13.重大発表は簡潔に
謁見の間は7階だ。
因みにちょこっと説明すると。俺の今の行動範囲は、5階以上。
これは主塔と呼ばれる中央のバベル的な塔での話。
ここは、お偉いさん御用達の建物だ。会社の上級職員エリアって感じかな。下層階には、大、小会議場や応接室、一般食堂などが入っているが、俺にはあんまり関係ない。
中層の5階は軍府、6階は宰相府と行政府、7階は謁見の間と側近住居。
上層は、8階は俺の私室、9階は俺の為のフリールーム、そして10階が成獣ドラゴンサイズの寝室。
と、まあ、こんな感じ。
この世界のほとんど全ての指令は、ここ主塔から出されている。そして、実際にそれを全領土に行き渡らせ、実行する実務部隊は、東西南北、各棟に配置されている。これの北棟が、今回俺が見られちゃった4階建ての建物だ。
ご想像の通り、種族に一つの棟が割り当てられていて、北がアイスドラゴン、東がファイア、南がアース、西がサンダーだ。
分かり易いことに、西棟の、西側に西街が広がり、西門を出ると、サンダードラゴンの治める西の領土が広がっている。
一事が万事、4等分されていてスッキリ。
閑話休題。謁見の間に入ると、室内がどよめいた。人型のまま姿を現したからだ。ロイドの「静まれ!」の一喝で静まり返る。
うん。どうだろ?側近たちと相談して人型で登場したけど、唖然呆然の表情をしている臣下たちが固まっている。
恐らく、北棟の大騒ぎしていた人たちですら、こうして間近で見るともう一度驚いているのだろう。白系、青系の髪色の集団もカチンコチンだ。
「おれ、ひとがたに、にゃれた。まほうもちゅかえるよ。きょうはそれがいいたかったにょ。それじゃ」と言って、退室した。
いや~。なんか、スッゴイ緊張したからか、滑舌悪すぎた。この話し方で長々話す気になれなかったし、人型で出て行って、ドラゴンに戻って話すのも何か変な気がしたしなぁ。
ロイドが後ろからついて来ていた。
「いいの?こっちにきて」と尋ねると、
「今の私は養育係ですので、我が君のお側に。謁見の間で突き上げをくうのも側近の役目でしょうし、それは彼らに任せましょう」と言ってニヤリと笑うロイドだった。
怖っ、きっとここまでの流れを予測して、俺が人型で登場する案を了承したんだな。ロイド、恐るべし。
**《ティルマイル視点》**
謁見の間に放り込んだ爆弾を、振り返りもせず去って行く。これこそ我が君。絶対君主のブラックドラゴンであらせられます。
我が君が退出なさり、扉が閉まると同時に、
どういう事かと、軍、宰相、行政の三府の者達だけでなく、各棟から駆け付けた領主たちの一団からも質問攻めにあう。
いちいち取り合えないので、声を張って注目を集める。
「今代の我らが主君は、大変素晴らしいブラックドラゴンであらせられます。生まれながらにして、言葉を解し、飛ぶだけに留まらず魔法を行使なさいます。人型にもなれますが、幼い姿で拙い話し方ですので、皆様にお披露目するのは少し日を置こうという私共側近の提案を、恐れ多くも受け入れてくださっておりました。
今回偶然目撃されたことで前倒しになってしまいましたが、我が君は、皆にも人型に慣れてもらってどちらの姿でも過ごしたいと仰せでございます。以上です。もれなく質問にもお答えできたかと存じますので、これにて」
まだ、なにか言いたそうな面々を残して、我が君を見習って、そそくさと去る。
背後では、ビリーヤとカマラテがそれぞれの領主につかまっていた。こういうのは年の功ですかね。逃げ足も側近のたしなみです。
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