「抗ウ者」 灰村 練太 についての考察 byトキミヤ
この世界には、3つの別々のセカイがある。
1つ目は「地球」。
ニンゲン達が住むセカイだ。
2つ目は「狭間」。基本的に俺たちがいるセカイだ。まあ、ひと昔前のカフェしかない空間をセカイと言えるならの話だが。
俺たち3人がいつもいるわけではないが、俺は基本的美術館に行くか、仕事に行くかくらいしか地球に出向かないから、ココにいることがほとんどだ。(そう言えば同僚達は頻繁に、地球に行っている。特に「観劇者」は頻繁すぎて、地球から 狭間に通っていると言っても良いくらいだ)
そして3つ目が、今俺がいる「異界」。何も無い、真っ白な大理石の巨大な円盤が、プカプカと浮いているだけのセカイだ。(そう言えばこの間同僚の「助言者」が、たまたま円盤が頭に当たったとかで、大きなタンコブをこしらえて「クソッタレが!!」と叫んでいた)
基本的に、地球から送られてきたニンゲン達はまずココに送られてくる。
そして、今俺の前にいるのが―――今回の「抗ウ者」。
強い願望で世界を巻き戻し、今から時の螺旋階段をエレベーターで行き来しようとするヤツだ。
「あのー、トキミヤさん?俺の話、聴いてます?」
「聴いている。エッシャー作の騙し絵は素晴らしいという話だろう?そんな事はわかっているさ」
「聴いてないし!誰ですかそれ!」
濃い茶髪の青年が、うちひしがれたような顔でくってかかる。
彼の名は灰村 練太。今回の「抗ウ者」だ。
「冗談だ。本気にするな」
「じゃあ真顔で言わないで下さいよ…」
それにしてもコイツ、エッシャーも知らないのか…(知らない人はググッてね by作者)
親が泣くぞ。
「どんな芸術親子ですかそりゃ…。そう、その事です。本当に、俺は親父を生き返らせる事ができるんですか?」
「「生き返らせる」というのは語弊がある。正確には、お前の父親の死自体を無かった事にする事なら可能だと俺は言ったんだ」
それがお前の望んだ願いだろう?ニンゲン。