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ドラゴンとは、これいかに  作者: グーグー


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89/93

89.暇つぶし

 俺も、大きくなった。ひと月に10センチも!やはりドラゴンのままだときちんと成長できることが確認された。

 黒龍城では俺が常にドラゴン姿でいるので、みな嬉しそうだ。最近は軍府によく顔をだして、かわいいもの好きの東の大将にしっぽを触らせてあげている。ムキムキの大男がデレる姿、これが今の俺のツボだ。デレないように耐えているのに、ついに、「むふぅ」と顔が緩んでしまう、あの一瞬がなかなかオツだ。


 ロイドや他の大将が、それを聞きつけて見学に来るという、面白い現象がおこっているが、大抵みな、それを見ると、自分も触りたいと、うずうずしだすので、ミイラ取りがミイラになるループだ。


 ブラックドラゴンから何にも変身できないと、どこにもお忍びで出かけられないので暇つぶしを探さないとやっていられない。

 学校は夏休みだし、マックとアルムスを西領の別荘に招待しよう!

 この間、マックの父親である西の領主から完成のお披露目をされたばかりの新築物件だ。まだまだ、楽しい仕掛けがあるのでお楽しみにと言われたばかりだ。


「私は、父から概要を聞かされただけで、行ったことがなかったので嬉しいです!」とマックは顔を輝かせている。

 自分の領地であっても、黒龍王の別荘として納めてしまえば、もう気軽には立ち入れなくなるからな。話を聞くとアルムスも自領にある東の別荘に入ったことがないそうだ。それじゃあ、次は東領の別荘に招待するね、と言いながら、まずは西領だ。


 入学式の後、息子が俺にきちんと挨拶ができなかったと詫びに来た西の領主であったが、俺に、

「息子は4歳だって忘れないで!自分でも難しいことをやらせようとするな!」という格好いい一喝をされた後は、保護者としては大人しくしている。

 領主としてはハッチャけた別荘を造ってきたが、それはもうサンダードラゴンの種族の特性だろうと思うことにした。

 ビリーヤを見ていると、楽しいことが大好きな種族です!って分かるもんな。


 領主子息のマックは生真面目で大人しくて学級委員長タイプだが、それの方がレアケースだろう。

 前世の血液型占いを思い出す。お前大雑把だから絶対B型だろうなんて言われていた奴が、A型だったみたいな。


 そういえば、知的と言われるファイアドラゴンの領主子息であるアルムスが脳筋だから、逆にするとちょうどいい感じだな。

 まあ、大阪人が皆笑いにうるさいかと言われるとそうでもないらしいし、つっこまない大阪人もいるらしいし、決めつけはよくないか。


 そんな、学友たちと、いざ!西の別荘へ!と向かおうとした時、アルムスが、

「陛下は、全速力で飛ぶと何分ぐらいで到着するのですか?」と聞いてきた。

「う~ん。別荘がここね。大体10分かからないくらいかな」地図を指さしながら説明した。

「ちなみに僕だと一時間弱。君たちだと2時間くらいかかるんじゃないかな?」

「そうね。今日はあなた方の為に途中で休憩をとる予定にしているからもう少しかかるわね」

 ビリーヤとサリアが優しく説明する。


「あそこまで、10分……」マックは地元なので距離がつかめるのか、その時間を聞いて驚いていた。

「そんなスピードで飛んでみたい」と小さくつぶやくアルムスの為に、俺はアルムスとマックを魔法で浮かせて、モックをテイル村まで運んだ時のようにトップスピードで別荘へ飛んであげた。


 あの時、人族のモックは気絶しちゃったけど、竜族の二人は大丈夫だろう。さあ、いっくぞ~!


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