4.はじめましてのご挨拶
ビリーヤに抱きかかえられて空を飛ぶ。サンダードラゴン、恐るべし、超絶早い、そして魔法のおかげで風圧なし。なんとまあ、ものすごい世界に来ちゃったもんだ。
そして、驚いた事はもう一つ。なんと黒の森は空飛ぶ大地だった。上空の高~い所に広大な大地が浮かんでいて、そこが丸々黒の森。ブラックドラゴンが生みだされる特別な場所なんだって。
俺専用の場所なので、飛べるようになったらいつでも行っていいらしい。いや、実際、もう飛べるんだけどなぁ。
ビリーヤは天然さんなのか?突っ込んでいいのか分からず沈黙中。沈黙は金って言葉あったなぁ。一時間前の俺に言ってやりたい言葉だな!使い方は違うけど、字面的にはピッタリな気分。
*****
森を抜けると、眼下に広がる大地。ここが今日から俺の住む世界か!
ちょっと感動。この下に大勢の人が住んでいるんだな。楽しみだ~。
暢気にニマニマしていると、あっと言う間に黒龍城だ。城壁も立派な感じだ。
この城下町はドラゴンのみが住んでいるそう。
最強のドラゴンの街に誰が攻め入るんだろう?城壁必要か?
と思っていると、大歓声が聞こえてくる。
大勢の人々が広場で歓声をあげている。手とか振りたくなるのを我慢する。俺は赤ちゃん、俺は赤ちゃん。
巨大な城の、上部のバルコニーに降り立って中に入って行く。城内も、笑顔の人人人だった。凄いな、黒龍王大人気じゃん。
そうして、たどり着いた自分の部屋。豪華すぎて引くわ~。
キンピカにキラキラに、ギラギラ、ゴテゴテともう盛沢山。いや~、俺の趣味じゃないわぁ。
そして、残りの三人の側近たち。
白というか銀色かな?サラサラストレートの美女。
明るい緑色のウェーブヘアーの美女。
紫色のストレートボブの美男子。
うん。間違いない。きっと美形しか存在しない世界だな。これは俺の人型に期待がかかるな。絶世の美男子になるぞ、きっと!
まあ、そんなことは置いておこう。
側近たちはベビーベッドに置かれた俺を
「まぁ~なんて愛くるしい!」とか
「赤子にして、ほのかに威厳すら感じます。でも牙ちっちゃいですね~かわいい~」なんて言いながらニコニコと見ている。
そして、ビリーヤから俺の前世、異世界転生、元人間っていう話を聞かされて、あんぐりと口を開けたまま固まってしまった。
いやいや、ビリーヤ君。もう少し、重大発表します的な前振りが、あってもよかったんじゃないかな?俺も人の事は言えないけれどもね。
俺は少し呆れた顔をビリーヤに向けた後、残りの三人を見て、
「はじめまして。そういう訳なんだけど、よろしくお願いします。どうすればいいか相談させてください」とポジティブな感じで第一声をあげてみた。
ちょっとかしこまって言ってみたよ。だって、銀髪の女性と、紫髪の男性は、若そうなんだけど、明らかに貫禄があるんだもん。
ギギギーっと音がしそうな程ぎこちなく、視線がビリーヤから俺に向く。
ニコッと笑ってみた。ドラゴンの笑顔、練習する時間はなかったけど、大丈夫かな。
ドサッと音がしたかと思ったら、高速で三人が跪いていた。
「言葉が分かっていらっしゃるとは存じませんで、大変なご無礼をいたしました」と青ざめている。
いやいやいや、俺、恐怖の大魔王とかじゃないから。
それにしても怖がり方が凄い。なんか、さっきまでの歓待が嘘のようだ。
そして、しっかりもののお姉さんポジションと思われる、銀髪のサリアさんから、この世界の俺の立ち位置を大まかに教えて貰ったのだが、
「・・・」なんか思っていたのと違っていた。