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9/10

「こいつ本当に徳之島の奴だわ」

「こいつ本当に徳之島のやつだわ」


 腹が立つ。

 

「大丈夫でやんすか」


「まあ俺が抑える」


 五月の熱いころ、徳之島高校から練習試合が申し込まれた。

 マウンドに立っている。

 マネージャーののぞみさんを悪く言うなんて許せない。

 闘志がみなぎる。


 イアがせっかく覚えた球種を全部教えたそうだ。

 頭にくる。

 そうだストレート真向勝負だ。


 バッターボックスは峯田。

 一番である。


「ふう」


 息を整える。

 高く振り上げ、殺さんばかりに投げた。


「ストライク」


 調子はいいな。


「あいかわずだな」


「お前らもだよ」


 俺の”例の球”を教えるなんて。

 大体の球種はできるが、ツーシームの難点がある。

 豆ができるからあまり投げたくはない。

 硬球だと滑るから、つぶれて水が出て滑り止めにもなって、さらに痛みがあってもいいんだがな。


「これ打てるか?」


 投げた。

 勢いあまる。

 足が上がったことが視界で確認できた。


「ボール」


 うーん高めか。


「早すぎるぞ」


「まああな」


 打てねえかな。

 こいつらじゃ。

 フォーシームは反則級かな。

 強化した俺に驚いたか。


「目が点になっているぞ」


「いつからそんなにできるようなったんだ」


 そういえば俺は補欠だった。

 だが今は違う。


「ほらよ」


 ファールになった。


「やるじゃねえか」


「そうだな」


 俺に感化されたか。

 山田の指示もどうでもいい。


 運命の三球目。


「ストライク」


「よし」


「お前すごいやつになったじゃねえか」


「あいつに借りがある」


「お望みどおりだ、次だよ」


 試合中は会話はしちゃいけない。

 だが、昔の名残だと思えば、両監督納得している。


「へっへ」

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