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そのまま色々考えていたら、いつのまにか夕方になっていた。

ふとんから手だけをはいだして、枕元においてあった携帯電話をつかみあげる。

そしてかぱっと開けてみても、なにも着信はなかった。

「…メールくらい…くれたっていいのに」

ぼくは、もうほとんどしゃべらなくなった親友への呪詛をこめてつぶやいた。

ぼくが入院しているあいだに、彼はほかのともだちをつくってしまったのだ。

退院したあと話しづらかったのもあって、ぼくたちの距離はしぜんと離れていった。

いままで築き上げてきた友情も、いったんこわれると脆いものだ。

去るものは追わず。

そのことばを胸に、ぼくは学校でよくひとりでいるようになった。

悲しかったけれどしようがないと、ぼくはあきらめた。



ぼくの学校生活はいったい、何だったのだろう。

べつにもう部活も居づらくなってやめたし、勉強だってできるほうではない。

けっきょく、ぼくのことなんてだれも興味がないのだ。

いまさら青春しようとか、そんなことも思わない。

「ぼくって、なんのためにいきてるんだろ」

いきる意味なんて求めたらほんとうにきりがない。

でも、求めずにはいられない。

「あーあ」

ことばで投げ出してみても、虚しいきもちは抑えられない。

みどりだったら、こういうときどんなことばをかけるのだろう。

みどりにとって、ぼくはなんだったのだろう。

自分でいきる意味を探せないのだったら、せめてひとにみつけてもらいたい。

そこまで思ったところで、またみどりのことを考えている自分に気づいた。

なんだか急に自分がみじめに見えた。

「あーあ」

また投げ出しても、ことばは虚しくくうきと一体化しただけだった。

いきる意味なんてしらない。わからない。

もう、自分がなにをしたいのかさえもいまのぼくにはわからない。

「み、ど、り」

「みどり」

拒絶してみても、やっぱりみどりが恋しかった。

みどりにあえばなにかが変わるかもしれない。

そんな、あまい期待さえ抱くくらいに。


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