴を殺す!下位妖怪の分際で俺の飯を!!!」
「あ、やば・・・」
男僧の体から大量に霊力が溢れ出て、彼の背後ににいくつもの青い炎の球が浮かび上がりそれらが一斉に悪鬼に襲来しそこから大爆発が起こった。