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ドラゴンとは、これいかに  作者: グーグー


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47.馬車の旅

 そうして、俺達は無事にルドルの東の領の研究所への旅に同行できた。人族としての同行なので、側近達は認識阻害の魔法で角を隠している。全員リュックを背負って、旅支度だ。


「リュック!見たことしかありませんでした。初めて背負います」と少々興奮気味なのはティルマイルだ。魔法で全てを解決する竜族には自力で物を運ぶなんで習慣はないからね。魔法でプカプカ浮かせておくか、先に目的地に飛ばしてしまう。なんとも便利というか、俺からすれば横着に見えてしまう。


「角を認識阻害で隠すなんて、本当に竜族以外の者には角無しに見えているのかしら?」と少々不安そうなのはサリアだ。思わず角を触っている。

「ええ、きちんと角が無いように見えてございますよ」とルドルは太鼓判を押しているが、俺には角が見えている。強いて言えば少し靄がかかったように見えるというくらいなのでルドルの言葉を信じよう。


「ここから東の研究所まで一週間以上馬車に揺られるなんて、おおよそ見当がつきません。馬車ごと浮かせて研究所まで運ぶのではダメなんですか?」と竜族の常識を披露するのはビリーヤだ。

「ビリーヤ、人族として同行するってのが、旅に一緒に行く唯一の条件だって言ったよね。なるべく魔法も使わないよ!」と俺は釘をさした。初めが肝心。ちゃんと言って置かないとね。人族として前世の状態を模した生活をするのが、俺の希望な訳だから、ちゃんと頼むよ!


「我が君、旅の宿を一般庶民と同じ場所というのも変えられないのですか?地方の首長の邸宅などを空けさせれば快適に過ごせるかと思うのですが」と俺の不便な旅を心配してくれるのはカマラテだ。

「全然、不便とかないから。人族として、普通に、普通待遇で過ごせるんだよ。至れり尽くせりの王様生活の方が、居心地悪いくらいなんだから!」

 どうも、俺と側近達では驚く場所も、快不快のポイントもずれているようだ。


 ルドルはそんな噛み合わない俺達を見て、若干引いている。恐らく、旅の同行を許すなんて、とんでもない安請け合いをしてしまったと心の中で思っているだろう。

 でも、遠慮はしない。だって、楽しそうなんだもん!

 なんでも魔法で思い通りの生活なんて、人間やってた時は憧れたけど、いざそうなると、なんにも楽しくないからね。


 そして、馬車で旅立ってまず向かう先はシピリー町だ。ここでプープルさんと一足先に旅立っていたセルゲイと合流する。御者を任せたモックを合わせて総勢9人。大型馬車一台に全員で乗り込む。


 因みに御者のモックはセルゲイの孫息子、村長ティーセの息子。ということは次期村長だ。俺の事情も全て聞かされて緊張しまくっていたけど、『ソウ』の頃の兄貴分の態度のままでいてくれっていう俺の無茶な願いを何とかしようと頑張ってくれている。まだ25歳と若いからすぐに順応できる気がする。


 案の定、出発して一時間程、御者席の隣を陣取った俺に、色々な景色を説明しながら過ごしているうちに、側近が青筋を立てるくらいの仲良しに戻れた。

 モックは、たまに殺気を感じるのか、後ろを振り返っているが、気にしないで。いざとなれば俺が黙らせるからね。


 牧歌的な風景が延々と続くなんて平和な旅ではなく、災害復興真っ最中の中を通り過ぎる旅だった。木が倒れて道が塞がっているときなんかは、黙々と、どかす作業を手伝った。

 この間の嵐を引き起こしたの俺だもんなぁ。


 分かっているだろうに、誰も指摘しないとは、これいかに。トホホ。


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