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第八話「廃坑の調査と、不釣り合いな機械音」

新しい剣と防具を手にし、わたしとよもぎちゃんのコンビは、以前よりもずっと自信に満ちていた。次なるステップアップを目指し、わたし達は再び街の依頼受付所へと足を運んだ。

掲示板にずらりと貼られた依頼書の中から、ひときわ高額な一枚がわたしの目に留まった。

【依頼:旧鉱石運搬路(廃坑)の安全調査】

【報酬:1500G】

【備考:最近、原因不明の地響きと機械音の報告あり。深部への立ち入りは自己責任とする】

1500G。今のわたし達にとっては破格の報酬だ。「機械音」という言葉に少し引っかかったけれど、冒険心と、もっと強くなりたいという欲求が勝った。

「この依頼、受けます!」

「え、お嬢ちゃん、本気かい? あそこは腕利きの冒険者も避ける場所だよ」

受付のお姉さんの心配を背に、わたし達は街の西に位置する廃坑へと向かった。

入り口は黒く、ぽっかりと口を開けており、中から生暖かい、カビ臭い風が吹き出してくる。

「よし、行こう、よもぎちゃん」

「きゅ!」

中へ入ると、そこは完全な暗闇だった。わたしが松明の準備をしていないことに気づいたのか、よもぎちゃんの尻尾がぽわん、と柔らかく光り始めた。爆発する時とは違う、優しい光が周囲を照らし出す。

「ありがとう、よもぎちゃん! 君がいれば百人力だね!」

よもぎちゃんの光を頼りに、わたし達はトロッコのレールが敷かれた坑道を進んでいく。時折襲ってくるコウモリのようなモンスターや、岩に擬態したモンスターを、新しい剣とよもぎちゃんとの連携で撃破していく。

奥へ進むにつれて、依頼書にあった奇妙な音が聞こえ始めた。「キーン…」という、金属的で、周期的な音。この洞窟には、あまりにも不釣り合いな音だ。

音のする方へ、さらに深く。

やがてわたし達は、広大な空洞へとたどり着いた。

そして、目の前の光景に息をのんだ。

空洞の中央に鎮座していたのは、家ほどもある巨大な青い水晶だった。

そしてその水晶からは、無数の太いケーブルが伸び、壁に埋め込まれた、明滅を繰り返す金属のパネルへと繋がっている。

それは、どう見ても自然物ではなかった。まるで、誰かが作った巨大な機械の心臓部。

「な……に、これ……」

わたしが呆然としながら、青い水晶に一歩近づいた、その時だった。

「キィィィィィン!!」

機械音が甲高い警報音に変わり、空洞全体が激しく揺れる!

周囲の岩や瓦礫が、まるで磁石に吸い寄せられるように水晶の前に集まり、みるみるうちに人の形を成していく。

やがて、わたし達の目の前に立ちふさがったのは、身長5メートルはあろうかという、巨大な岩のゴーレムだった。その両目には、不気味な赤い光が灯っている。

そして、ゴーレムから、無機質な合成音声が響き渡った。

「警告。第一級管理エリアへの侵入者ヲ、確認。プロトコルに従イ、排除シマス」

今までのモンスターとは、威圧感が、格が、なにもかもが違う。

わたしはゴクリと唾を飲み込み、震える手で剣を握りしめた。

「よもぎちゃん……! 今までで一番、やばいやつだよ……!」

「きゅぅ……!」

よもぎちゃんも全身の毛を逆立て、臨戦態勢に入る。

「でも、やるしかない!」

巨大なゴーレムが、その岩の腕を振り上げた。

わたし達の、命を懸けた戦いが始まろうとしていた。

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