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目をさまして、ふととなりをみるとみどりがいなかった。

ぼくはあわてて起きて、あたりを見回す。

すると水のみ場にみどりはいた。またこどもと遊んでいる。

ひとまず、ぼくはほうっと胸をなでおろした。

「しろちゃあん」

みどりはぼくに気付いたらしく、おおげさに手をふってくる。

手を振りかえして、ぼくもあることに気付いた。

みどりの左手に、たいようにきらりと反射するものがついている、ということが。

胸が、おおきく高鳴っていく。

はじめての感情が、ぼくの胸を支配する。

息苦しい。こきゅうが、できない。

「しろちゃん?」

「それ」

「え」

みどりはぼくのゆびさした方向をみた。

左手のくすりゆび。そこにはみどりいろの大きな石がついた、指輪がはめこまれていた。

みどりはそれをみてなんともいえない顔をする。

「これ?」

「うん」

まるで幸せをみせつけるかのように、みどりはそれをぼくの目の前においた。

「かれがね、くれたの」

「どうして」

「けっこん、しようって」

そのとき、みどりは後ろをむいてしまったから、表情はわからなかった。

黒くて、いびつな感情が、ぼくの胸のなかにたまっていく。

みどりとぼくとの平穏な日々。

それにすべてを奪われてしまいそうで、こわかった。

みどりをそれにとられてしまいそうで、こわかった。

でも、ぼくはあくまで平静を装って「おめでとう」とだけつぶやいた。

もう別れはせまっていた。

「ほんとに、いいの?」

ふいにそんな声がした。

みどりの声だった。ぼくがなにを言ったのか質すと、みどりは

「なんでもない」

そういって、わらった。







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