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かすれゆく意識のなかで、母をみたような気がした。

雲のすきまからもれる、茜色のひかりがぼくをうつす。

ゆっくりと目をあけると、そこには母の姿があった。

あたたかいふとんにくるまれて、ぼくはもうベンチの上にはいなかった。

「しろちゃん!よかった…」

そう言って、母はわっと泣きだす。

母の目はさっきも赤かったから、きっとずうっと泣いていたのだろう。

からだが熱いとおもった。

頭もぐわんぐわんとしてきもちがわるい。

ぼくは寝巻きに着替えされられていたが、汗がぐっしょりと流れでていた。

「…かあさん…ぼく…」

吐息がまざった声でか細く問いかけると、母はなみだをふいてこちらを見た。

その姿は弱々しくて、いつ消えてしまってもおかしくないとぼくは思う。

「母さん、あなたがかえってこないからさがしたのよ。そしたらあなた、公園のベンチのうえで倒れてて…。ほんとうに、すごい熱だったの。いままでずうっとねむるくらいに」

大体ことのあらましがつかめたところでぼくは起き上がろうとした。

でもからだが重くて、言うことを訊かない。

それを見た母は、ぼくをゆっくりと静止させて、ふとんに寝かせた。

そしてゆっくりと笑って、ぼくに問いかける。

「なにかたべる?」

ぼくはその問いにバナナ、とだけ答えてひとみを閉じた。

ほんとうは眠りたくなんてなかったけれど、激しい眠気がぼくを襲う。

瞬く間に、ぼくは夢の世界へと落ちていった。






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