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公園について、どさりと寝転がったみどりは、真っ青な空に手をありったけのばして

「おほしさまあ」

とおおきな声で言った。

「いま、お昼なんですけど」

「しろちゃん、しらないの?」

「なにが」

ぼくがしかめつらをしてみせると、みどりはさぞかしたのしそうに笑った。

「おひるでも、お星さまはかがやいてるんだよ」

疑いなんてしらない、まっすぐな無垢のひとみがぼくを見据えた。

茶色がすこし混ざった、きれいなひとみだった。

すこしだけ、胸が高鳴りを覚える。

「あたしも、しろちゃんも。ずっと、かがやいてるの」

そのきゃしゃな胸に手をおきながらみどりは言った。

かみのけが風にふんわりとさらわれる。

「どうしてかがやくんだい」

「じぶんをね、みつけてほしいから」

「どうして」

「さびしいからだよう」

みどりはそういって、またゆっくりときれいに笑った。

そのことばにはまったく飾りたてたものがなかった。

だから、まっすぐぼくの心にふかくふかく響く。

「みどりも、さみしいの?」

問いかけると、みどりはすこしだけおどろいたような顔をする。

そんなみどりの顔をみたのははじめてだった。

不安とか、かなしさとか、たくさんの感情が入り雑じった顔だった。

鳥が頭上できゅるる、と世界に囁くように啼く。

みどりはそれをまぶしそうに見つめていたけれど、なにも言わない。

ぼくがちらりと盗みみたその表情かおは、こころなしかすこし、さびしそうだった。

葉っぱのやさしさ、太陽のひかりかがやく粒子、空気のきれいなこきゅう。

すべてが今のぼくにはまぶしすぎて、ぼくはひとみをゆっくりと閉じた。




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