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第1章 引き裂かれた淡き恋


時は西暦197年03月03日の事、


ここは…

仲王朝の首都がある寿春の隣にある

揚州と呼ばれる場所に美男美女のカップルが住んでいた。


男性の名前は、

劉纖りゅうせん

字は春蕾チュンレイ


〈劉〉という姓からも分かるように、

劉家は漢王朝の頂点に君臨する皇帝の血筋で後の世に蜀を建国した劉備は、

前漢の末裔に当たる…。


劉纖は劉協〈=献帝〉の遠縁で、

前漢ではなく後漢の血を受け継ぐ者。


しかし…


黄巾賊が大規模な反乱を起こし…

それが全土に広がった事で後漢王朝の威光や権威などは衰退し続け…


劉家は皆がその身を隠すように

生活を続けるしか道がなかった。


但し…


威光や権威などが衰退しているとは

申せ王族である事に変わりはなく…

味方はゼロではなかった…。


そんな複雑な家庭に生まれた

劉纖りゅうせんが心惹かれた

女性こそが…


劉纖「雪梅シュェメイ、君と一緒に暮らせるなんて俺は幸せ者だよ…」


馮琳「春蕾チュンレイ

貴方と暮らせるなんて…幸せだわ…」


女性の名前は馮琳ふうりん

字は雪梅シュェメイ


揚州どころか国中探したところで

なかなか見つからない程の美女。


劉纖も容姿に関しては、

劉家の血筋を色濃く受け継ぎ…

高貴な顔立ちをしているが…


中華全土の治安が極めて悪いため、

馮琳を守りたい一心で武芸を極めてはいるもののその向上心に終わりなし。  


しかし…


馮琳には残念ながらある欠点があり

その欠点は馮琳を溺愛している劉纖ならば笑って許せるだろうが…もし他人ならば極めてイライラする欠点。


それは…


劉纖「雪梅、

俺達はいつ夫婦めおとになる?」


同い年である恋人達のありふれた会話とありふれた日常…。


但し…


極めて残念な欠点を持つ馮琳にとってはこのような幸せいっぱいな問い掛けでも…


馮琳「…夫婦…!?春蕾、決めて?

私は…どうして良いか分からない…」


馮琳は揚州でも5本の指に入るくらいの名家で産まれたお嬢様…。


だから…


自分で考えなくても誰かが馮琳の

代わりに考え助言していた。


だからこそ…


劉纖以外の男性は馮琳の事を

重く感じたり面倒に感じていたので、

婚約破棄などは日常茶飯事。


但し…


劉纖は馮琳の事が大好きなので、

背負わなくても良い苦労を背負い込んだとしても一緒にいられるだけで

幸せを感じていた…。


劉纖「無理に考えなくても良い。

悪かった…。雪梅。時期を見て占いをして決める事にするよ。悩んだ時の神頼み…だろ?」


結局、いつも劉纖が折れて

馮琳の前に自分で考えなくても

生きられる道を用意してしまう…。


馮琳「ありがとう、春蕾。」


これは…

馮琳の成長を妨げてしまうものだと

劉纖も分かってはいたが…


大好きな馮琳の困った顔を見たくはないとついつい甘やかしてしまう…。


しかし…


そんな世間一般的なカップルとは、

ほど遠いとはいえ…幸せいっぱいな2人を突如として引き裂いた男がいた。


それが…


袁術「…儂が袁家の正統な後継者。

儂の母の身分は本初の母親より遥かに高いのだ…。正室の息子だもん!」


そう、


世の中の中心は自分で回っていると

高らかに宣言している勘違い男・袁術…字は公路である。


袁術は後宮に絶世の美女でも傾国の美女でも…何でも良いので美女を集めたいとお忍びで出掛けていた。


袁術「…なに…!?あの美女は…!?

儂の母より美人ではないか?まさに麗人と呼ぶに相応しい…!」


そんな袁術が見初めたのは…

揚州で劉纖と共に暮らしながら…

世間一般的なカップルとは違うけど…

幸せな日々を過ごしていた…


袁術「…是非、我が後宮に…!」


馮琳「私には春蕾チュンレイという大切な人がおりますので…」


馮琳にまさかの横恋慕をした袁術は、

劉纖がいない隙を狙い来る日も来る日も熱烈アプローチを繰り返した。


これにより…


馮琳「…はい…。」


元々自分の意見を持たない馮琳は、

袁術の勢いに根負けしてその申し出に

頷いてしまった…。


袁術「…では…すぐ行こう!」


こうして…

自分の意見を持たない馮琳は、

自分の意見を押し通す袁術により

その後宮へ入内する事となった…。


しかし…


1番気の毒だったのは…


劉纖「雪梅シュェメイ…?」


仕事を終えて馮琳の待つ家に

帰って来たら書き置きすらもなく

愛しき彼女が消えていた劉纖だった。


但し…


劉纖は没落しているとは言え

後漢王朝の血を受け継ぐ男で、

現在帝位に就いている献帝の遠縁。


しかし…


献帝の父親である霊帝〈=劉宏〉が

黄巾の乱を平定出来なかった事で


劉家の事を嫌っている者〈=現在でいうアンチ〉もそれなりにいたが…


林鷲「春蕾チュンレイ、彼女が姿を消す直前から隣の寿春から偽皇帝が来て熱心に彼女を口説いていたよ?」


林鷲りんじゅ

字は菊蘭ジュェラン


劉纖と馮琳が住んでいた家の隣に住む世話焼きでお喋りな近所のおばさん。


劉纖「…雪梅は…

俺より地位を選んだのだろうか?」


馮琳の居場所は判明したものの…

劉纖の心境は…極めて複雑だった…。


すると…


林鷲「確かに彼女は自分の意思を持たない変わった子だよ?それに結果として春蕾の元を去ったよ…。結果はどうであれ…どうして彼女が春蕾を好いていた気持ちまで否定するんだい?」


馮琳が劉纖の隣にいたあの日から、

早いもので約2ヶ月が経っていた…。


劉纖「そうだな…。俺は俺なりに

盗られた宝を取り戻すよ。」


林鷲「そうだよ、春蕾。おばさんも応援しているからさ…。頑張れ…!」


劉纖「…ありがとう…。」

































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