76.大爆発
ミシミシと力の波動だけで建物が軋んだと思ったら、
【ドガーン】と音がして、天井からいろんなものが降ってきた。
とりあえず、前世の避難訓練の記憶から、小さくなって、頭を守ってみる。
なにごと~~~~!?地震か!?
瓦礫に囲まれたのか暗くなって、さらに粉塵で目が開けられず息がしにくい。
しばらくして、粉塵がおさまってきた所で、あたりを見渡す。
「倒壊現場ナウって感じか。とにかく、明かりの漏れているほうへ行ってみよう」心細くって声にだして言ってみたけど、自分の声が響いてますます心細くなる。
だが、すぐに声が聞こえてきた。
「我が君、申し訳ございません。衝撃の映像に力の制御ができず、爆発を起こしてしまったようです」と側近たちが俺を瓦礫の隙間から救出しながら謝ってきた。
「あ~、こっちこそ、ごめん。びっくりさせちゃったんだね。首飛ばす認識阻害の魔法はやりすぎだったかも~」と俺も、謝っておく。
信者さんたちは、と、振り返るも、黒龍城の東側の下層部分が崩れ落ちている。この分では全滅っぽい。
「信者さんたち、一応生きているか探す?」と聞くと、
「どうでしょう?生きていても、我が君に攻撃をしてきたのですから、死刑確定ですが、幹部の中には、いたぶってから殺したいという者がいるかもしれません。探して一度回復させますか?」と逆に聞かれた。
死刑確定、そりゃそうか。世界のトップを、赤ちゃんだから楽勝だとばかりに側近から遠ざけて攻撃してきたんだもん、鬼畜の所業だよなぁ。
南棟からやってきたロイドと、今後のことを話し合おうとしていた時に、
「やっほ~。やっと終わったわ~。めっちゃ面倒なこと押し付けられてん!」と言いながら、にこやかに神様が登場してきた。
「うわっ!ようさん死んどる気配するやん。君、大人しい顔して、なかなか過激やなぁ。もっと穏便な感じで制裁するかと思っとたわ」と言われてしまう。
「俺じゃないから!」どっちか言えば俺は被害者側だというのを力説した。
「そうなん。大変やったな~。厄介なこと押し付けたお詫びに、死体の処理はちゃちゃっとやったるわ。任せといて!」と言って、ヒラリと手を振ると、瓦礫の下がポワッっと光ってゆっくり消えていった。
「はい、終了。体は土にかえしたけど、魂はええ感じにどす黒いし、こういうの好きな知り合いがいるから、そいつに送っといたわ」と笑顔で言って去っていった。
神様の世界、なかなか興味深い。俺も今世が終わったらお世話になるらしいからな。楽しみなことだ。
城の周りには、多くの者が爆発によって駆けつけていたので、神様はとっても目立っていたが、俺以外のものには声もかけず、目もくれずに去っていったので、俺は質問攻めにあってしまった。
迷惑かけたと思うなら、こういうアフターフォローもしていってくれるといいのになと、思わずにはいられない。
それはさておき、爆発だが、側近たち4人が4人とも怒りに任せて制御不能の魔力を放出したことによって、それが互いに干渉して大爆発になったようだ。
何かお咎めがあるなら、俺も一緒に怒られようと思ったが、各所で監視カメラの映像を見ていた者たちは全員似たような状況だったようで、不問となった。
そして、
『4種族揃った状況で、制御不能なほど全員を怒らせることは危険です。側近級の力の持ち主が揃っていた場合は大爆発します』
という一文が、来年からの教科書に載ることになった。




