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君が世の中

君が世の中 〜お金とすべてを乗せて〜

作者:つむぎ
「へっへっへ。嬢ちゃん、これ、どうだい?」

学校帰りの夕暮れ時。駅前の広場でぼーっとしていたわたしの目の前に、ぬっと怪しい影が差した。顔を上げると、皺くちゃの笑顔を浮かべたおじさんが、金色のカセットみたいなものを掲げている。夕日を反射して、きらきらと、いや、ギラギラと怪しく輝いていた。

「……なんですか、これ」
「名前はね、『君が世の中』。この世界でいちばん面白いゲームだよォ~」

君が世の中。変な名前。
胡散臭さしかない。でも、その金色はなぜか目を引いた。レトロゲーム? 最新のデバイス? よくわからないけど、胸の奥で「面白そう」という好奇心がむくむくと顔を出す。

「やってみたい……かも……」

思わず手を伸ばしかけた、その時。
「でも、家にゲーム機とかないとできないですよね?」

至極まっとうな質問をすると、おじさんは歯を見せてニヤリと笑った。

「今ここでできるよォ!!! それっ!」
「え?」

次の瞬間、おじさんの指が、わたしの額に「どんっ!」と触れた。

世界が、ぐるんと反転した。
足元がふわっと浮いて、体が軽くなる。目をつむっていないのに、視界が真っ白に染まり、耳鳴りがキーンと響く。ジェットコースターとも違う、奇妙な浮遊感。

気がつくと、わたしは見たこともない不思議な世界に立っていた。
そして、目の前にはゲームのようなテロップが浮かんでいる。

――『ようこそ、お金がすべての世界へ』――

どうやらわたしは、本当にゲームの世界に来てしまったらしい。
元の世界に帰る方法は、わからない。

でも、なぜだろう。不思議と、絶望はなかった。
むしろ、退屈だった日常から解放されて、心のどこかがワクワクしているのを感じる。

ここが、わたしの本当の居場所なのかもしれない。

わたしは、ちっぽけな武器を手に、一歩を踏み出す。
お金と力に支配された世界で、心優しいAIや、もふもふで可愛い謎の生物、そしてたくさんの仲間たちと出会い、やがてこの世界の残酷な真実に迫っていく。

これは、わたしが本当の「わたし」を見つけるための、壮大な冒険の物語。

さあ、いこう。
わたしの、「君が世の中」へ。
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