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ドラゴンとは、これいかに  作者: グーグー


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17.念じる時も慎重に!

 とりあえず、訓練所の地形が多少変わったくらいで、周囲を警戒してくれていた大将達に迷惑をかけることなく実験は終了した。みんなにありがとうを言って今日は帰城。


 そして私室で反省会だ。

 今後は危険なことは、上空に浮かぶ黒の森に行ってやる事、人型だと傷が付く事、傷は付くが一瞬で再生する為痛覚があるかどうかは不明な事なんかがまとめられて宰相府に報告されることになった。

「あ!自分で自分を攻撃したらどうなるんだろう?やってみようと思って忘れてた!」ということで、翌日は早速黒の森へ行ってみた。

 結果、俺自身の攻撃は、ティルマイルに攻撃された時とまったく同じで、ドラゴンでは無傷、人型は傷がついた。

 ブラックドラゴン、やっぱり無双。人型も瞬時に治るので、傷を受けていると言われても、そんな気がしないなぁ。


 それから数日もたつと、常時人型でいる俺に慣れてきた城内の人々は、やたらと俺に自分のテリトリーである東西南北の各棟に来て欲しいと誘ってくる。

 ビリーヤの種族が活動する西棟は、髪の色がオレンジと黄色系の人ばかりなので、すっごく明るい感じがする。楽しいんだけどね。

 一つの棟に行くと、次は、北か、南か、それとも東かと、ギスギスするので面倒くさくなる。なんとかなんないのかな。あの人達。


「我が君があまりにお小さくて、お可愛らしい人型であらせられますから、皆、競ってお出まし願いたいとやってくるのでしょう。あまりにうるさいようでしたら、ここはひとつ癇癪でもおこされて、どこかの棟を吹っ飛ばしてみてはいかがでしょうか?」とティルマイルは真顔で怖い事を言っている。

「ほかのこくりゅうは、どうちてたの?」

「資料によりますと、主塔も各棟も数度立て替えてございます」

「たてかえ!なんねんもかかるね。すむとこなくなりゅ」

「ははは、大丈夫でございますよ。住むところのご心配はならさなくても。主塔に関しては大人数で編み上げる大規模魔法で一日かからず立て直しますから」

「ちゅごいね~」とパチパチと拍手をしていると、サリアが、

「凄いですけれどもね。ティルマイル、我が君に何という事をお勧めしているんですか」とご立腹だ。

「我が君のお洋服を魔法で作るのは何事か、手作りのものを!と職人たちが採寸の要望を出していましたから、主塔も手作りをと言われて何年も仮住まいかもしれませんよ」とビリーヤが面白がっているので聞いてみる。

「しろ、がんじょう?すぐこわれりゅ?」

「我が君のお力でしたら、もしかすると、壊れろと思っただけで壊れたりするかもしれませんよ」と、ニヤリとしている。

 完全に面白がっているな。

 俺も悪ノリで、『俺の部屋、壊れろ』と念じてみる。

【ドンッ】と音と共に爆風が体を押す。


 しばらくして土煙が収まると、部屋中がボロボロ、煌びやかでゴージャスな空間は面影もない。側近たちは血まみれだった。

「ぎゃー。うちょっていって、みんな、だいじょぶ?すぐになおって!!!」というと、光に包まれて、傷が治っていく。


 なんてこった。俺は何かを念じる時は慎重にならなきゃいけないんだ!

「我が君、お見苦しい所をお見せして申し訳ございません。急な事でシールドを張るいとまがございませんでした」

「不甲斐ないことでございました」と口々に謝罪しながら、皆は服を魔法で元通りにして居住まいをただした。

「ごめん。おりぇ、ほんちょに、ごめん」と言って泣き出した俺を、サリアが優しく抱っこしてくれた。


 血まみれで倒れ伏して、サリアの白銀の髪が赤く染まる光景。しばらくトラウマ確定だ。


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