71.呼び出し
そうして二週間後、信者達を黒龍城に呼び出した。
信者達はドラゴンの魔法により浮かせた箱型の車内で、快適輸送を体験した。
「我々はここまでVIPになったのだ!」と大盛り上がりだったと、輸送を担当してくれた情報部から報告が上がっている。
ついでに、情報部のメンバーに対しても、大変な横柄さだったという報告もね。
何て言うか、分かり易い人達だ。帰りは徒歩で帰ってもらおうか。
「我が君、我々にお任せくださりありがとうございます」と頭を下げた後、ニヒヒと悪代官笑いをして大会議場に入って行ったのは、ロイドだ。
事情を聞いた城の幹部や各領の領主達は、まず自分達で話をしてみたいと譲らなかったのだ。
「絶対、爺さまたちは楽しんでますよ。陳情でも上申でもなく、竜族に対等に物申すために来る輩なんて、長いこと生きてるあの人達でも初めて目にするんでしょうし」
「そうよね。私も同席しようかしら。でも、控えの部屋から高みの見物の方が楽しいかしら?」ビリーヤとサリアはウキウキだ。
「我が君は、どのタイミングで出ていかれますか?」
「そうだな~。わかんないな~。ロイド達がどんなふうに話を持っていくのかも知らされていないんだよ。ただ、出てこなくてもいいとは言われたし、出てくるとしてもなるべく後の方でって言われた」
「それは、なかなか……、微妙な言い回しですね」
「そうだよ!何するか知らないんだから、後の方がいつか分からないっての!」
「意地悪して、最初から出て行ってみます?」ビリーヤはいたずらっ子みたいにいい笑顔だ。
「いや、俺も、そこまで鬼畜じゃないよ。俺がしばらく留守にしてて、物足りなさを感じている城内の人達が、楽しめるイベントだと思えばさぁ。邪魔はしないよ」
「そうですね。あ、始まるようです」
大会議場に通された信者達25人は、壮麗な室内を見上げ、少々圧倒されていたようだが、代表の男が話し始めた。
「我々は、神から、この世界を託されたものです。このように、竜族の方々にお集まりいただいた所、申し訳ございませんが、王と話をさせていただきたい!」
「すごいです!この大会議場に入れるものは竜族以外では、その道のプロフェッショナルが講義に来る時くらいですよ。許可もなく話し始めて、王を出せなんて、どんな心臓してるんでしょうか!」以外にもカマラテが食いついた。
「私はこの国の宰相ロイドと申す。性急に事を運ぶのがお好みのようなので、私も本題から参ろう。あなた方は神から世界を託されたと言うが、証拠はどこにありましょうか?我が君が会うに値する証拠をお持ちでしょうな?」
「証拠?そんなものは、有るはずがない。神は選ばれた者の前にしか姿を見せぬ!」
「では、我らは、我が竜族を侮辱するような発言をして、神の意思だと強弁する者と、本物の神使とを、どうやって見分けろと言うのでしょうか?」
「……それは」
「まず、あなたが出会ったという神に、その証拠となるものを授けて欲しいと掛け合ってはいかがですかな?我らはそれを見て判断いたしましょう」
しばらく、ごにょごにょと内輪で話し合った信者達は、
「分かりました」
「「我が神よ!ご降臨ください!!」」と一斉に声を張り上げた。
上司に呼び出された神様は、結構大型のプロジェクトに巻き込まれたのかなぁ。二週間たった今も、忙しいのか、呼びかけに応じなかった。いやいや、そもそも、呼んだらすぐ来る神様なんて、なかなかいないと思うけど。
シーンと静まり返った、大会議場。俺、出ていくのって、今?
これってまだ序盤?それともクライマックス?わかんねーよ!




