34.入園式
楽勝モード、いえぃ。と思っていたこともありました。遠い目。
新入生の4歳児ドラゴンは大きかった。俺がサイズアップの魔法で変身して転入しようとしていた時に練習したサイズより、随分大きい。結構頑張って体高70センチサイズを6時間維持する訓練をしたのになぁ。あのまま転入していたら、かなりのチビだと目立っただろうな。
まあ、今は、黒龍王だ!と、目立っているけどな。ははは、乾いた笑いがこぼれる程には、注目を集めている。
クラスは一クラスだけ。人数は俺を含めて12人。これでもこの学年は多い方なんだって。
そして、クラス担任のサンダードラゴンのヤノス先生の自己紹介の後、五日後の入学式の説明と、教科書配布、カリキュラムの説明と続く。
うん?難しい話が多いぞ、魔法で浮かした教科書をパラパラめくってみると、領地の収支に関するうんたらかんたらとか、書いてある。こんなの人型になって、ペンを持てるようになった以降でよくない?今からそんな難しい勉強するの?と、思ったら、この辺りはもうすでに一通り自主学習していることが前提で、ただの復習なんだって!マジか。
俺は、目を最大限に見開いて驚いた。どうしたものか。やっぱり入学辞めますとか絶対に言えないし。楽勝モードは儚く消えた。
今日は入学説明会だけなので早々に解散。
俺は私室に戻って側近たちに、勉強を五日で叩き込んでくれと頭を下げた。
恥ずかしいとか言っている場合ではない。4歳児のクラスなんて楽勝だからねじ込んでくれと言った俺が悪いんだ。せめて、クラスメイトの前では恥をかかずに済むようにうわべだけでも知識をつけたい。
そんな俺のちっちゃいプライドを側近たちは温かく支援してくれた。
これが、前世の俺なら、げっそりやつれたに違いない。という程のスパルタ学習を乗り越え、何とか入学式当日だ。
ロイドも含め側近たちは頑張ってくれた。ルドル先生の所で、ふんわりだった字の知識は完璧に近くなっていたとはいえ、この世界の仕組みからの勉強はハードルがすこぶる高かった。黒龍王のスペックのおかげもあるだろうが、俺も、頑張った!
そんなこんなで、前代未聞の黒龍王の入学式だ。保護者枠はロイド。お世話係枠は異例だけど、4枠もらって側近たちが座っている。円形のコロセウムの観客席にだ。立派な施設だが、ここは運動場的な場所で、競技場と呼ばれているようだ。
そして、主役のドラゴン姿の新入生たちは中央に集まっている。
どこの世界でもお馴染みなのか、園長の長い話にうんざりしながらも、俺は他の生徒と違ってプカプカと浮かんでいる。踏みつぶされたり、しっぽではね飛ばされたりしちゃ嫌だからね。怪我はしないし痛くもないけど、入学式が凍るから。
心情的にってだけじゃなく、俺大好きサリアが物理的に凍らせるから。
教室はドラゴン姿なので、前世の物とは全く違うが、人をダメにするクッション的なものが等間隔に置いてあって、そこがそれぞれの席になる。俺は、一番前の一番端。要は出席番号一番ってこと。
授業中、お世話係は、横に控えても、後ろにいても、なんなら居なくてもいいようだが、流石に初日なので全員横についている。
俺は4人もいるので邪魔にならない端っこは好都合だ。
「さあ、皆さん、揃いましたね。まずは自己紹介を始めましょう!」と、こちらを見るヤノス先生。あ~、俺、一番だよなぁ……。
0歳児をトップにもってくるとは、これいかに。




